Baseball Side Story

榊 海獺(さかき らっこ)

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口が滑った

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 職場でソフトボール部が爆誕した。

「少年野球で東京都二位になった。」
 飲み会の席で口を滑らせた誰かさんのせいで、職場にソフトボール部が誕生した。誰かさんとは、そう。私だ。(お前だったのか。)
 それを聞きいていた社長、部長によって、主要取引先との交流を深める名目でソフトボール大会なるものが開催されることになった。※大会と言っても一試合のみである。
 ソフトボール部の参加者は、、、本社ほぼ全社員。中小企業で従業員の少ない企業とあって、それでも二十人弱だった気がする。(現在は大分増えている。)
 ポジションを決めようにも、普段ほぼ運動などしない人間の集まりである。まずは練習から入ることにした。お昼休みに近所の公園で練習した。ボールが明後日の方向に飛んでいく。公園の端に流れていた水路に落ちそうになる。これはなかなかのものだ。
 商社とあって、営業の人間は外に出てしまう為、日に日に練習の参加者は減っていった。最終的に僕と後輩二人の三人でキャッチボールをしていた。

 さて、試合が近付きいよいよポジションと打順を決めねばならない。一番センターで当時60代後半くらいだった会長を起用するプランを持ち出してみたのだが、それはあっさり却下されたので、打順等は部長に全て任せた。僕は三番セカンドとかだった気がする。

 試合が始まると、いい感じのシーソーゲームになった。まぁ対戦相手は仕入れ先である。接待されていたようなものだしな。女子社員と会長はどんなボテボテのゴロでも出塁し、三振はやり直しという謎のルールが。打順の後半に女子社員と会長を並べたことにより、必ず満塁で1番ピッチャーの部長に回る。それを見越して部長がこの打線を組んだのは明らかなのだが、まぁ見事に毎打席凡退。三番の僕にまでチャンスが回ってきた。相手ピッチャーが放ったスローボール目掛けてフルスイング。ボールは高々と舞い上がり、外野手の遥か後方に落ちた。満塁ランニングホームランだった。
 
 終わってみれば、試合結果は僅差でこちらの勝利。接待なのだから当たり前か。僕は満塁ランニングホームラン含む猛打賞で見事MVPを獲得した。賞金が手元に。出来レースのような展開になったが、この親睦ソフトボール大会は計三回開催された。三回目は別の仕入れ先と試合を行い、話にならないくらいボロ負けしてソフトボール大会は幕を下ろした。それに伴いソフトボール部も廃部となった。

 最近になって、元野球部の社員が増えてきた。また開催されることはあるのだろうか。いや、無さそうだな。社長今年で50歳だし。部長は60歳を超えてしまったし。仮にあったとしたら、あれだな。あんたらは外野手な。走れ走れ。
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