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第49話 見たい!見たい!!あんたを見たい!!
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風が吹き、辺りを見回し空を見上げる。
雲が流され、青空が見えてくる。
この分だと晴れそうだなーと思う。
だが、それにしても、よ。
「くっそ、手間取らせやがって。
ジンが俺の足止めになるとか、舐めたこと考えてねえだろ?エンプよぉ。」
ジンは縛り上げて、木に逆さに釣って放置してきた。
おでこに「犯罪者」って怪しいスペルで書いたからわかるだろ。
うーん、クリミナルって、klimenalで合ってたっけ?
うーん、うーん、
馬鹿野郎!!俺に文字書かせるな。
ポケットから袋を取り出し、ザッと角砂糖を口に頬張る。
ボリボリボリ
「あっ、あー、KじゃなくてCかな?あー、くそっもういいや!」
心地いい甘みが、頭をすっきりクリアーにする。
マジで勉強した方がいいと思うんだ。時々そう思う。うん。
岩山に向けてベンを走らせ、揺れるたてがみを撫でる。
ベンの小ささは最初ビックリしたけど、今じゃ俺には丁度いい。
もう何年も相棒でいる気がする。
「なあベン。今からよ、お前死ぬかもしれないけど、どうする?」
ベンがスピードを落として横を向く。
カカッ、カカッ
小気味良いリズム感のひづめの音が響き、サトミがニッと笑う。
「俺さ、降りてもいいぜ?」
「フンッ!ニンジン、100本!」
「オッケー!生きて帰ったら腹一杯食わせてやるよ!」
ブルルルル!「キヒヒヒーン」
笑っていななき、またスピードを上げた。
「アハハハ!!ほんと、変な奴だぜ!」
付き合ってくれるのが何だか嬉しくて、声を上げて笑う。
笑うしかねえだろ、どうしろって言うんだ。こいつはタダの馬なんだぜ?
でもよ、
「ベン!お前は特別なご主人様だ!生きて帰れよ?俺は、お前がいないと寂しい。
キシシシシ、寂しいんだぜ?この俺がよ。」
フンッ!鼻息荒く、ベンの走りはいつも疲れを知らない。
「お前はいい馬だ!死ぬのは惜しい、生きろ!生きろ!!」
ああ、本当に、無性に腹が立つ。俺は普通に下界で生活したいだけなのに、何故邪魔をする。
クソ野郎、どうしてくれよう。
苦々しく手綱を握りしめる。
エンプティの顔を思い出すのも忌々しい。
「くそ、くそ、くそっ!!あんなクソ野郎のために!!」
サトミの顔が鋭く、暗く、恐ろしいまでに影を落として行く。
心が沈み、頭がキリキリと冴え渡る。
全身が、ざわざわと毛が逆立つように高揚する。
この、感覚。
「俺はまた、この一時をタナトスのスラッシャーに戻る。戻らなきゃならねえ。
だが、この俺をまた、ただの殺し屋に引き戻したこの罪、貴様を俺は許さねえ。
絶望しろ、そして死ね。」
エンプティが、岩山のダンクを狙っていたライフルを降ろした。
突然現れた男に、周囲を見渡す。
あれは……なんだ?いきなり登ってきた。
あれはアタッカーなのか?なんの為に?まさか、援護?
隊長に、読まれた?
鉄仮面の無表情が、目を見開きニイッと笑った。
岩棚の端までよって、双眼鏡でロンド側を見回す。
来るのか?来るのか?
はあはあはあ、心が高揚して、心臓が早鐘を打ち息が上がる。
またあの剣技が、久しぶりに見られる!
そう思うと、激しく胸が打ち震え興奮す___
カーーーン
「ハッ!」
聞き覚えのある音に、瞬時に双眼鏡を離した。
ガーーーンッ!!
