王宮での値段の良いバイトの正体は国王の花嫁役でした...

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第17幕 貴方はもしかして...

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「お、どうだ?ウチの自慢の着物は。」

     賑やかな町の中、男の声が響く。

「はい!とても素敵です!!」

    そう答える零は鮮やかな青色の着物に包まれていた。

「似合ってるねぇ!嬢ちゃん!まるで一国の妃みたいだよ!!」

「あ、ありがとうございます!」

    高らかに笑う店員の大柄な男の一言に零はつまりながらも返答する。

ーーーーーーーー時は少し遡る。

『いいですか?』

    煌雅はそう零に声をかける。

『貴女は今、ビーストリアの妃として来ているとは誰にも伝えておりません。ですので貴女にはここでは1人の町娘として来ていただきます。よろしいですか?』

『は、はい!』

    この煌雅という男は、もしかしたら自分の幼なじみなのだろうか。

    向こうは明らかに零の事を知っている様だが、一国の王が平民の零を知っているはずがない。

    やはりただ名前が自分の幼なじみと同じなだけだろうか。

『妃様?それでは、行きましょうか。』

    物思いにふけこんでいると舞羅の声を零の耳は捉え、一気に現実に引き戻される。

『え、えぇ。』

    零は乾いた言葉で返答しながら舞羅達の後ろをついて行った。

ーーーーそして現在。

「そ、それより本当にくださってよろしいのでしょうか?これなんて本当に高そうですが...」

    最初に寄ったのは着物などを仕立てているお店だった。

    煌雅は1着店員に頼むと出てきたのはあの青色の着物だった。

    零はあっという間に女性の店員に着替えさせられて気がつくと淡い着物に身を包まれていた。

「うん。大丈夫だよ。この国へわざわざ来てくれた妃様は初めてだからね。その敬意を示して。」

    そう煌雅はにっこりと微笑みながら答える。

ーーーーーーーーこの笑顔どこかで。

    零はふと何かが心の中で引っかかる。

    彼はここへ来る前。つまり帝都で出会った時から彼の表情は常に笑顔が咲いていた。

    そしてこの煌雅の笑み。あの昔見た幼なじみの笑顔に似ていた。

    もしかして本当に。

(って、考えすぎかしら...)

    そう零は考えるが、それ以外に思い当たる所はなく、この時はあまり気にもとめなかった。


「さあ、着きましたよ。」

    次に着いたのは、辺り1面の花畑だった。

「わあ!綺麗ですね!!」

    花は、コスモスなど、青色中心に気高く、堂々と咲き誇っていた。

「妃様!実は奥まで行けるのですよ!」

「え!?そうなのですか!?」

「はい!一緒に行きませんか!?」

    そう満面の笑みで話す舞羅に手をひかれて零とは花畑の中心へと足を進める。

    その様子を遠巻きに眺めていた煌雅は隣で暇そうにしている華洛へ声をかける。

「彼女、どう思う?」

「え?零殿の事ですか...?」

「いやいや、違うよ。舞羅の事だよ。」

    煌雅から意外な名前が聞こえて思わず華洛は「え!?」と取り乱す。

「彼女明るいからねー。僕、アタックしてみようかなー。」

    ニヤニヤと不敵に微笑みながら煌雅は華洛を見る。

「なっ!?」

    さっきから驚かされ続けている華洛はいつもの調子とはかけ離れ焦りが見える。

「本当に...ですか!?」

「嘘だよ。」

「...からかわないで下さいよ。」

    嘘だと言われていつの間にか仏頂面に戻っている華洛の顔を煌雅は静かに眺める。

「...今度はなんですか。」

「いや、なんか、青春だな~って。」

「は!?」

「いや、なんでもないよ。」

    はぁ...と華洛はため息混じりに大きく息を吐くと煌雅へ向きをなおす。

「急に言わないでください...」

「ごめんごめん。それより、君は告白とかしないのかい?」

「告白...ですか...」

「そう。したりしないのかい?」

    煌雅にそう聞かれた華洛はただ舞羅を眺めて頬を赤く染めただけで、質問には何も答えはしなかった。

「...どうですか!?ここは!」

「えぇ、とっても素敵です!!」

    零は舞羅と花畑を歩き回りながら会話を弾ませる。

    この場所に咲いている花はとても美しく、心が落ち着く所だった。すると、

「お妃様はこの場所を気に入られましたか?」

とさっきまで華洛と会話をしていた煌雅がこちらへ歩いてきていた。

「えぇ、とっても素敵ですね!」

    零は辺りを見回しながらそう感嘆の声をあげるとスっ、と煌雅が花の冠を渡す。

「これは、こちらの花で作られた冠です。よろしければどうぞ。」


「え、えぇ。ありがとうございます...!」

   零は受け取った花の冠を眺める。

ーーーーこれも、見覚えが。

   その時零の頭の中に1つの情景が流れ込んで来る。

「...!!」

     この冠は、たしか...

ーーーーーーーーそろそろ、思い出して頂けたでしょうか。

    その時、零の驚いた顔を見ながら煌雅はいつもと変わらず微笑んでいた。





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