僕はねこ。名前はまだない。

夢祭(ゆさ)

文字の大きさ
1 / 2

ねこと男子高校生 その1

しおりを挟む
太陽が照りつける昼下がり。
僕はいつも通り路地裏を歩いていた。人間は毎日毎日学校や仕事で大変だな。つくづく野良猫で良かったと思う。好きな時に寝れるし、エサは近所のお姉さんに媚びれば貰えるし。雨の日だけは少し大変だけど、公園の穴の中でやり過ごせばいいだけだ。
 今日も僕は公園へ向かう。僕の特等席、南側を向いているベンチだ。そこで日向ぼっこをするのが毎日の楽しみで僕の日課だ。



………なんていうことだ。僕の特等席には、人が座っていた。制服を着て少し長髪の髪をポニーテールに結っている男だ。学校は………サボりか。彼の近くにはカバンが置いてあり、気だるげに欠伸をしている。僕はベンチへと足を進める。彼は僕には気づいていないようだ。
ん、んんん!?その、口にくわえているのはまさか!!スルメ!!ねぇねぇ僕にくれないかな?ねぇねぇ、僕もスルメ食べたいな
僕は必死に背伸びして、爪でガリガリと音を出してみる。
「ん、なんだ、ネコ坊か。」
何その呼び方。
男は僕に気づいて、抱き抱えようと手を伸ばしてくる。僕は彼のお膝へと乗っかった。
僕も食べたい!食べたいよ!アピールするように手を伸ばしたり、頬を舐めてみる。
「コラコラ、暴れるなって、くすぐったい」
男は八重歯を見せながらニカッと笑った。きっと僕がただじゃれてるだけだと思ってるのだろう。僕はスルメに狙いを定め手を伸ばし続けた
「あぁ、お前…スルメが欲しいのか!」 
そうそう!スルメ!返事をするようににゃあと鳴く。
「ほれ、やるよ。」
ついに!僕はスルメを手に入れたのだ!
男はそのまま僕の頭を撫でながらスマホをいじり始めた。世の中には2種類の猫がいるり頭を撫でられるのが好きな猫と嫌いな猫だ。僕は好きな分類だからね、頭を撫でられるととっても気持ちがいいんだ。僕は彼の上で丸まった。



…………気づけば僕は寝てしまっていたようだ。
「ん、起きたか。気持ちよさそうに寝てたもんな」
彼はまだ、僕を撫でてくれているようだ。しょうがないよ、こんな昼下がりの暖かい日。寝ない猫の方が珍しいとおもう。ただ、寝させてもらったお礼はしないとね。僕はまた、男にじゃれるように頬を舐めた。
「あられんくん。また、サボりかな?」 
「あ、み、美和子みわこさん、こ、こんにちは。いや、まぁ……」
「ふふふ正直者だね。けど、サボりはダメだよ」
「うすっ……」
「あらその子、蓮くんのネコちゃんだったの??」
「え、あ、コイツっすか?」
「うん。可愛いよね~足とかスリスリしてきてさ、可愛いからついついいっつもエサあげちゃってたんだよ。野良猫だと思ってたから、良かった~ キミ、蓮くんの家の子だったのか」 
そう言って美和子さんは僕の頭をスリスリと撫でてくる。僕にいつもエサをくれる大好きなお姉さん。僕はお返しと言わんばかりに「にゃあ」とひと鳴きした。
「お、俺ん家の猫じゃないっス。」
「え、そうなの?ゴメンね勝手に話進めちゃって」
「い、いえ全然っス。」 
「そっか~キミ、やっぱり野良なのか~こんなに可愛いのにね~」
「そうっすね……可愛い猫っす。」 
なんだコイツ。蓮が見つめていたのは、僕ではなく美和子さんだった。 あぁ、なるほどなるほど。コイツ、美和子さんのことが好きなんだな。美和子さん可愛いもんな~ちょっと天然だけど
「美和子さん今日はこれから出勤っすか?」「あ、うん。そうなの!」
「結構ここ居ますけど、時間……大丈夫すか?」
「え……あっ!!ヤバい!それじゃそろそろ私行くね!」
「うっす…」
なんだよ、名残惜しそうにしやがって。
「蓮くんも!ちゃんと行かなきゃダメだよ?」
「うっす!」
「じゃあまたね!」
「…………かわいい」
そりゃあ、美和子さんだからな。当たり前だろ!!僕はまた蓮の膝の上で丸まった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

【魔法少女の性事情・1】恥ずかしがり屋の魔法少女16歳が肉欲に溺れる話

TEKKON
恋愛
きっとルンルンに怒られちゃうけど、頑張って大幹部を倒したんだもん。今日は変身したままHしても、良いよね?

恋と首輪

山猫
恋愛
日本屈指の名門・城聖高校には、生徒たちが逆らえない“首輪制度”が存在する。 絶対的支配者・東雲財閥の御曹司、東雲 蓮の「選んだ者」は、卒業まで彼の命令に従わなければならない――。 地味で目立たぬ存在だった月宮みゆは、なぜかその“首輪”に選ばれてしまう。 冷酷非情と思っていた蓮の、誰にも見せない孤独と優しさに触れた時、みゆの心は静かに揺れはじめる。 「おめでとう、今日から君は俺の所有物だ。」 イケメン財閥御曹司 東雲 蓮 × 「私はあなたが嫌いです。」 訳あり平凡女子 月宮 みゆ 愛とか恋なんて馬鹿らしい。 愚かな感情だ。 訳ありのふたりが、偽りだらけの学園で紡ぐカーストラブ。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

処理中です...