15 / 19
第15幕 初めての来客2
しおりを挟む
「え!?そんな事が!?」
「えぇ、そうなのですよ!驚きましたよ、あの華洛さんが。」
ーーーーここは東館の庭園。
零は舞羅に一通り王宮内を案内し終えていた。
そして現在零と舞羅は庭園の外に設置された椅子に腰掛けて互いに楽しく話を咲かせる。
(私、仲良く出来るでしょうか...?)
最初、零の中にはこの気持ちがもんもんと漂っていたが、今ではそんな気持ちは忘れてしまって楽しく話をする。
舞羅は長い髪を風でなびかせながら同性の零でも見とれてしまいそうな整った顔立ちをしている。
そして舞羅は思ったよりも気さくな人で華洛の見かけによらない意外な一面を教えてくれる。
「ほんと、あの人ああ見えて誰か想っている人がいるんですよ!あんな仏頂面な能面なのに!!」
「えぇ!!そうなんですか!?」
「楽しそうですね。」
ほんと、ほんと!とお腹を押さえて笑う舞羅の後ろから、声が聞こえ、零はゆっくりと視線を移すとそこには華洛が仏頂面の能面...というより般若の顔で立っていた。
「他にもですね、あの人家具とかを集めているんですよ!しかもピンク色の奴ですよ!あの見た目で!!」
「ま、舞羅さん...、そろそろ、やめた方が...」
零は作り笑いの笑みを浮かべながら警告をするが、舞羅は口を閉じる気配がない。
それにつれて華洛の放つ殺気がどんどん黒く渦巻いていく。
「ほんと、おかしく...て...華洛...って...」
あ、気づいた。
舞羅は汗をたらたらと流すが時すでに遅し。
「お前は本当に口が減らないな...」
「い、いや~それほどでも...」
「褒めてないっ!!」
華洛はそう言いながらコツンと軽く舞羅の頭に拳を落とす。
「大体、いつもそうだ!お前は...」
「またですか~?それ、聞き飽きましたよ。」
「聞き飽きたじゃない!!大体な...」
「華洛さん!というより何でここにいるんですか!?」
舞羅のピンチ!と思い零はとっさに話を変える。
すると華洛は舞羅の頭を人差し指でつつきながら仏頂面で話す。
「コイツはいつもベラベラと1人で喋るので妃様に迷惑をかけていないかと心配で...」
「なんですか!?まるで私が悪いみたいな言い方~」
「事実だろうが。」
彼女らのやり取りを見ていると 思わず零まで面白くなってくる。
クスクスと笑いながら見ていると後ろから、
「どうだ?我が妃は楽しめているか?」
と甘く優しい声が聞こえてきて思わず「ひゃっ!」と変な声が出てしまう。
すぐさま後ろを振り向くとにっこりと微笑む珠羅の顔があった。
「へ、陛下!?た、楽しめていますよ!!」
「そうか、良かった。こちらももうあらかた終わったのでな。それで、華洛殿と来たのだ。」
「そうだったのですね。」
零は珠羅と話をしながら舞羅と華洛を眺めている。
「お前はずっとそうだ!小さい頃から...」
「そんな事を言われても華洛さんの方が...」
そんなやり取りを見ていると零の中にふとした気持ちが浮かび、珠羅の袖を引っ張る。
「?零、どうした?」
「あ、あの、陛下。あの2人...何だかとってもいい感じじゃないですか!?」
華洛も怒っているようだが、どう見ても本気ではないし、舞羅も少し嬉しそうに華洛と話をしており、何も知らない人から見るとどう見ても2人はお似合いだった。
「どうした?あの2人が羨ましいのか?」
「へ!?」
すると珠羅が零の肩へ腕を回し、耳元で囁く。
「零さえ良ければ、私はいつでも甘えて来てくれても良いのだぞ?」
零は耳元で珠羅の甘い声音を聞き、心臓が、ドクン、ドクンと高鳴り、頬が赤く火照る。
「そ、んな、私は、その...」
その時、
「貴方たち、何をやっているのですか?」
と背後から声が聞こえ、珠羅と2人で振り返ると按司が不機嫌そうに立っていた。
「何って、妃とただ、戯れているだけだが?」
珠羅は仏頂面で話すと按司はため息をついてから、華洛へ話しかける。
「華洛殿と舞羅殿。そろそろ出発の時間ですよ。」
すると華洛はさっきの態度とは打って変わって、声音は落ち着いてお辞儀をする。
「これはこれは按司殿。わざわざすみません。帰りまで手配していただきまして...」
「いえいえ、大丈夫ですよ。」
按司と華洛がそんな話をしていると、舞羅が零の元へやってくる。
「妃様、今日はとても楽しかったです。」
「えぇ、私も楽しかったです。」
「今度は是非私共の国へいらしてください。とても自然豊かな国なのですよ。」
「わかりました。では、今度是非。」
零は舞羅とそんな話をしていると華洛が話へ入ってくる。
「というより、このまま来ますか?今我が国は落ち着いている時期でして少し暇を持て余していますので...」
「え!?」
思わぬ誘いに零は驚く。そして珠羅の方を見て目で訴えかける。
正直行ってみたい。しかし、あくまで珠羅のためのバイト妃、私情でここを離れる訳には行かない。
「...行ってみたいのか?零。」
珠羅は零の気持ちを読み取ったらしく、優しく笑顔で微笑む。
その笑顔を見ると零はホッと心が軽くなり、
「はい。行ってみたいです。」
とにっこりと笑う。
そのやり取りを見て華洛は零へ優しい笑みを浮かべる。
「それでは、行きますか。我が国、"翠蓮"へ。」
「えぇ、そうなのですよ!驚きましたよ、あの華洛さんが。」
ーーーーここは東館の庭園。
零は舞羅に一通り王宮内を案内し終えていた。
そして現在零と舞羅は庭園の外に設置された椅子に腰掛けて互いに楽しく話を咲かせる。
(私、仲良く出来るでしょうか...?)
