はい?転生したのが絶滅種?んで私は両性!?

はるわ

文字の大きさ
2 / 5
転生、それは……なんとまあ。

水面が告げる。

しおりを挟む
  ズキンと、頭痛が響いて私は目を覚ました。最初に見えるのは目の前の虫。でもそんなものじゃ驚かない系女子の私はピントをその向こうにずらす。草が茂り、その更に奥は木々が青々と枝を伸ばしている。丸まっていた背を伸ばして、体を起こすとようやく状況を思い出してきた。
  ショタ神様に異世界に飛ばされた。それでどうやら森の中らしい。意識が途切れる直前に不穏な台詞を聞いた気がするけど、どうにも思い出せない。
  季節は夏なのか蝉のような羽を震わす音が聞こえる。そもそも四季があるのだろうか。あれば日本の経験も生かせるし、過ごしやすいと思うのだが。森の中なら人もいないだろうし、しばらくの間私は頭を整理し続けた。そもそもの始まりは私が死んでしまったこと。その時は結構重大なことを考えていて、階段があるということをすっかり失念していたのだ。そして気づけば綿菓子ワールド。食べてみたかったなぁ。食べるといえばあのショタ神様を味見したかったなぁ。すこーし弄るだけでいいのにぃ。
『相変わらずだねぇ?仮にも神様相手にそんなこと思わないでよ』
そうは言っても見た目が外国の歌唱団にいそうな儚げな美少年とくれば……ねぇ?ならノンケでもゲイでも手を出したくなる見た目だもの。しょうがない。人の趣味はそれぞれあるだろうけど、なんつうか、こう、色気みたいなのが醸しでてたのよ?これで靡かない男は頭ピンピロゲな奴でしょう?
  と、ふと我に返った私は、その声の発信地を探した。だが見渡せども目に優しいグリーンばかりであの肌色をも超越した透けるような肌は見当たらない。
『あ、これは頭に話しかけてるから僕はそっちにいないよ?』
……よし、ここは異世界なのだからきっとなんでもありなのだ。そういうことだ。
『それで最後にプレゼントしたものだけど、説明するから聞いてねぇ?』
ぼんやりと近い木の枝から雫が滴る様子を観察しながら、こくこくと頷いた。
『まず、柊夕さんは絶滅種に転生……だったっけ?……もういいや、柊夕さんは絶滅種です』
おおう、転生かなんか仕組み把握してないのかよ。あ、一滴落ちた。水音が響いたので水たまりがあるのだろう。絶滅種って言うんだから人間ではないのか?腕を回したり飛び跳ねてみるが、ここに来る前と大して変わらない。あれ、でも軽い?ちょっと身軽?
『……あー、話聞いてる?おーい』
なんか身体能力上がったかもしれない!だって軽いんだもの!走ってもいつもより景色が速く流れる。これはちょっと嬉しい。
『……あーあー、もう僕やだ、無理っ!もう自分で頑張って!』
「え、待ってよ!ごめんってば!」
ショタ神様が声を荒らげ、そこでやっと自分が聞いてなかったことに気づいた。
  でもここで消えてもらっては今後の生活に支障をきたす。せめてこの世界の基本的な仕組みとかは教えて欲しかったのに。
「ごめんってー!出てきてよショタ神様ー!」
  しかし願い虚しく、ショタ神様が応えてくれることはなかった。
「……でも、二度目の人生なんだから、楽しまないとね」
まずはともかく自分のこと、絶滅種について把握しないと。食べ物、過ごせる環境。そもそも絶滅種なんだから仲間がいない。自分で試して腹痛とかやだなー。
  それにしても本当に体が軽い。腕を触ってみても、運動なんかしなかった前の私より筋肉がついているのがわかる。しっかりとしていて、女の子のふにふにした感触はあんまりない。肌は綺麗だけど弾力があまり……え、待って。ちょっと前に私下半身に、違和感があった気が……。
「待って待って待って待って!」
持てる限りの全速力で元の場所に戻り、眺めていた水滴が落ちていた水たまりに顔を写す。
  二重の大きな目に見たことのないコバルトブルーの瞳。スッと通った鼻筋。少し幼くも見える、だが完全ながそこにいた。顔の造形は前の私を男にした、本当にそんな感じだ。もともと童顔っぽかったのは男になっても変わらないらしい。
  ……ということはつまりあの、アレもついちゃってるんですね。第三の足が。そろ~りとサニエルのようなズボンを広げて確認。ついでに胸部も触って確認。




「うわぁお」



  男性のそういうところを書籍でしか見たことがない私が言うのもあれだが、まあまあなサイズなんじゃないでしょうか。えへっ。
「完っ全に男じゃんか、これ」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

学生学園長の悪役貴族に転生したので破滅フラグ回避がてらに好き勝手に学校を魔改造にしまくったら生徒たちから好かれまくった

竜頭蛇
ファンタジー
俺はある日、何の予兆もなくゲームの悪役貴族──マウント・ボンボンに転生した。 やがて主人公に成敗されて死ぬ破滅エンドになることを思い出した俺は破滅を避けるために自分の学園長兼学生という立場をフル活用することを決意する。 それからやりたい放題しつつ、主人公のヘイトを避けているといつ間にかヒロインと学生たちからの好感度が上がり、グレートティーチャーと化していた。

処理中です...