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1,異界の地、日本
3、ヴァシュラムの家
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「で、なんでこっちに?」
「はい、実は私が王子と兄弟であることが、臣下の一部の方々に漏れてしまったようなのです。」
「えっ!ダレがしゃべったの?」
パッと思い浮かぶのは、フレアゴート。リリス達も彼から真実を聞かされたのだ。
フレアゴートは火の精霊王。
アトラーナで忌み嫌われる赤い髪、赤い瞳の魔女リリサレーンは、実はフレアゴートの巫子だった。
「ええ、フレアゴート様がベスレムに身を寄せていらっしゃるようなのですが……」
「へえ、やっと動く気になったんだ。」
「はい、そこでどうも噂が立って、そのうわさを聞かれた御家臣の方から……王位をキアナルーサ様と争う気は無いかとお話が……母上様が危険だから接触をしない方が良いと。
しばらくこちらの世界に避難せよと申されまして。」
「でも、王様が認めれば召使いから王子格上げじゃない?話してみる価値はなくない?」
「いいえ、とんでもございません。王位継承はキアナルーサ様にあるのみでございます。
私はそれに述べる身分でもありません。
私はこのまま魔導師として、何とか身を立てることができそうですし。
今のまま静かに暮らせれば……」
「相変わらず無欲よねえ。まったく。」
ヨーコが呆れて首を振った。
「リーリはわしの巫子じゃ、巫子でこれからずうっと一緒にいるのじゃ。」
「巫子って、確か生まれる前に決まって、
家族と離れて神殿に入るって奴?」
「はい、そのようなものですが、私は……
風の神殿はありませんし、もとより私が巫子になることはきっと許されません。
そのことは、フェリア様が大きくなられればわかることです。」
「リーリは…わしが嫌いなのか?どうしてそんな事言うのじゃ!」
「あちらの世界で、私のこの姿は……その内おわかりになりましょう。」
「そんなもの、わしは、わかりとうない!」
フェリアが目を潤ませ、鼻水をすすりながらパフェをがっつく。
実際いまだアトラーナでは、リリスは魔物扱いされて町に出ても買い出し一つまともに出来ない。
あの旅を無事に終えても、近くの人々からは賞賛の言葉など聞くこともなく何も変わらなかった。
「分からず屋ばかりじゃ、大人の事情など聞きとうもない。」
フェリアが鼻をすすり、綺麗に平らげたパフェの皿を舐めあげ、リリスの飲みかけの紅茶を横から一口飲んだ。
「リーリよ、もう帰ろう。」
「えっ、ちょっと待ってよ。今どこに住んでるの?あたし達ちょっと買い物でこっちに来てるのよ。」
ここで別れたら二度と会えない。
それはちょっと避けたい気持ち。
「お世話になっておりますのは……10分ほど歩いた場所で、ヴァシュラム様がお住まいの所でございます。」
「えー、あのジジイ?そう言えば用務員やめて見なくなったわよねえ。
こんな所にいたんだ。」
ヴァシュラムは、アトラーナでうやまわれる地の精霊王。しかしこの世界ではアイ達の通う中学の用務員をしていたのだ。
「はい、お仕事が良い方向へ向かわれたことで学校はお辞めになられたのです。」
「ふうん、元気でやってるんだ。ねえ、家に行ったらダメ?」
「それは構いませんが、ヴァシュラム様がいらっしゃるかどうか……」
「いいの、いいの、爺さんいなくても。リリスともう少し話したいだけ。」
結局、リリスの家へそのまま一緒に行くことになり、4人は席を立ち、喫茶店を出るとヴァシュラムの家を目指して歩き出した。
静かな住宅地に入り、あまり通行人もいない道を進む。
「どうぞ、こちらでございます。」
リリスが少しさびた洋風の門を開くと、少女が先に入って家の玄関へと駆け出す。
「へえ、何か洒落た家ねえ。」
アイ達が見上げるヴァシュラムの家は、やや古いながらも洒落た洋館風の一軒家だった。
「リーリよ、誰か来ておるぞ。」
玄関先でフェリアが立ち止まる。
「お仕事のお客様でしょうか。アイ様、ヨーコ様どうぞお入り下さい。
今お茶を入れますので。」
二人を先に入れてドアを閉めて靴を見る。
客は男二人に女1人のようだ。男物一足は、ずいぶん洒落た靴で安っぽい他の2足と印象が違う。
「ヴァッシュ!帰ったぞ!」
ポイポイと靴を脱ぎ捨て、フェリアはどたどた中へと駆け込んで行く。
「ああ、またはしたないことを……」
ため息混じりでリリスが靴をそろえ、自分のブーツのファスナーを降ろした。
「なかなか趣味いいね、じいさん。」
アイが横にある置物の女性像を撫でる。
「ここは借り物でございます。
先にお世話になりました、学校の理事長様の物とお聞きしております。」
「えー、うちの学校の理事長の?じゃあ、最初から知り合いなんだ。」
だから、ツテで学校にいたのかと納得。
すると先に入っていったフェリアが、また血相変えて駆け戻ってきた。
「リーリ!大変じゃ!ヤバイのじゃ!」
「フェリア様、家の中で走ってはいけませんと何度も……」
