速達配達人 ポストアタッカー 新1 〜ポストアタッカー狩り〜

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第19話 さあ、荒野渡りの隣市局へ

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「あー天気いいじゃん良かったぁ!
さぁて、準備出来たし、行くぞーベン!今日はロングランだから頑張れよ~
んー、おやつはお前のニンジンと、俺はクラッカーに角砂糖でいいかな。
向こう行くようになったら、お菓子買いに行こうっと」

ごそごそ、鞍に取り付けたバッグに入れて、戸締まりしてベンに乗る。
朝の空気は爽やかで、人通りは少ないけど近くのパン屋のパンを焼く匂いが漂ってきた。

「あー美味そうな匂いだな。明日は朝から買いに行こうっと」

でっかいあくびしながら、郵便局に出勤する。
当直の警備員にパスを見せてゲートをくぐり、中に入るとすでにダンクがエクスプレスの事務所のドアを開けようとしていた。

「お、ちゃんと起きてきたかー、偉いぞ新人~
装備付けて出発だー。今日一日がんばったら明日は休みだ。へこたれんなよ?」

眠そうな声で、張りが無い。
だが、サトミの姿を見て目を丸くした。
普通のジーンズにシャツの上にダークグリーンのエクスプレスのジャケットだけだからだ。

「えっ??なんで?なんでボディアーマー着てないの?
ズボン、両脇にプレート入ってるのもらわなかった?」

「もらったけど、サイズあってないからデカいもん。邪魔だからいらねえや」

「いらねえって??そんな話じゃ無いだろ?え?命だよ、命ー!」

「じゃ、先輩よろしく~」

「え?え~~!馬は?馬はちゃんと着せてきた?首と胴に巻き付ける奴」

「いらねえってさ、嫌がるから着けてない」

「えええええーーー!!
狙撃されたらどうすんの?お前ら死ぬの?俺めっちゃ困るんだけど~」

「そうだなー、死ぬとか考えたことねえし、死ぬ気も無いから」

2人の声を聞いて、足音が近づきパーティションのドアが開いた。
もう1人、オマケを忘れてた、カリン・ルー、通称エジソンだ。
気の弱そうな白っぽい頭にはヘルメットに、着せられてる感じのボディアーマーと完全装備だ。
腰にはスタンガンにスライム銃と、何やら不明の銃がいろいろぶら下がっている。

「本日は、よろしくお願いしますう。遅れないよう付いていきますので。」

「ああ、その銃面白いよな、中の液体がパッと固まる奴。もう一丁ある?」

サトミがキャミーが使っていたのと同じスライム銃を指す。

「ああ、エクスプレスの備品にあるぜ。鞍に付けてやんよ。」

ダンクが棚から出して、スライム弾の残弾を確認して渡す。
エジソンが、簡単に使い方を説明してくれた。
まあ、セイフティー外して引き金引けば出る。それだけだが。
カプセル割れて空気に触れると瞬時に固まるらしい。
弾のカプセルが大きくて重い上に空気圧で発射するので、飛距離は短いと注意受けた。

「んでは行こうか。あれ?お前銃は?」

「ああ、俺の装備これだし。」

背に手を回し、刀を少し抜いてみせる。
ダンクがポカンと口を開けた。
サトミの装備は大小全部ナイフで、銃のかけらもない。

「マジ?お前そんな、ただのなげえナイフでどうすんの?相手銃なんだぜ?
遠くから走ってくるんだぜ?」

「んー、まあ、これまで死ななかったし、気にするな。」

「マジか、駄目じゃん。死ぬじゃん。マジでただのナイフだった。信じらんねえ……」

もの凄く落胆して見える。
サトミは相手の反応にも慣れている。
だいたい初めて見た奴はそうだ。

「そのなげえナイフ、なんて名前?」

「ああ、名前?『鰐切』……って、ああ武器としての名前か。日本刀って言うんだよ。」

「なんだ?それ、ワニキリ??変な名前。ま、いいや。俺の足引っ張るなよ。
備品にGPS発信器と衛星通信の電話あるから、非常時は赤のボタンでエマージェンシー入れて、1のボタンでロンドか2のボタンでデリー本局に連絡な。
あと、これが緊急時の発煙筒。
俺も始めた頃一度落馬してさ、発煙筒のお世話になったんだわ。
ただし、使うのは場所がわからないって連絡受けてからだ。
最初GPS、助けが来て要請があったら発煙筒な。
先に焚くと、盗賊呼ぶ時あるから注意だ。」

「了解、先輩」

「よし、荷物積んで出発だ。荷下ろし場を開けた所に準備してあるから」

「わかった。ほんじゃ先輩よろしく~」

「おうっ!」

と、言うわけでようやく出発となった。
今日はこちらからの荷物少ないので、ダンクの馬だけで済む。
帰りは多いらしい。



ロンドの町を抜けて、デリーまでの荒野渡りの開始だ。
デリーは人口がロンドの3倍?4倍?いや5倍か?まあそのくらいあるでっかい市だ。
駅で言うとデリーがこの辺の本局で、ターミナル的存在だ。
デリーを中心に、周囲の町のそれぞれの支局がぶら下がる。
ロンドはその1つだ。
そんでもって、ロンドの下にも3局と、豆粒みたいな1局ぶらさがっている。

局同士で輸送網作って、この国の郵便は成り立っている。
どこか1つ途絶えると、困る奴はワンサカ出る。
俺は今まで軍で電話を普通に使ってたから、下界には電話が少ないってのやっと思い出した。
俺のスキルが役立つってんなら、この仕事はきっと楽しいと思う。
だいたいこの俺が、家でボーッとしてるとか、性に合わない!

荒野の一本道は、マトになりやすいので休憩ポイントまで突っ走る。
先頭を行くダンクに、少し離れて併走するエジソンの後ろを走りながら、サトミがぼやく。
ベンが少しスピード落として耳を立てた。

「お前なあ!可愛くないってよお!メスかよ?!」

確かに俺は、ちゃんと馬着を着せようとしたんだ。ちゃんとだぜ?
でもなあ、こいつ可愛くないからやだって言い張るんだもんよ。
茶色と緑の迷彩模様がぐねぐねして気持ち悪いんだとさ。
俺も着ないから強く言えねえけど、昨日甘く見るなって言ってきたのに、全然説得力ねえじゃん。
つか、俺はこれが普通だし、下界の奴らにはわからねえだろうから説得諦めるわ。

「今日はよ、一日すっげえ走ると思うから!期待してるぜ御主人様!」

ベンが頭を少し上下した。
うん、と言うことか。頭いい馬は便利だよなあ。

よしっ!さあ来い、強盗!俺は待ってるぜ!

キシシシシと、やる気満々で青い空を見て、ポンと腹を蹴りスピードを上げる。
なんか後ろでブツブツしゃべり声が聞こえて、怪訝な顔でダンクがチラ見した。

新人はとことん変な奴だ。
なんでこんなのをキャミーがスカウトしたのかわからない。
盗賊は、ほとんどが銃で撃ってくる。
逃げ足が速いんだろうか。

「あーなんか俺って『俺が食われてる間に逃げろ!』とか言う、やられ系先輩?
んな、危険だってわかってんのに不用心な奴のお守りなんてよぅ、ついてねえなぁ」

エジソンはずっとなんか聖書の言葉か、舌噛みそうになりながらブツブツ念仏唱えている。

それぞれがぶつくさぼやきながら、3人は荒野を走り出した。
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