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仲間

仲間入り

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リッターが、頬杖付いて肩をひょいと上げた。

「なんで?って聞いても困るんだろうな。
まあ、主犯が女は信用できると判断するさ。
つまりこの間、機銃で撃ってきたトラックの女と同じってわかったんだろ?

でも……、でもね、”だから心配するな”は通らないよ。
僕らはそれでも心配する。
たとえ君が200フィート(約60m)離れた場所から0.5インチ(12.7mm)の銃口に弾を撃ち込むチートだとしてもね。
君は、人間なんだ。いずれミスをするだろう、常に体調を万全にするのは困難だ。」

リッターが金色の髪をかき上げる。
サトミがクスリと笑った。

ウサギって、この人も言われてたなあ。
馬鹿にされてきたのは同じなのかもしれない。

「ありがとう、俺を人間扱いしてくれて。
今まで一度で理解できた人はいない、だいたい最初は馬鹿にされていたから。」

サトミの言葉に、ニッとリッターが笑う。

「どういたしまして、俺たち似てるかもな。
君は考えられないほどの行き過ぎた能力、俺は見た目が女っぽくて馬鹿にされる。
お互い、苦労するよな。」

フーッと大きく息を吐く、ガイドは相変わらずヒゲをザリザリ撫でている。
でも、なんとなく理解してくれたのか、表情から険しさが消えていた。

「その……いつからなんだ?それで軍にスカウトされたのか?」

「ああ、そうだ。そうだと思う。俺に自覚は無かったけど。
俺は、11まで目が見えなかったんだ。
親父は一人でも不自由しないようにと、感覚を磨けとずいぶん遊び感覚で色んな訓練考えてくれた。
でも、それがマズかったよなあ……俺はどんどん感覚が研ぎ澄まされて、歩くのに杖もいらなくなっていった。
そしてある日、スカウトが来た。目を見えるようにしてやるからとね。
でも、まさかそれっきり帰れないなんて思わなかった。」

「その、カタナも親父さんが?習わなきゃ、使えないだろう?」

「そう、遊びだよ、今は本職だけど。
最初杖で遊んでたら、親父がボクトーって、木の刀を作ってくれた。
親父たちが仕事で森の開拓やってて、俺がボクトーでデカい石バンバン割って遊んでたら、妙に有名になっちまって。
この刀は俺のために作られた。
日本のワニキリのおっさんが親父の友達で、身を守るためにと作ってくれた。」

全員が、はあーっと、どこか感嘆にも聞こえるため息をついた。
結局サトミをなんとなく作り上げたのは親父さんなんだろう。

サトミが、ガイドとリッターの前では見せたこと無いほどホッとした顔で、背もたれにボスンともたれる。

……ああ、なんか肩の荷が下りた。

そしてやっと彼らの前で、残ったコーヒーに砂糖6個入れてポーション8個入れた。

「うえええええ、出た!激甘コーヒーもどき!」

ダンクの言葉に、顔を上げるとリッターとガイドが凄い顔して見てる。
不思議な顔で混ぜて飲んでると、ガイドが砂糖にフタして横から取り上げた。

「俺はな、リーダーとして言うぞ。
サトミ!砂糖を減らせ!ミルクもだ!いいな!明日から砂糖は3つまで!ポーション2個まで!それでも多い。」

「ええええええ~~~~~!!なんで!」

「「健康に悪い!」」

ガイドとリッターが声をそろえる。
むううう、俺は今、これだけが心の支えだ。

「無理!絶対無理!ケンコーってなんだよ!なんだそれ!
俺、食い物はカロリーとタンパク食えってのくらいしか指導受けてねえもん。」

「そんな大雑把なの、指導って言わないよ~。
サトミ砂糖取り過ぎだよ、誰も言わなかったの?」

言えるわけねえじゃん、俺は怖がられてたし。
栄養指導教官とか、一言言ったら逃げてったし。

「そっか~、サトミは刃物だもんなあ、意見した奴みんな切ってたりして。くくくっ」

くっ、またリッターが人間観察に入った。
マズいのでトイレと立ち上がったら、ウソつけと引っ張られる。

それからしばらく押し問答になり、ポケットの飴も見つかって取り上げられた。
そして結局、コーヒーは自分で入れさせない、砂糖とミルクは片付けるがなぜか決まってしまった。
ミルクと砂糖の入れ物が、手が届かない棚の上に決まってしまう。
こんなガキみたいな扱い、俺は認められない。

「なんで急に子供扱いすんだよ!」

「お前はまだ、お砂糖大好きお子様だってわかったからな。
虫歯は?お前虫歯だらけじゃねえの?」

「ムシバ?ムシバって何?」

「「 えええええ~!! 」」

みんながまた声を合わせて変な目で見る。ムシバってそんなに偉いのか?

「ま、まあいいよ、お前ってほんと宇宙人だな。」

ダンクが苦笑いで肩をポンポン叩く。

「なんで?!良くねえよ!ムシバってなんだよ、教えろよ!」

誰も教えてくれない。ガッデム!マジクソ野郎どもだ!
まあいいさ、砂糖は自分のロッカーにあるし、家に帰ったら好きなだけ砂糖入れてココア飲もう。
飴もまた買ってくるし。


でも、…………こう言うの、なんだかうれしい。

気さくになんでも言ってくれるし、自分も言える。
新入りだからと俺の能力を馬鹿にする奴もいない。

平等だ。俺は、ずっと平等を求めていた。

サトミはやっと、仲間を受け入れることが出来た気がして、気分がラクになった。
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