最初、零の中にはこの気持ちがもんもんと漂っていたが、今ではそんな気持ちは忘れてしまって楽しく話をする。
舞羅は長い髪を風でなびかせながら同性の零でも見とれてしまいそうな整った顔立ちをしている。
そして舞羅は思ったよりも気さくな人で華洛の見かけによらない意外な一面を教えてくれる。
「ほんと、あの人ああ見えて誰か想っている人がいるんですよ!あんな仏頂面な能面なのに!!」
「えぇ!!そうなんですか!?」
「楽しそうですね。」
ほんと、ほんと!とお腹を押さえて笑う舞羅の後ろから、声が聞こえ、零はゆっくりと視線を移すとそこには華洛が仏頂面の能面...というより般若の顔で立っていた。
「他にもですね、あの人家具とかを集めているんですよ!しかもピンク色の奴ですよ!あの見た目で!!」
「ま、舞羅さん...、そろそろ、やめた方が...」
零は作り笑いの笑みを浮かべながら警告をするが、舞羅は口を閉じる気配がない。
それにつれて華洛の放つ殺気がどんどん黒く渦巻いていく。
「ほんと、おかしく...て...華洛...って...」
あ、気づいた。
舞羅は汗をたらたらと流すが時すでに遅し。
「お前は本当に口が減らないな...」
「い、いや~それほどでも...」
「褒めてないっ!!」
華洛はそう言いながらコツンと軽く舞羅の頭に拳を落とす。
「大体、いつもそうだ!お前は...」
「またですか~?それ、聞き飽きましたよ。」
「聞き飽きたじゃない!!大体な...」
「華洛さん!というより何でここにいるんですか!?」
舞羅のピンチ!と思い零はとっさに話を変える。
すると華洛は舞羅の頭を人差し指でつつきながら仏頂面で話す。
「コイツはいつもベラベラと1人で喋るので妃様に迷惑をかけていないかと心配で...」
「なんですか!?まるで私が悪いみたいな言い方~」
「事実だろうが。」
彼女らのやり取りを見ていると 思わず零まで面白くなってくる。
クスクスと笑いながら見ていると後ろから、
「どうだ?我が妃は楽しめているか?」
と甘く優しい声が聞こえてきて思わず「ひゃっ!」と変な声が出てしまう。
すぐさま後ろを振り向くとにっこりと微笑む珠羅の顔があった。
「へ、陛下!?た、楽しめていますよ!!」
「そうか、良かった。こちらももうあらかた終わったのでな。それで、華洛殿と来たのだ。」
「そうだったのですね。」
零は珠羅と話をしながら舞羅と華洛を眺めている。
「お前はずっとそうだ!小さい頃から...」
「そんな事を言われても華洛さんの方が...」
そんなやり取りを見ていると零の中にふとした気持ちが浮かび、珠羅の袖を引っ張る。
「?零、どうした?」
「あ、あの、陛下。あの2人...何だかとってもいい感じじゃないですか!?」
華洛も怒っているようだが、どう見ても本気ではないし、舞羅も少し嬉しそうに華洛と話をしており、何も知らない人から見るとどう見ても2人はお似合いだった。
「どうした?あの2人が羨ましいのか?」
「へ!?」
すると珠羅が零の肩へ腕を回し、耳元で囁く。
「零さえ良ければ、私はいつでも甘えて来てくれても良いのだぞ?」
零は耳元で珠羅の甘い声音を聞き、心臓が、ドクン、ドクンと高鳴り、頬が赤く火照る。
「そ、んな、私は、その...」
その時、
「貴方たち、何をやっているのですか?」
と背後から声が聞こえ、珠羅と2人で振り返ると按司が不機嫌そうに立っていた。
「何って、妃とただ、戯れているだけだが?」
珠羅は仏頂面で話すと按司はため息をついてから、華洛へ話しかける。
「華洛殿と舞羅殿。そろそろ出発の時間ですよ。」
すると華洛はさっきの態度とは打って変わって、声音は落ち着いてお辞儀をする。
「これはこれは按司殿。わざわざすみません。帰りまで手配していただきまして...」
「いえいえ、大丈夫ですよ。」
按司と華洛がそんな話をしていると、舞羅が零の元へやってくる。
「妃様、今日はとても楽しかったです。」
「えぇ、私も楽しかったです。」
「今度は是非私共の国へいらしてください。とても自然豊かな国なのですよ。」
「わかりました。では、今度是非。」
零は舞羅とそんな話をしていると華洛が話へ入ってくる。
「というより、このまま来ますか?今我が国は落ち着いている時期でして少し暇を持て余していますので...」
「え!?」
思わぬ誘いに零は驚く。そして珠羅の方を見て目で訴えかける。
正直行ってみたい。しかし、あくまで珠羅のためのバイト妃、私情でここを離れる訳には行かない。
「...行ってみたいのか?零。」
珠羅は零の気持ちを読み取ったらしく、優しく笑顔で微笑む。
その笑顔を見ると零はホッと心が軽くなり、
「はい。行ってみたいです。」
とにっこりと笑う。
そのやり取りを見て華洛は零へ優しい笑みを浮かべる。
「それでは、行きますか。我が国、"翠蓮"へ。」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
22
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる