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濱中治の下敷き
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GBBを結成してから、僕はまた野球を観るようになっていた。当時、テレビで観れるのは巨人戦くらいなものだったので、時々気が向いた時に巨人戦を観ていた。
僕はまだダイエーホークスファンだったので、巨人にも相手チームにも入れ込むことなくただぼんやりと眺めていた。
そうこうしていると、不思議なもので気付かぬ内に目で追ってしまう選手というのが出来てくる。前で言う高橋由伸のように。今回は濱中治だった。
濱中治は阪神タイガースの選手で、守備位置は忘れてしまったが、いつも良い所で打つような選手だった。(気がする。) まぁ正直プレー云々というよりは、顔と名前がなんとなく好きだった。なんとなく。なんとなく。勝手に「治ちゃん」と呼んだりしていた。
「なんでダイエーファンで濱中なんだよ。」
当時はまだ個サポなどと言う言葉は存在しなかった為、結構色んな人から言われた。放っといてくれ。
そんな中一人だけそんな僕にも理解を示してくれる友達が居た。
「別に好きなチーム以外にも好きな選手が居てもいいじゃない。」
そんなことを言ってくれた。
ある昼休み、教室でボーッとしていたら、彼が笑顔でやってきた。
「今度さ、神宮にヤクルト対阪神戦観に行くんだけど、グッズあったら何か買ってこようか?」
ヤクルトファンの彼。何とも優しく気の利く男だった。
「そしたらさ、後でお金払うから下敷きあったら買ってきてくれる。」
「うん。いいよ。誰のがいいの。」
「阪神の濱中。」
「オッケー。」
試合翌日、僕の手元には濱中治の下敷きが。約束通り彼が買ってきてくれた。
「ありがとう。」
「お安い御用だよ。」
いつもの優しい笑顔。
「いくらだった?」
「友達に買ってくっていったら、お父さんが買ってくれたんだ。だから、これはあげる。」
「え。いいの。」
あまりの嬉しさに僕は泣きそうになった。多分実際に涙目くらいにはなっていたんじゃないかと思う。持つべき者は優しい友達だ。
その日から僕は下敷きと共に通学をして、下敷きと共に授業を受けた。下敷きなら学校で使っていても不自然じゃないだろう。といっても僕は学校でこの下敷きを使うことは一度もなかった。ずっと包装のビニールに入れたまま持ち歩いていた。大事なものだから、傷が付かないようにね。
僕はまだダイエーホークスファンだったので、巨人にも相手チームにも入れ込むことなくただぼんやりと眺めていた。
そうこうしていると、不思議なもので気付かぬ内に目で追ってしまう選手というのが出来てくる。前で言う高橋由伸のように。今回は濱中治だった。
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「そしたらさ、後でお金払うから下敷きあったら買ってきてくれる。」
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「オッケー。」
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「ありがとう。」
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いつもの優しい笑顔。
「いくらだった?」
「友達に買ってくっていったら、お父さんが買ってくれたんだ。だから、これはあげる。」
「え。いいの。」
あまりの嬉しさに僕は泣きそうになった。多分実際に涙目くらいにはなっていたんじゃないかと思う。持つべき者は優しい友達だ。
その日から僕は下敷きと共に通学をして、下敷きと共に授業を受けた。下敷きなら学校で使っていても不自然じゃないだろう。といっても僕は学校でこの下敷きを使うことは一度もなかった。ずっと包装のビニールに入れたまま持ち歩いていた。大事なものだから、傷が付かないようにね。
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