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19、訴えられて、涙目

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ガンガンする頭で、最悪の気分を置き去りにして、あたしはひたすらダーリン追いかけて、そしてようやくデリーに帰った。
デリーじゃあたしの起こした騒ぎもポリスから連絡が入ったらしくて、ジェイクにはメチャクチャ怒られるし、ポリスには傷害罪で出頭求められるし……

「めっちゃ最悪じゃん!」


で、


一週間後、あたしは傷害と精神的苦痛とかで訴えられて、有罪になると刑務所という、瀬戸際に立たされた。

ホワイ?

なんで?    こうなるのーーーーーー!!



マジクソ野郎だわ、あたしはこんなにか弱い女の子なのに、傷害罪って何よー!
しかも、検察官に罪状読み上げられるとき、ちょ---恥ずかしいったら、ないわ。

軍の時はパパがもみ消したのに、さすがに郵便局までは手が届かない。
酔っ払ってた間のこと、ちっとも覚えてないんだもの。

ああああ、最悪ぅ!裁判になったら、沢山の人の前で恥かくって事じゃん!


ジェイクが面白そうに、コーラ飲みながら聞いてくる。

「お前、レイプ未遂の訴え認められた?」

「駄目。密室で誰も見てないし、あたしはレイプされてないし、グレーだからわかんないって弁護士のグレイが。
あいつ名前変えればいいのに。なんか妙に腹立つわ。

とにかく!示談した方が利口っぽいって!やだ!もう!パパに怒られちゃう!
ていうか!あたしパパにまた借金出来たあああああ!!!」

「示談ねえ……お前のオヤジ、軍の偉いさんだっけ。
まあ、大金持ってるから凄いよな。」

「なんであいつらのチンチンに40万ドルも価値があるわけ??
50万ドルも請求してきたのよ!グレイが40万に値切ったけど。
ちみっちみしみったれて、なっかなか値段落とさなかったの、やっとよ!
バッカじゃない?

誰よ!!あいつら助けたの!!!

地獄に落ちろ! カマ野郎!」

腹立って、ドカンとロッカー蹴ったら、めっちゃヘコんだ。

「レイルーーーーー! この野郎!備品だぞ!弁償しろ!!」

「ギャーーーー!!もうお金ないわよお!!」



と、まあそう言う目に遭いながらもポストアタッカー続けている。
相変わらず時々襲われるけど、まあ、その辺何とか逃げ切っている。

「レイル!さっさと準備しろ!速達はお前が持っていかなきゃ届かないぞー!」

「はいはい」

今日もまたロンド便。
容赦ないわー、でもがんばる!
あたしはポストアタッカーだもの。

で、

あたしの心の傷も徐々に癒えてきたある日、ロンドに行ったら久しぶりにダーリンと会った。
あたしの当番と、ダーリンの都合が合わないのでなかなか顔を合わさない。

荷物を荷受け場に出して、事務にいるキャミーにお茶誘われて、エクスプレスの事務室行くと、ビックリ、ソファーとかデスクとか、ずいぶん綺麗になってた。
きちゃなくてさ、へなへなの椅子だったから、座る気もしなかったのよねえ。
これなら休みに来てもいいかなーって、感じー。

「なんか、備品綺麗になったのね。わーこの椅子座り心地いいじゃん?」

「ええ、先日サトミに命助けてもらったからってね、エクスプレスに寄付があったのよ。
おかげでボロの備品、綺麗に出来て助かったわ~。
休憩のベッドもいいの買い換えたから、休みたい時使っていいわよ。
まあ、ほとんどリッターが二日酔いで使ってるだけだけど。」

「へ~、あいつが恩人ねえ……ま、それならあたしもダーリンに何かお礼しないとね。」

と、その時、パーティションのドアが開いて、久しぶりのダーリンの顔が現れた。
あたしの顔を見ると、微妙に不機嫌そうで、ほんとツンデレ。

「何だお前か。さっさと用が済んだら帰れ。」

「ひっど、会いたかったの一言くらい言ってもいいのよん。」

「それはない。キャミー、局長に許可もらったから、これ発注よろしく。」

「何これ、……砥石??」

「ああ、1万ドルくらいするかな。」

「ふうん……えっ??いちまんどる???」

「武器商には話し通してるから、発注すれば来る。すでに手配してもらってるから。」

「ええ~~武器商の人に先に話したの? もー、先回りしててイヤになっちゃうわ。
だいたいなんで砥石一つ1万ドルもすんの?信じられない!」

「まあ、俺が使いたい石が1万ドルってだけだ。
だいたい俺は消耗品少ねえからな、他のでせいぜい使うさ。」

「呆れた、別に無理に使わなくてもいいんだってば!」

キャミーが首振って呆れてる。
軍の武器商まで知ってるなんて、事務やってたのかしら?
なんだか不思議な男よねえ。
ダーリンは、さっさと外に出る準備する。

「軍の武器商に直接勝手に連絡入れないでって。衛星通信の予算決まってるって言ったでしょ?」

「武器商と馴染みになるのは悪いことばっかじゃ無いぜ?
だから、レインスーツもいいの知ってて助かっただろ?
ああ……刀のベルトも頼んでるから。
ここは予算少ないし、いちいち許可もらわなきゃならないから面倒くさい。
金あるうちに、なんでも買っとく。じゃあな、頼んだ。
俺はリッターの妹の個別配達の様子見てくる。あいつまだ慣れてないから。」

「えー、もう行っちゃうの?
ねえ、あの時の頼みってなんだったの?
今度の日曜、あたしセシリーちゃんの家に遊びに行くから、ダーリンの家にも行っていいわよ。」

ダーリンがドアノブ握って、ふうんと考える。
しばらく考え、マジマジとあたしのダイナマイツなボディを見回した。
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