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転生、それは……なんとまあ。
水面が告げる。
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ズキンと、頭痛が響いて私は目を覚ました。最初に見えるのは目の前の虫。でもそんなものじゃ驚かない系女子の私はピントをその向こうにずらす。草が茂り、その更に奥は木々が青々と枝を伸ばしている。丸まっていた背を伸ばして、体を起こすとようやく状況を思い出してきた。
ショタ神様に異世界に飛ばされた。それでどうやら森の中らしい。意識が途切れる直前に不穏な台詞を聞いた気がするけど、どうにも思い出せない。
季節は夏なのか蝉のような羽を震わす音が聞こえる。そもそも四季があるのだろうか。あれば日本の経験も生かせるし、過ごしやすいと思うのだが。森の中なら人もいないだろうし、しばらくの間私は頭を整理し続けた。そもそもの始まりは私が死んでしまったこと。その時は結構重大なことを考えていて、階段があるということをすっかり失念していたのだ。そして気づけば綿菓子ワールド。食べてみたかったなぁ。食べるといえばあのショタ神様を味見したかったなぁ。すこーし弄るだけでいいのにぃ。
『相変わらずだねぇ?仮にも神様相手にそんなこと思わないでよ』
そうは言っても見た目が外国の歌唱団にいそうな儚げな美少年とくれば……ねぇ?男ならノンケでもゲイでも手を出したくなる見た目だもの。しょうがない。人の趣味はそれぞれあるだろうけど、なんつうか、こう、色気みたいなのが醸しでてたのよ?これで靡かない男は頭ピンピロゲな奴でしょう?
と、ふと我に返った私は、その声の発信地を探した。だが見渡せども目に優しいグリーンばかりであの肌色をも超越した透けるような肌は見当たらない。
『あ、これは頭に話しかけてるから僕はそっちにいないよ?』
……よし、ここは異世界なのだからきっとなんでもありなのだ。そういうことだ。
『それで最後にプレゼントしたものだけど、説明するから聞いてねぇ?』
ぼんやりと近い木の枝から雫が滴る様子を観察しながら、こくこくと頷いた。
『まず、柊夕さんは絶滅種に転生……だったっけ?……もういいや、柊夕さんは絶滅種です』
おおう、転生かなんか仕組み把握してないのかよ。あ、一滴落ちた。水音が響いたので水たまりがあるのだろう。絶滅種って言うんだから人間ではないのか?腕を回したり飛び跳ねてみるが、ここに来る前と大して変わらない。あれ、でも軽い?ちょっと身軽?
『……あー、話聞いてる?おーい』
なんか身体能力上がったかもしれない!だって軽いんだもの!走ってもいつもより景色が速く流れる。これはちょっと嬉しい。
『……あーあー、もう僕やだ、無理っ!もう自分で頑張って!』
「え、待ってよ!ごめんってば!」
ショタ神様が声を荒らげ、そこでやっと自分が聞いてなかったことに気づいた。
でもここで消えてもらっては今後の生活に支障をきたす。せめてこの世界の基本的な仕組みとかは教えて欲しかったのに。
「ごめんってー!出てきてよショタ神様ー!」
しかし願い虚しく、ショタ神様が応えてくれることはなかった。
「……でも、二度目の人生なんだから、楽しまないとね」
まずはともかく自分のこと、絶滅種について把握しないと。食べ物、過ごせる環境。そもそも絶滅種なんだから仲間がいない。自分で試して腹痛とかやだなー。
それにしても本当に体が軽い。腕を触ってみても、運動なんかしなかった前の私より筋肉がついているのがわかる。しっかりとしていて、女の子のふにふにした感触はあんまりない。肌は綺麗だけど弾力があまり……え、待って。ちょっと前に私下半身に、違和感があった気が……。
「待って待って待って待って!」
持てる限りの全速力で元の場所に戻り、眺めていた水滴が落ちていた水たまりに顔を写す。
二重の大きな目に見たことのないコバルトブルーの瞳。スッと通った鼻筋。少し幼くも見える、だが完全な男がそこにいた。顔の造形は前の私を男にした、本当にそんな感じだ。もともと童顔っぽかったのは男になっても変わらないらしい。
……ということはつまりあの、アレもついちゃってるんですね。第三の足が。そろ~りとサニエルのようなズボンを広げて確認。ついでに胸部も触って確認。