「グギャッ!!」
いきなり双眼鏡が顔に激突し、後ろに吹き飛ぶ。
それはエンプの顔面を強打し、鼻がひしゃげて額が裂け、顔中血だらけになって両手で押さえた。
「ぐあ、あ、あ、ゲフッ!ガハッ!」
血が喉に流れて思わず咳き込む。
強い打撃を受けて、四つん這いでゲエゲエその場で吐くと顔を上げた。
転がった双眼鏡に、見慣れた小さなナイフが刺さっていた。
こんなナイフが、弾丸のスピードでやってくる。
「ハハッ、ハハハハハハハ……ゲフッ!ゴホッ、ゴホッ!j
信じられない、この距離で。
血を吐き出しながら、立ち上がって遠く道に立つ砂煙に笑い、よろめきながら車に走った。
「俺は、俺は、あんたが見たいんだ!
俺は!!」
近くに置いていたドローンを飛ばす。
ノートパソコンの画面には、ドローンからの映像が見える。
上へ、上へ、
気付かれぬよう、上空から追わせて、そして___
カーーーン
ハッと顔を上げた。そっとパソコンを見る。
ドローンのカメラがブラックアウトしていた。
「!! だ、駄目か!!駄目なのか??!!」
パソコンのディスプレイに手を伸ばす。
べっとりと血が付き、ギリギリと歯を噛みしめる。
もう1台の予備のドローンを飛ばそうとして、止めた。
カメラを切り替え、固定のカメラを写す。
目を見開き、手を合わせる。
これほどカメラごときに願いを寄せたことは無かった。
サトミがベンを飛ばしながら岩棚を見上げ、ほくそ笑む。
「よう、タダ見はいけねえなあ~おっさん。
クソ野郎、人殺しが見たけりゃ下に降りてこい。
オヤジが言ってたぜ、タダより安い物は無いが、ただより高いモノは無いってよ。
タダの裏には隠れた対価があるもんだ。
払えよ、対価を。クソみたいな、てめえの命でよ。
キシシシシ!!」
笑うサトミは、岩山の横を通り、そして森へと突入する。
「わかるぜ!俺にはよ、お前の視線がわかる!」
森を超えながらスローイングナイフを飛ばし、雪雷の背で岩山へ向けて叩く。
それはダンクの近くにあったカメラへ、一直線に飛んでいった。
雲が流され、青空が見えてくる。
この分だと晴れそうだなーと思う。
だが、それにしても、よ。
「くっそ、手間取らせやがって。
ジンが俺の足止めになるとか、舐めたこと考えてねえだろ?エンプよぉ。」
ジンは縛り上げて、木に逆さに釣って放置してきた。
おでこに「犯罪者」って怪しいスペルで書いたからわかるだろ。
うーん、クリミナルって、klimenalで合ってたっけ?
うーん、うーん、
馬鹿野郎!!俺に文字書かせるな。
ポケットから袋を取り出し、ザッと角砂糖を口に頬張る。
ボリボリボリ
「あっ、あー、KじゃなくてCかな?あー、くそっもういいや!」
心地いい甘みが、頭をすっきりクリアーにする。
マジで勉強した方がいいと思うんだ。時々そう思う。うん。
岩山に向けてベンを走らせ、揺れるたてがみを撫でる。
ベンの小ささは最初ビックリしたけど、今じゃ俺には丁度いい。
もう何年も相棒でいる気がする。
「なあベン。今からよ、お前死ぬかもしれないけど、どうする?」
ベンがスピードを落として横を向く。
カカッ、カカッ
小気味良いリズム感のひづめの音が響き、サトミがニッと笑う。
「俺さ、降りてもいいぜ?」
「フンッ!ニンジン、100本!」
「オッケー!生きて帰ったら腹一杯食わせてやるよ!」
ブルルルル!「キヒヒヒーン」
笑っていななき、またスピードを上げた。
「アハハハ!!ほんと、変な奴だぜ!」
付き合ってくれるのが何だか嬉しくて、声を上げて笑う。
笑うしかねえだろ、どうしろって言うんだ。こいつはタダの馬なんだぜ?
