【第一章】狂気の王と永遠の愛(接吻)を

逢生ありす

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悠久の王・キュリオ編

宣言1

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「不安を抱く者、意見のある者は遠慮せず声をあげてくれて構わない」

 キュリオはひとりひとりの目を見て話すように言葉を切って全体を見回す。

「キュリオ様万歳!! アオイ姫様万歳っっ!!」

 ほど近い位置からふたりを祝福する声が上がり、目を見開いたキュリオが見た人物は――

「……ブラスト……」

 彼の言葉を皮切りに、次々と喜びの声が天へと轟いた。

「キュリオ様アオイ姫様!! 一生ついて行きますっ!!」

「我が偉大なるキュリオ王とアオイ姫に祝福を!!」

「おふたりに永遠の忠誠を!! 祝福を!!」

「ふぉっふぉっふぉっ!! キュリオ様の仰せのままにですじゃ!」

 キュリオの右腕とも言われている大魔導師ガーラントが段の下で気持ちのよい笑顔を浮かべているが、彼の後方で待機する幼い剣士と魔導師は緊張した面持ちで、ただただ拍手を繰り返していた。

『な、なぁ……アレス、そろそろか、……?』

『……き、君は緊張しすぎだよっ……』

『そ、そういうお前だって!!』

『カイの緊張がうつっただけだっ……!』

 真っ赤になりながら手と口を動かしていると、急にあたりが静まり返っていることに気づく。
 すぐに事態を飲み込んだアレスの手は留まることができたが……

――パチパチパチパチ……

 空気を読めなかったカイの拍手が無情にもこだましてしまった。

『……カイッ!』

 アレスが真っ青になりながら慌てて彼の両手を押さえ、気配をひた隠ししようと試みる……が。

"君たちの出番までもう少しだ。待っていてくれるかい?"

 透き通ったキュリオの声が耳元で囁かれた。

『キュリオ様っ!?』

『これって王様の声か!?』

 どうやらカイにもその声は聞こえたらしい。顔を見合わせたふたりが檀上のキュリオを見ると優しく微笑まれてしまった。

『な、なんだこれ! いま耳元で声がしたぞ……っ!』

 魔法に疎いカイは興奮気味で捲し立てる。
 すると状況を悟ったガーラントが小声で問いかけてきた。

『ふぉっふぉっ、キュリオ様の囁きが届いたか?』

『そ、そうなんだぜっ! すぐそこに居たかと思ったくらいっ……』

『それは"音の魔法"じゃよ。キュリオ様は自身のお言葉をふたりのもとへ飛ばされたのじゃろう』

『へぇーー! 魔法って便利だな! 剣士が言葉伝えるなんてったら、大声出すか走るしかねぇもんな!』

『声が大きいよカイ……キュリオ様のお言葉はまだ終わってないんだから』

『あ、ヤッベ……』

 カイが押し黙ると同時に目が眩むような銀色の光がキュリオの手元で脈打つ。

「ありがとう。皆の愛に感謝する。
これより悠久の第二位、この国の王女としての地位を我が娘、アオイに与えることを宣言する!」

 キュリオに振り上げられた神剣が祝福の光を放ち、銀の滝となって王と姫に降り注ぐ。キュリオに微笑まれたアオイに光の粒子が触れると、まるでそれが彼の愛であるかのように心を満たしていく。

「…………」

 感じたことのない幸福感を与えられたアオイは微睡(まどろみ)、意識を手放す直前、彼の声を遠くに聞いた。


――私の愛はお前のものだ。愛しているよアオイ――……

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