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転生、それは……なんとまあ。
お決まりの。※ごめんなさい短いです
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え、待って。
そんな声が出る前に、グロアが蔦に隠された鉄扉を押し開いた。え、それ何。そんなのあったっけ!?緊張から一行の視線が鋭くなる。そうなってしまえば、もう口を挟めなかった。
これでも空気は読めるんですから、私。
冷気が足元から這い上がる。塊の一番最後尾にいても震え上がるほどの悪寒が駆け抜けた。RPGゲームのボスと言えば……ここは森だから、獣かな……。呑気に様相を考えていたからか、咄嗟の大声に反応が遅れた。
「来るぞ!避けろ!」
まだ完全に開いた訳では無い両門扉。その陰に隠れるように集団が二つに別れるが、私だけがグロアの声に従わなかった。
「は、え?」
というか戦闘経験皆無な(中身だけは)乙女がそんな軍隊みたいに動けると思わないでほしい。
暗闇の奥から、ちらりと何かが光った。それを確認するより早く茨が伸びてきて、私の体を攫う。細く、直径五センチにも満たない数本に瞬く間に引きずり込まれる。
「あ、や、うわああああああああ!!!」
「ユウ!」
残響を残して闇に溶けた。すぐに複数の足音がしてグロア達が入って来たことに安堵するが、力が抜けた体を茨が締め付ける。あう、内臓が……。痛い。いだい。なんかチクチク、というか刺されてる気がする。この服、素材が薄いんだかなんだが刺が刺さる。あまりにも軽装過ぎて早くも後悔し始めた私は茨を見る。と、この茨、服の中に侵入していた。
「どうりで痛いと……」
だがこの位我慢できる。それよりも早く茨を断ち切ってくれないかと周囲を見渡した。そして、それによって恐ろしい形相の悪魔を見ることとなる。
「な、なんだ、あれ……」
ホールのような大きな広間の中央、小さな色とりどりの薔薇達、の更に更にど真ん中、とてつもなく大きい、真紅の薔薇が咲いていた。どうしてアレが見えなかったのかと気になるほど大きい。それと同時にきつい匂いが鼻をさす。思わず顔を顰めたほどだ。
あんな薔薇、大抵トラップなんだよな。こう、ほわ~、いい香り~って近づけばガブッ!……とね。食虫植物ならぬ、食肉植物。人も勿論、大型の獣まで食らうっていうね。
ゆっくりと茨が薔薇に私を近づける。それに合わせて花弁をもっと開いてゆく大薔薇。
んん、これってまさにそんな感じじゃないんだろうか。
冷や汗が頬を伝う。
ようよう真上に来るという時、大薔薇は本性を表した。
「……いやだああああああああ!」
ポッカリと空いた中央は金属で出来ているような、光沢のある歯が幾重にも存在していた。まるで鮫。
「あうわああああああああ!」
「ユウ!ユウ!」
「ユウさん!」
ああ、さようなら、短い私の第二の人(?)生。わがまま言うなら誰かを犯してみたかったなぁ。勿論、同意の上で。
そんな声が出る前に、グロアが蔦に隠された鉄扉を押し開いた。え、それ何。そんなのあったっけ!?緊張から一行の視線が鋭くなる。そうなってしまえば、もう口を挟めなかった。
これでも空気は読めるんですから、私。
冷気が足元から這い上がる。塊の一番最後尾にいても震え上がるほどの悪寒が駆け抜けた。RPGゲームのボスと言えば……ここは森だから、獣かな……。呑気に様相を考えていたからか、咄嗟の大声に反応が遅れた。
「来るぞ!避けろ!」
まだ完全に開いた訳では無い両門扉。その陰に隠れるように集団が二つに別れるが、私だけがグロアの声に従わなかった。
「は、え?」
というか戦闘経験皆無な(中身だけは)乙女がそんな軍隊みたいに動けると思わないでほしい。
暗闇の奥から、ちらりと何かが光った。それを確認するより早く茨が伸びてきて、私の体を攫う。細く、直径五センチにも満たない数本に瞬く間に引きずり込まれる。
「あ、や、うわああああああああ!!!」
「ユウ!」
残響を残して闇に溶けた。すぐに複数の足音がしてグロア達が入って来たことに安堵するが、力が抜けた体を茨が締め付ける。あう、内臓が……。痛い。いだい。なんかチクチク、というか刺されてる気がする。この服、素材が薄いんだかなんだが刺が刺さる。あまりにも軽装過ぎて早くも後悔し始めた私は茨を見る。と、この茨、服の中に侵入していた。
「どうりで痛いと……」
だがこの位我慢できる。それよりも早く茨を断ち切ってくれないかと周囲を見渡した。そして、それによって恐ろしい形相の悪魔を見ることとなる。
「な、なんだ、あれ……」
ホールのような大きな広間の中央、小さな色とりどりの薔薇達、の更に更にど真ん中、とてつもなく大きい、真紅の薔薇が咲いていた。どうしてアレが見えなかったのかと気になるほど大きい。それと同時にきつい匂いが鼻をさす。思わず顔を顰めたほどだ。
あんな薔薇、大抵トラップなんだよな。こう、ほわ~、いい香り~って近づけばガブッ!……とね。食虫植物ならぬ、食肉植物。人も勿論、大型の獣まで食らうっていうね。
ゆっくりと茨が薔薇に私を近づける。それに合わせて花弁をもっと開いてゆく大薔薇。
んん、これってまさにそんな感じじゃないんだろうか。
冷や汗が頬を伝う。
ようよう真上に来るという時、大薔薇は本性を表した。
「……いやだああああああああ!」
ポッカリと空いた中央は金属で出来ているような、光沢のある歯が幾重にも存在していた。まるで鮫。
「あうわああああああああ!」
「ユウ!ユウ!」
「ユウさん!」
ああ、さようなら、短い私の第二の人(?)生。わがまま言うなら誰かを犯してみたかったなぁ。勿論、同意の上で。
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・主人公の性癖?性向?は設定として
→性的嗜好、ですね
詳しくはぐぐってみてください
・『女として女を愛し、男として男を愛す』という感じです。これをなんと言うか
→同性愛、ですね
ありがとうございます!
自分の無知が大変お恥ずかしい……!
同性愛、も入ってるんですけど、なんというか、両性に対する同性愛も何か言い方ってあるんでしょうか……?そこが気掛かりで……。本編はまだまだ男性ですし、そんな雰囲気も一切合切登板しておりません……。早いうちに同性愛、と明記しておきます!