お夜食からの呼び声

三文士

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お夜食のススメ

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 こちらはカクヨムで最初に連載をはじめたエッセイだが、流石に一字一句まったく同じものを書くのは手抜き過ぎると考えた。

 いかに守銭奴でインセンティブの奴隷である私でも、そうまでして浅ましく稼ぐ気はない。よって、まずここにカクヨムの方では書いていない新しい話を投稿しようと思う。

 前置きでも書いたがこの「お夜食からの呼び声」はあくまで夜中にこのエッセイを読んだことで小腹が刺激され、気が付いたら冷凍ごはんをチンしていた、という読者の反応が狙いだ。性格のひん曲がった男のブービートラップなのだ。
 
 くれぐれも勘違いしないでいただきたいのはこれは様々な美味しいお夜食を紹介していくエッセイではない。あくまで私の自己満飽食日記を真夜中に公開しておいて、もれなくそれを読んでしまった人々を不幸にしたいだけだ。そう思っていた。

 だがそこでまた気が付いた。シンプルにオススメの美味しい夜食の話を書くのもまた、人々を不幸にすることができる。

 そこで、アルファポリスの皆さんには申し訳ないが、カクヨム民より少しだけ不幸になっていただくとしよう。



 「汁もの」という響きが好きだ。暖かく包容力に満ち溢れている。空腹を満たしてくれるだけでなく心身共に癒し暖めてくれるものだ。

 味噌汁、うどん、ソバ、スープ、ラーメン。ストレートなスープ系に留まらず麺類を筆頭にリゾットやおじや、雑炊やクッパなど国を超えた米と汁とのシンプル料理が数多世の中に存在する。

 これらは時と場合を選ばない。朝はもちろん、昼に良し、夜に良し。平時に良し、体調不良の折に服用すれば立ちどころに改善されし…なんてことはないが弱った胃腸に優しいものと言えばまず汁ものと相場が決まっている。

 深夜に湧き出た欲望。何か食べたい。小腹が空いた。しかしポテチやピザはもってのほか。体重の増加もさることながら明朝の仕返しが怖い。決して若くない我々にとって、胸焼けはその日一日のパフォーマンスや方向性を決定づける。必要以上の脂は毒以外の何者でもない。
 
 そんな時我々は考える。満足感も得られて胸焼けもしない。できれば罪悪感も薄いものがいい。そうなるとダイエットフードとかこんにゃくとかカロリーが低いフルーツやナッツ的なものを選びそうなものだ。しかしフルーツでは満足感も少ないし、ナッツなど空気を食んでいると同じ。こんにゃくをダイエット中だから無理に食べるなんてこんにゃくに失礼だ。こんにゃくは普通に美味い。だが今は違う。

 では何を?

 そう、ここで汁ものである。汁ものは汁でかさ増しがされてるので満足度も高いし、お腹にも優しい印象だ(もちろんモノによるが)。野菜類を入れれば栄養面も補えるし罪悪感も薄れる。

 ではどんな汁ものがいいのか。

 まずはうどんである。

 うどんは消化にいい。冷凍うどんは実に手軽である。レンジでチンでも調理できるし出汁にそのままぶち込んでもいい。出汁というのは総じて優しい味だ。丁寧に昆布などからとってもいいが、手軽に市販の麺つゆでも十分に美味い。個人的には麺つゆより濃縮タイプの白だしをオススメする。刻んだネギと卵だけあれば、絶品かき玉うどんの出来上がり。刻むのが面倒であればコンビニで刻んであるネギを買えば良い。最近は手軽に手に入る。

 ちゅるちゅると口内に吸い込まれていくうどんの音。もちもちとした歯触り。優しさと暖かさに溢れる出汁の味は「大丈夫。絶対にキミを傷つけたりしないよ」と約束してくれる理想の結婚相手のようだ。じゅわあっと胃袋に染み渡りゆっくりと落ちていく。絶対にこちらを裏切らない。翌朝の胃もたれとは無縁の夜食である。