「うわぁお」
男性のそういうところを書籍でしか見たことがない私が言うのもあれだが、まあまあなサイズなんじゃないでしょうか。えへっ。
「完っ全に男じゃんか、これ」
ショタ神様に異世界に飛ばされた。それでどうやら森の中らしい。意識が途切れる直前に不穏な台詞を聞いた気がするけど、どうにも思い出せない。
季節は夏なのか蝉のような羽を震わす音が聞こえる。そもそも四季があるのだろうか。あれば日本の経験も生かせるし、過ごしやすいと思うのだが。森の中なら人もいないだろうし、しばらくの間私は頭を整理し続けた。そもそもの始まりは私が死んでしまったこと。その時は結構重大なことを考えていて、階段があるということをすっかり失念していたのだ。そして気づけば綿菓子ワールド。食べてみたかったなぁ。食べるといえばあのショタ神様を味見したかったなぁ。すこーし弄るだけでいいのにぃ。
『相変わらずだねぇ?仮にも神様相手にそんなこと思わないでよ』
そうは言っても見た目が外国の歌唱団にいそうな儚げな美少年とくれば……ねぇ?男ならノンケでもゲイでも手を出したくなる見た目だもの。しょうがない。人の趣味はそれぞれあるだろうけど、なんつうか、こう、色気みたいなのが醸しでてたのよ?これで靡かない男は頭ピンピロゲな奴でしょう?
と、ふと我に返った私は、その声の発信地を探した。だが見渡せども目に優しいグリーンばかりであの肌色をも超越した透けるような肌は見当たらない。
『あ、これは頭に話しかけてるから僕はそっちにいないよ?』
……よし、ここは異世界なのだからきっとなんでもありなのだ。そういうことだ。
『それで最後にプレゼントしたものだけど、説明するから聞いてねぇ?』
ぼんやりと近い木の枝から雫が滴る様子を観察しながら、こくこくと頷いた。
『まず、柊夕さんは絶滅種に転生……だったっけ?……もういいや、柊夕さんは絶滅種です』
おおう、転生かなんか仕組み把握してないのかよ。あ、一滴落ちた。水音が響いたので水たまりがあるのだろう。絶滅種って言うんだから人間ではないのか?腕を回したり飛び跳ねてみるが、ここに来る前と大して変わらない。あれ、でも軽い?ちょっと身軽?
『……あー、話聞いてる?おーい』
なんか身体能力上がったかもしれない!だって軽いんだもの!走ってもいつもより景色が速く流れる。これはちょっと嬉しい。
『……あーあー、もう僕やだ、無理っ!もう自分で頑張って!』
「え、待ってよ!ごめんってば!」
ショタ神様が声を荒らげ、そこでやっと自分が聞いてなかったことに気づいた。
でもここで消えてもらっては今後の生活に支障をきたす。せめてこの世界の基本的な仕組みとかは教えて欲しかったのに。
「ごめんってー!出てきてよショタ神様ー!」
しかし願い虚しく、ショタ神様が応えてくれることはなかった。
「……でも、二度目の人生なんだから、楽しまないとね」
まずはともかく自分のこと、絶滅種について把握しないと。食べ物、過ごせる環境。そもそも絶滅種なんだから仲間がいない。自分で試して腹痛とかやだなー。
それにしても本当に体が軽い。腕を触ってみても、運動なんかしなかった前の私より筋肉がついているのがわかる。しっかりとしていて、女の子のふにふにした感触はあんまりない。肌は綺麗だけど弾力があまり……え、待って。ちょっと前に私下半身に、違和感があった気が……。
「待って待って待って待って!」
持てる限りの全速力で元の場所に戻り、眺めていた水滴が落ちていた水たまりに顔を写す。
二重の大きな目に見たことのないコバルトブルーの瞳。スッと通った鼻筋。少し幼くも見える、だが完全な男がそこにいた。顔の造形は前の私を男にした、本当にそんな感じだ。もともと童顔っぽかったのは男になっても変わらないらしい。
……ということはつまりあの、アレもついちゃってるんですね。第三の足が。そろ~りとサニエルのようなズボンを広げて確認。ついでに胸部も触って確認。
「うわぁお」
男性のそういうところを書籍でしか見たことがない私が言うのもあれだが、まあまあなサイズなんじゃないでしょうか。えへっ。
「完っ全に男じゃんか、これ」
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