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首輪の役割
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「ふふ、楽しみですわね、彼女の演奏。」
「…え?…ああ、」
ステージに上がった女は、深く一礼して、バイオリンを持つ。
隣を見ると、不安そうに彼女を見つめる蓮さん。
私は彼にそっと腕を絡めた。
東雲財閥御曹司、東雲蓮。
高校2年である今、財閥の会社の副社長であるという地位。
そして周りが霞んでしまうほどの圧倒的なビジュアル。
完璧なスペックであるにも関わらず、気取らず誰にでも同じ態度の彼を狙ってる女は星の数ほどいる。
もちろん私もそう。
会長が出張でいらっしゃらない時を狙って私の誕生日パーティーを開催したら、狙い通り蓮さんが来てくださった。
久しぶりに見た蓮さんは、あどけなさが消え、また美しくなられていて、
そんなお姿に私の胸はいとも簡単にときめく。
その隣には、見たこともない女がいた。
蓮さんがあんなに親しげに話してる女。
見た目はまあまあだけど、絶対に私のほうが綺麗なのに。
冗談のつもりでバイオリン演奏を勧めたら鼻で笑ってやりますとかいうし。
ほんと感じ悪い女。
蓮さんはこんな女の何がいいのかしら。
ああ、ほんとに楽しみ。
あの女が、この大勢の中で、蓮さんの目の前で恥をかくのが。
早く出来ないって言いなさいよ。弾けないって。
そのままバイオリンを下ろすと思ってた女は、
そのまま、ゆっくりと弦を引いた。
~~♪♪
「………ッ………」
……は?
どうゆうこと…。
どうなってるの……。
彼女が弦を引いた瞬間、
この場の空気が変わった。
今まで騒がしかった会場が、シンと静まり返る。
誰もが息を飲み、音だけが会場を満たしていく。
……上手い。
女はまるで体の一部かのように、バイオリンを、滑らかに弾いている。
しかもこの曲は、上手い人でも、弾ける人は少ない難易度が高い曲。
私でも弾けない曲を、なんで一般人のあの女が…。
そして、この曲は私のお父様が、1番好きな曲。
あの女は、それを知ってて弾いてるのか…
たまたまなのか…
いや、弾くと言った時のあの余裕そうな笑顔。
……それを知ってて、弾くと言ったんだ。
なんなのあの女。何者なのよ。
曲のクライマックス。
1番難易度が高く、1番盛り上がる所も、女は易々と弾いて。
この会場にいる全員が、息を飲んだ。
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