「ええい!良いから来るのじゃ!」
フェリアにグイグイ引かれて入って行く。
すると居間に、先ほど追ってきた男女ともう一人、20代の美しい金髪に緑の瞳をした男が座っていた。
「はい、実は私が王子と兄弟であることが、臣下の一部の方々に漏れてしまったようなのです。」
「えっ!ダレがしゃべったの?」
パッと思い浮かぶのは、フレアゴート。リリス達も彼から真実を聞かされたのだ。
フレアゴートは火の精霊王。
アトラーナで忌み嫌われる赤い髪、赤い瞳の魔女リリサレーンは、実はフレアゴートの巫子だった。
「ええ、フレアゴート様がベスレムに身を寄せていらっしゃるようなのですが……」
「へえ、やっと動く気になったんだ。」
「はい、そこでどうも噂が立って、そのうわさを聞かれた御家臣の方から……王位をキアナルーサ様と争う気は無いかとお話が……母上様が危険だから接触をしない方が良いと。
しばらくこちらの世界に避難せよと申されまして。」
「でも、王様が認めれば召使いから王子格上げじゃない?話してみる価値はなくない?」
「いいえ、とんでもございません。王位継承はキアナルーサ様にあるのみでございます。
私はそれに述べる身分でもありません。
私はこのまま魔導師として、何とか身を立てることができそうですし。
今のまま静かに暮らせれば……」
「相変わらず無欲よねえ。まったく。」
ヨーコが呆れて首を振った。
「リーリはわしの巫子じゃ、巫子でこれからずうっと一緒にいるのじゃ。」
「巫子って、確か生まれる前に決まって、
家族と離れて神殿に入るって奴?」
「はい、そのようなものですが、私は……
風の神殿はありませんし、もとより私が巫子になることはきっと許されません。
そのことは、フェリア様が大きくなられればわかることです。」
「リーリは…わしが嫌いなのか?どうしてそんな事言うのじゃ!」
「あちらの世界で、私のこの姿は……その内おわかりになりましょう。」
「そんなもの、わしは、わかりとうない!」
フェリアが目を潤ませ、鼻水をすすりながらパフェをがっつく。
実際いまだアトラーナでは、リリスは魔物扱いされて町に出ても買い出し一つまともに出来ない。
あの旅を無事に終えても、近くの人々からは賞賛の言葉など聞くこともなく何も変わらなかった。
「分からず屋ばかりじゃ、大人の事情など聞きとうもない。」
フェリアが鼻をすすり、綺麗に平らげたパフェの皿を舐めあげ、リリスの飲みかけの紅茶を横から一口飲んだ。
「リーリよ、もう帰ろう。」
「えっ、ちょっと待ってよ。今どこに住んでるの?あたし達ちょっと買い物でこっちに来てるのよ。」
ここで別れたら二度と会えない。
それはちょっと避けたい気持ち。
「お世話になっておりますのは……10分ほど歩いた場所で、ヴァシュラム様がお住まいの所でございます。」
「えー、あのジジイ?そう言えば用務員やめて見なくなったわよねえ。
こんな所にいたんだ。」
ヴァシュラムは、アトラーナでうやまわれる地の精霊王。しかしこの世界ではアイ達の通う中学の用務員をしていたのだ。
「はい、お仕事が良い方向へ向かわれたことで学校はお辞めになられたのです。」
「ふうん、元気でやってるんだ。ねえ、家に行ったらダメ?」
「それは構いませんが、ヴァシュラム様がいらっしゃるかどうか……」
「いいの、いいの、爺さんいなくても。リリスともう少し話したいだけ。」
結局、リリスの家へそのまま一緒に行くことになり、4人は席を立ち、喫茶店を出るとヴァシュラムの家を目指して歩き出した。
静かな住宅地に入り、あまり通行人もいない道を進む。
「どうぞ、こちらでございます。」
リリスが少しさびた洋風の門を開くと、少女が先に入って家の玄関へと駆け出す。
「へえ、何か洒落た家ねえ。」
アイ達が見上げるヴァシュラムの家は、やや古いながらも洒落た洋館風の一軒家だった。
「リーリよ、誰か来ておるぞ。」
玄関先でフェリアが立ち止まる。
「お仕事のお客様でしょうか。アイ様、ヨーコ様どうぞお入り下さい。
今お茶を入れますので。」
二人を先に入れてドアを閉めて靴を見る。
客は男二人に女1人のようだ。男物一足は、ずいぶん洒落た靴で安っぽい他の2足と印象が違う。
「ヴァッシュ!帰ったぞ!」
ポイポイと靴を脱ぎ捨て、フェリアはどたどた中へと駆け込んで行く。
「ああ、またはしたないことを……」
ため息混じりでリリスが靴をそろえ、自分のブーツのファスナーを降ろした。
「なかなか趣味いいね、じいさん。」
アイが横にある置物の女性像を撫でる。
「ここは借り物でございます。
先にお世話になりました、学校の理事長様の物とお聞きしております。」
「えー、うちの学校の理事長の?じゃあ、最初から知り合いなんだ。」
だから、ツテで学校にいたのかと納得。
すると先に入っていったフェリアが、また血相変えて駆け戻ってきた。
「リーリ!大変じゃ!ヤバイのじゃ!」
「フェリア様、家の中で走ってはいけませんと何度も……」
「ええい!良いから来るのじゃ!」
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