でもよ、
「ベン!お前は特別なご主人様だ!生きて帰れよ?俺は、お前がいないと寂しい。
キシシシシ、寂しいんだぜ?この俺がよ。」
フンッ!鼻息荒く、ベンの走りはいつも疲れを知らない。
「お前はいい馬だ!死ぬのは惜しい、生きろ!生きろ!!」
ああ、本当に、無性に腹が立つ。俺は普通に下界で生活したいだけなのに、何故邪魔をする。
クソ野郎、どうしてくれよう。
苦々しく手綱を握りしめる。
エンプティの顔を思い出すのも忌々しい。
「くそ、くそ、くそっ!!あんなクソ野郎のために!!」
サトミの顔が鋭く、暗く、恐ろしいまでに影を落として行く。
心が沈み、頭がキリキリと冴え渡る。
全身が、ざわざわと毛が逆立つように高揚する。
この、感覚。
「俺はまた、この一時をタナトスのスラッシャーに戻る。戻らなきゃならねえ。
だが、この俺をまた、ただの殺し屋に引き戻したこの罪、貴様を俺は許さねえ。
絶望しろ、そして死ね。」
エンプティが、岩山のダンクを狙っていたライフルを降ろした。
突然現れた男に、周囲を見渡す。
あれは……なんだ?いきなり登ってきた。
あれはアタッカーなのか?なんの為に?まさか、援護?
隊長に、読まれた?
鉄仮面の無表情が、目を見開きニイッと笑った。
岩棚の端までよって、双眼鏡でロンド側を見回す。
来るのか?来るのか?
はあはあはあ、心が高揚して、心臓が早鐘を打ち息が上がる。
またあの剣技が、久しぶりに見られる!
そう思うと、激しく胸が打ち震え興奮す___
カーーーン
「ハッ!」
聞き覚えのある音に、瞬時に双眼鏡を離した。
ガーーーンッ!!
「グギャッ!!」
いきなり双眼鏡が顔に激突し、後ろに吹き飛ぶ。
それはエンプの顔面を強打し、鼻がひしゃげて額が裂け、顔中血だらけになって両手で押さえた。
「ぐあ、あ、あ、ゲフッ!ガハッ!」
血が喉に流れて思わず咳き込む。
強い打撃を受けて、四つん這いでゲエゲエその場で吐くと顔を上げた。
転がった双眼鏡に、見慣れた小さなナイフが刺さっていた。
こんなナイフが、弾丸のスピードでやってくる。
「ハハッ、ハハハハハハハ……ゲフッ!ゴホッ、ゴホッ!j
信じられない、この距離で。
血を吐き出しながら、立ち上がって遠く道に立つ砂煙に笑い、よろめきながら車に走った。
「俺は、俺は、あんたが見たいんだ!
俺は!!」
近くに置いていたドローンを飛ばす。
ノートパソコンの画面には、ドローンからの映像が見える。
上へ、上へ、
気付かれぬよう、上空から追わせて、そして___
カーーーン
ハッと顔を上げた。そっとパソコンを見る。
ドローンのカメラがブラックアウトしていた。
「!! だ、駄目か!!駄目なのか??!!」
パソコンのディスプレイに手を伸ばす。
べっとりと血が付き、ギリギリと歯を噛みしめる。
もう1台の予備のドローンを飛ばそうとして、止めた。
カメラを切り替え、固定のカメラを写す。
目を見開き、手を合わせる。
これほどカメラごときに願いを寄せたことは無かった。
サトミがベンを飛ばしながら岩棚を見上げ、ほくそ笑む。
「よう、タダ見はいけねえなあ~おっさん。
クソ野郎、人殺しが見たけりゃ下に降りてこい。
オヤジが言ってたぜ、タダより安い物は無いが、ただより高いモノは無いってよ。
タダの裏には隠れた対価があるもんだ。
払えよ、対価を。クソみたいな、てめえの命でよ。
キシシシシ!!」
笑うサトミは、岩山の横を通り、そして森へと突入する。
「わかるぜ!俺にはよ、お前の視線がわかる!」
森を超えながらスローイングナイフを飛ばし、雪雷の背で岩山へ向けて叩く。
それはダンクの近くにあったカメラへ、一直線に飛んでいった。
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