上 下
6 / 8

拐われた朱美(6話)

しおりを挟む
朱美<歩美>が照れていると
沙汰「でも、会えて納得したな。」
と沙汰が言った。
朱美<歩美>「何を納得したの?」
沙汰「私は少し疑っていたんだ。
この世には何人もの女子がいるのに、一人だけがこんなに噂されるほど可愛いなんてありえないとか、どうせお金持ちで金を与えて噂させたんだろうとかと思ってたんだ。
でも、会ってそれは間違えだと思った。
噂どおりに可愛くて性格も愛らしい。
こんな女子は初めて会った。」
そう言われると朱美<歩美>は照れて動揺しながら
朱美<歩美>「そ、そんな、褒めすぎだよ!
そんなこと初めて言われた。
嬉しい!ありがとう!」
と言った。
すると、煌太と健汰が二人の所へ来て
煌太「二人とも楽しそうだな!
兄上がそのように笑うなんて・・・やはり都一の美女は違いますね!」
健汰「朱美、何を話してたんだ?
ずいぶん楽しそうだったけど。」
と言った。
朱美<歩美>「え、あ、秘密よ!
それより、兄上!私、あのお店で・・・」
朱美が何か言いかけると、砂吹雪がおきて皆が目を瞑った。
朱美<歩美>「きゃー!」
朱美<歩美>の悲鳴が聞こえてきて健汰達は目を開けた。
だが、辺りを見渡しても朱美<歩美>の姿はない。
すると
煌太「見てください!あそこ!屋根の上です!」
と言われて二人が上を向いた。
すると、仮面を付けた男の人が朱美<歩美>を抱えていた。
仮面の男「女はもらった!
大事にしてやるから、心配するな!」
そう言って仮面の男が手の平に息を吹きかけた。
その瞬間、都が煙で覆われた。
煙が消えるともう二人の姿はなかった。
そして、なぜか煌太の姿もなかった。
健汰「おい!どこだ!出てこい!」
沙汰「け、健汰殿、煌太もいない!」
沙汰が言うと健汰が驚きながら
健汰「え、なぜ煌太まで!?」
そう言った。
沙汰「私は煌太を探す!
健汰殿は朱美を頼んだ!」
そう言われて、健汰が頷いた。
そして、二人は二手に分かれた。
◯天空界・都・妓楼
椅子に縛られている朱美<歩美>。
真っ正面に座りお茶を茶器に注いでいる仮面の男。
朱美<歩美>「あなたは誰なの?どうして私を連れてきたの?」
そう聞かれると仮面の男が仮面を外した。
仮面の男「自己紹介がまだだったな。
俺はこの都で一番の美男子と言われている爽太だ。」
しおりを挟む

処理中です...