115 / 211
悠久の王・キュリオ編2
番外編④
しおりを挟む
大広間の扉を開くと、眉間に皺を寄せた女官ら侍女らが部屋中を歩き回っている姿が視界に飛び込んできた。
眩いほどに日の光が差し込む大きな窓に、空を思わせるほどに高い天井は荘厳さを兼ね備えて城の特徴を大きく捉えている。
「なにかお探しですか?」
分厚く上質な深紅の絨毯を歩いて手身近な女官へ声を掛けると、その場にいた人物の視線が一斉にセンスイへと向けられた。
「どこにいらっしゃるのかしら……キュリオ様も姫様も。……っ貴方は!?」
「……ど、どなたですの? ここへ立ち入る許可は得ているのですか?」
センスイは、戸惑い半分驚き半分といった表情で困惑している彼女の、その前の言葉がひっかかる。
「私はセンスイと申します。姫君を探しているのですか? よろしければ私も一緒に……」
「な、なんの話かしら!? この国に姫様など存在いたしませんわっっ!!」
女官の背後に集まった侍女らも同意見とばかりに激しく顔を縦に振りながら、散り散りになってどこかへ消え去ってしまった。
「……よほど大切な姫君がこの城にはいらっしゃるようですね……」
センスイは明確な目的を定めたように口角を上げると、今度は中庭を目指して歩き出した――。
その頃、死の国では――。
「…………」
「…………」
しばし見つめあったまま動かないふたり。
沈着冷静な冥王の瞳には、この国に似つかわしくない、愛らしい天使のような幼子が両足を投げ出すようにちょこんと座ってこちらを見ている。
「お前……どこから来た?」
「ぅ、……」
何を問われているかわからないアオイには答えようがない。
マダラの足元には空になった丸いカプセルが一対と、その手には紙切れが一枚。そして……彼の背後で光る謎の箱にはこう書いてある。
【姫様ガチャ】
一方、変化のない精霊の国では――。
いつもと変わらず大樹の幹で目を閉じているエクシスの眼下では、粉々に破壊された謎の箱の残骸が散らばっていた――。
おしまい❤
眩いほどに日の光が差し込む大きな窓に、空を思わせるほどに高い天井は荘厳さを兼ね備えて城の特徴を大きく捉えている。
「なにかお探しですか?」
分厚く上質な深紅の絨毯を歩いて手身近な女官へ声を掛けると、その場にいた人物の視線が一斉にセンスイへと向けられた。
「どこにいらっしゃるのかしら……キュリオ様も姫様も。……っ貴方は!?」
「……ど、どなたですの? ここへ立ち入る許可は得ているのですか?」
センスイは、戸惑い半分驚き半分といった表情で困惑している彼女の、その前の言葉がひっかかる。
「私はセンスイと申します。姫君を探しているのですか? よろしければ私も一緒に……」
「な、なんの話かしら!? この国に姫様など存在いたしませんわっっ!!」
女官の背後に集まった侍女らも同意見とばかりに激しく顔を縦に振りながら、散り散りになってどこかへ消え去ってしまった。
「……よほど大切な姫君がこの城にはいらっしゃるようですね……」
センスイは明確な目的を定めたように口角を上げると、今度は中庭を目指して歩き出した――。
その頃、死の国では――。
「…………」
「…………」
しばし見つめあったまま動かないふたり。
沈着冷静な冥王の瞳には、この国に似つかわしくない、愛らしい天使のような幼子が両足を投げ出すようにちょこんと座ってこちらを見ている。
「お前……どこから来た?」
「ぅ、……」
何を問われているかわからないアオイには答えようがない。
マダラの足元には空になった丸いカプセルが一対と、その手には紙切れが一枚。そして……彼の背後で光る謎の箱にはこう書いてある。
【姫様ガチャ】
一方、変化のない精霊の国では――。
いつもと変わらず大樹の幹で目を閉じているエクシスの眼下では、粉々に破壊された謎の箱の残骸が散らばっていた――。
おしまい❤
0
あなたにおすすめの小説
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!
由汰のらん
恋愛
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。
しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。
さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。
そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。
「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」
やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった!
しかしハルの血が特殊だと知った騎士はハルを連れ帰って?
いっそ美味しい血と癒しを与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
イケメンエリートは愛妻の下僕になりたがる(イケメンエリートシリーズ第四弾)
便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある
IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC”
謎多き噂の飛び交う外資系一流企業
日本内外のイケメンエリートが
集まる男のみの会社
そのイケメンエリート軍団のキャップ的存在
唯一の既婚者、中山トオルの意外なお話
中山加恋(20歳)
二十歳でトオルの妻になる
何不自由ない新婚生活だが若さゆえ好奇心旺盛
中山トオル(32歳)
17歳の加恋に一目ぼれ
加恋の二十歳の誕生日に強引に結婚する
加恋を愛し過ぎるあまりたまに壊れる
会社では群を抜くほどの超エリートが、
愛してやまない加恋ちゃんに
振り回されたり落ち込まされたり…
そんなイケメンエリートの
ちょっと切なくて笑えるお話
貧乏育ちの私が転生したらお姫様になっていましたが、貧乏王国だったのでスローライフをしながらお金を稼ぐべく姫が自らキリキリ働きます!
Levi
ファンタジー
前世は日本で超絶貧乏家庭に育った美樹は、ひょんなことから異世界で覚醒。そして姫として生まれ変わっているのを知ったけど、その国は超絶貧乏王国。 美樹は貧乏生活でのノウハウで王国を救おうと心に決めた!
※エブリスタさん版をベースに、一部少し文字を足したり引いたり直したりしています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる