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後もう二つの界へ(3話)

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そして、天地王が出ていって少し経つと、また違う男性が入ってきた。
男性「朱美!大丈夫か?
木から落っこちて倒れたと聞いた時は心配で俺が倒れそうだったよ。」
朱美<歩美>「え、えっと、あなたは…?」
男性がよろけた。
男性「あ、朱美、俺が分からないのか?」
朱美<歩美>が頷いた。
男性「なんてことだ…。
俺は、お前の兄で天地界の第一王子の健汰だよ!
覚えてないのか?」
朱美<歩美>「ごめんなさい。
全く分からないです。」
健汰は少し悲しそうな顔をして
健汰「そうか。
まぁ、頭を打ったんだろう。仕方ないな。」 
そう言って朱美<歩美>の頭を撫でた。
朱美<歩美>は兄が欲しかったので、頭を撫でられた時、少し嬉しそうに笑った。
健汰「あ、そうだ!
朱美、明日から俺と二人で初めての二つの界に旅行に行く約束だろ?」
朱美<歩美>は不思議そうに
朱美<歩美>「二つの界?天地界以外にも界があるんですか?」
と聞いた。
健汰「あぁ、あるよ?
まず天空界だ。この国で一番目に権力を持っている。
もう一つは天風界。権力は一番低い。」
朱美<歩美>「へー!
じゃあ、この国には三つの界があるのね!」
ちょっと楽しそうに言った。
健汰「覚えてなさそうだな。
じゃあ、今回はやめるか。」
残念そうに言ったが朱美<歩美>が目を輝かせながら
朱美<歩美>「行きたい!!」
と言った。
健汰「本当に!?よし!朱美が行きたいなら兄は喜んでお供する!」
と嬉しそうに言った。
朱美<歩美>「あ、後もう一つだけ。
ここでは兄の事を何て呼ぶんですか?」
健汰「それも忘れたのか?
兄上って言うんだよ!
それから、前みたいに敬語じゃなくてため口で話してくれ!」
朱美<歩美>は笑顔で
朱美<歩美>「はい!兄上!」
と言った。
◯翌日・天地界・王宮・天地王の書斎
旅に行くからと挨拶をしに来た朱美<歩美>と健汰。
書斎に入った。
健汰「父上!朱美と二人で二つの界を巡る約束を前からしていたと話しましたよね?
今日がその日なので、行ってきてもいいですか?」
天地王「今日なのか?
それでは、頼みたい事がある。
二人に頼んでもよいか?」
朱美<歩美>と健汰は顔を見合わせてから天地王の方を向き頷いた。
天地王「それでは、頼もう。
この手紙を二つの界の王様に一枚ずつ渡してくれ。」
朱美<歩美>「はい!父上!」
と言った。
そして、二人は天地王にお辞儀をして部屋から出ていった。
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