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仲間

友達ポジション

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ロンドへの帰り、ポリスが遺体と機銃を回収しているのと出くわした。
ダンクが少し話して、死んでいたのは一人で地雷は見つからなかったらしい。
女の靴が落ちていたと聞いて、仲間はまだ生きているようだと聞かされた。
しぶとい女だ。サトミが心で舌打つ。

ダンクがデリーの奴にも説明しながら、ついでにポリスの事情聴取にこたえる。
こう言う強盗事件は、さして珍しくもないので聴取は簡単だ。
だが、殺したら殺したで連絡は必要。
衛星通信で、盗賊の死体の回収と後始末を頼まねばならない。
ポリスは現場検証と記録、死体回収、それと郵便局へあとで事情徴収に来る。
現場の状況とポストアタッカーの話に相違があると面倒だから、聞く内容は非常に簡単だ。
現場は危険地域がほとんどだし、遺体はだいたい仲間が回収して無いことが多い。
ポリスも大変な仕事だ。

ダンクが話しながら、通った場所を指差して説明する。
3人がかりでトラックに運ぶ機関銃の残骸を見て、ダンクとデリー郵便局のポストアタッカー、ジェイクが呆然とサトミを見る。
ばつが悪くて目をそらしていると、二人が来てそれぞれポンと肩を叩いて馬へ戻った。

「まったく、お前はマジシャンみたいな奴だなあ。
これ、バレル吹き飛んでるじゃん?…………あれ、偶然?」

「じゃね?」

簡単に返して、ベンに乗った。
偶然で銃口に入るわけねえじゃん。

ジェイクはひょいと肩を上げて、首を振り馬に乗る。

「偶然じゃ無くて何だよな~……あり得ねえ、あり得ねえよ。
ま、ロンドに行って話そうぜ!
えーっと、ちっこいのじゃなくて~なんだっけ?」

「サトミだ!ちっこいの言うな!」

「ちっこいの?!お前デリーで、ちっこいのって呼ばれてんの?ギャハハハハ!」

馬鹿笑いして、ダンクが先を行く。
ジェイクが親指を立てたので、サトミはムスッとして親指を下に向けた。





ロンド郵便局が近づいてくる。
帰ったら、ダンクは皆に話すんだろうなあと思えば気が重い。
自分の技は、芸じゃない。
だが、軍に入りたての頃は、おっさん達から付けられたあだ名は『ちびっ子サーカス』だった。
俺は、ひどく侮辱された気分で、あいつらの後頭部に3インチハゲを言われるたびに何個も作ってやった。
俺にやられたの気がつかずに、ストレスだと言ってたのが可笑しかったけど、同じチームのジンにはバレていた。


ロンドに着いて荷物を降ろし、荷受所に持って行くと、待っていたリッターが局分け分の配送に出た。
今日は少ないけど遅れているので凄い飛ばしていく。
うちの分の個別配送は、話し合いするからと一般局員が出てくれることになった。

ガイドは午前の分の個別配送回っててまだ帰ってない。
ダンクとジェイクは昼飯買いに出て、サトミは彼らの馬も連れて馬繋場に連れて行って世話をしていた。
ベンが少し機嫌が良くて、他の馬の世話をしてると噛みついてじゃれる。

「お前ほんとヤキモチ焼くよなー」

「さひしい、さひしい、にんじんほしい」

「どこで覚えんだよ、変な言葉。」

「ラジオだ、ケチ」

「まあ、テレビはそのうちな。
俺、テレビって無駄な情報多くて嫌いなんだよな~。」

ベンにニンジンやって、自分はアメ玉をなめる。
アメ玉買わなきゃ、もう少ないな。今度何味買おうかな。

「サトミー!バーガー買ってきたぞー!食おうぜ!」

「了解!」

ダンクが一体何個買ったのか、なんかバーガー屋の大きな袋持ってきた。
ジェイクはコーラの瓶5本くらい持っている。
ジェイクのおっさん、大食漢なのかもしれない。

二人が事務所に入り、しばらくして荷受所からダンクが叫ぶ。

「サトミよ~、なんかお前に荷物だってさー。
軍第1ってしか書いてない。どうするー?」

荷物?軍第1?いや、ここに勤めてるの知らないだろ。
怪訝な顔で荷受所に行くと、台車に見たことある箱だ。

「あれ?これ俺が注文してたナイフだ。なんだ、あいつ送ってくれたのか……って、やっぱバレてるじゃん。」

ちょっとガッカリした。
荷受け担当のリカが、怒ったように指差す。大変だったのだろう。

「ちょっとサトミ!これ、めちゃ重いの!自分で持ってってよ。
あ、送料払って、あー着払いだわ。」

「ええええええーーーマジ?てか、だろうなあ……」

「マジマジ、えーと、送料と中の代金合わせて1905ドル。
おっもいから送料凄く高いんだよ。」

「1905ドルって……あるわけ無いじゃん、明日払うから先に貰えないの?」

横で聞いていたキャミーが顔を出した。

「ナイフ?ナイフ代なら出すわよ、今回送料だけ払ってくれる?
次から郵便局通して注文してね、手続き面倒くさいから。あと、事務所置きになるけどいい?」

「いい!持って帰るのめんどくせえし。助かった~。送料は払うよ、どうもナイフだけじゃなさそうだ。」

抱えてみると、なんだか……妙に重いなー。

「うーん、マジ重い。まさか、人の首とか入ってないよなー。」

「は?」

「何でもない、ちょっと中確認する。」

重い箱だが、サトミは軽々と外に持っていって、音を確かめ、匂いをかぎ、慎重に箱の横を切ってみる。
上から開けるとかは無い。

「お前なんで外であけんの?しかもなんで横から切るわけ?」

ダンクが荷受所のドアから顔を出す。

「だって、爆発物や毒物仕込んであると困るじゃん。」

「ええええええええ…………友達だろ?マジかよ。どんな友達だよ! 」

驚く事に驚くのだが、俺はそれが普通だ。
友達といっても、あのジンだ。心を許したら殺られる。
だいたい荷物や手紙なんて、あいつが人に送ったのは初めてじゃないかと思う。
恐らく何かの嫌がらせがあるはずだ。
友達が何を指すか知らないが、仲が良かったわけでは無いけど、仲は良かったと思う。
自分で自分が何を言ってるかわからない。
まあ、そんな命に関わるくらいヤバいけど、一応仲のいい友達ポジションだ。
とは言え、郵便は全部X線で検査を通すので、爆発物や銃は仕込んでないはず。

サトミは慎重に開封し始めた。
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