 ご飯ものはどうだろうか。

 私がよくやるのは鶏ぞうすいである。コレも、手間がかかるようでそうでもない。鶏肉を切るのが少し手間なのだが、面倒なら鶏肉を入れないのもアリだ。しかしそれでは鶏ぞうすいではないではないか!と、人々が声だかに憤るのが聞こえてくる。ご心配なく。顆粒の鶏ガラスープの素を使えばあら不思議。鶏肉なしでも鶏ぞうすいの出来上がり。ネギは先にも述べた通り。刻んだものを買ってほしい。卵を入れればより一層、鶏ぞうすいとしての存在感が増す。鶏ガラスープと卵は仲良しなのだ。

 はふはふと熱い米をれんげですくいながら頬張る。鶏ガラスープは罪悪感が薄い。奥深くて柔らかな味わい。魚と肉の間に位置する出汁だ。罪は軽い。豚骨スープも好きだが、深夜に食べるなら断然、鶏ガラスープで作った雑炊をオススメする。付け合わせに瓶詰めのザーサイでもあれば言うことなし。完璧な夜になる。

 汁を吸った米は膨れ上がり少量でも満腹感を得られる。素晴らしい料理だ。冷凍しておいた白米を軽くチンしてお湯で溶いた鶏ガラスープで煮込むだけ。水分を増やして煮込み時間を伸ばせばお粥にもなる。いよいよ胃腸に優しい夜食だ。


 さて、ここまでやや保守的なメニューを紹介してきた。「なんだコイツ。夜食がどうとかいう割に守りに入ってるじゃないか」と思われる方もいるだろう。

 それならば、と私なりに攻めた場合のお夜食をひとつ紹介しよう。この私イチオシのお夜食は、エキゾチックでアンビエントな風を貴方の夜に吹かせてくれること請け合いである。

 メニューはもちろん、ラーメンである。ただのラーメンではない。本場タイ風のトムヤムクンラーメンである。

 トムヤムクン?なんだそれ。真夜中にそんな面倒くさいの作ってられるか!バカ!

 と思われた方。まあまあ。落ち着いて。話を最後まで聞いて欲しい。私のいうトムヤムクンラーメンはこれすなわち、袋麺である。インスタントラーメンなのだ。

 これは元来、表記にある作り方に従うならば麺を丼に入れて粉末と液体のスープをそれぞれかけ、熱湯を注ぎ3分待つというチキラー方式。ガッキーのアレでお馴染みだ。しかし私はあえてそうせず独自の調理を行う。鍋を使って煮込むのだ。やや手間だが、ものの10分とかからず出来上がる。

 この袋のインスタントラーメンはカルディやスーパーマーケットで何気なく売っている小ぶりなyumyumというタイのメジャーなブランドのものである。興味のある方はぜひ試してみてほしい。

 まず表記にある通りの水分量を鍋にいれる。湯が沸いたら麺を入れる。このとき、時間の分配が大変重要になってくる。何しろ麺が細い。なのですぐに茹だってしまうから手際よくいかねばなるまい。麺が解れたら粉末、液体の両スープを入れ間髪入れずに卵を落とす。かき卵でもいいが私のオススメはスープを汚さず美味しくいただけるポーチドエッグ式。つまりドボンしたら放置だ。

 そして卵が固まってきたらネギをパラリ。丼に盛ったら最後にライムをひと搾り、といきたいが恐らく一般家庭にライムは無いのでレモン汁でもいい。瓶とかプラスチックの容器に入ったやつ。酸っぱければなんでもいい。

 パクチーが好きな方は添えてもいい。私もパクチーは好きなのでオススメである。

 辛いのと酸っぱいのがミックスしてとてつもなく美味い。エキゾチックな香り。芳醇な海老とニンニクの香り。日本のインスタントラーメンでは絶対に味わえない攻撃的な味だ。

 私はコレをよく朝ごはんに食べるが、オススメは夜だ。深夜がいい。

 何しろ、こんな刺激的な料理で一日を始めるとそのあと何を口にしても物足りなくなってしまうので。
 
 真夏の深夜、汗をかきかきすするトムヤムクンラーメン。全て食べ終えた後に流し込む一杯の冷水が満足感をより確かな物にしてくれる。

 以上、お夜食からの呼び声特別編である。

 続く

 

 






 

 

 



 

 
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