あの日、答えはもらえなかったー納得できなかった記憶達へー

撫子

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学校編「溜息一つに咎を受けて」

「あの担任に、“正しさ”はあったのか」

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 更に理不尽な大人に出会った。
 最初に担任の顔を見た瞬間、なんとなく「この人、ダメかも」と思った勘は──残念ながら当たっていた。

 期末テスト直前、教室は緊張で張りつめていた。
 そんな中、担任は生徒のひとりに「もっと学級日誌の文章を多く書け」としつこく指摘した。
 その生徒は「内申書に家庭のことを触れないように」と前任の担任が引き継いでいたらしいと他の先生から聞いていた。
 テスト前に精神をかき乱すような言葉をぶつける必要が、本当にあったのだろうか?

 食い下がる担任に対して、生徒はついに怒りを爆発させ「殴るぞ、お前!」と声を荒げた。
 すると担任は、「ああ、来いよ。殴ってみろ」と挑発した。
 そして実際に殴られた。

 ──結果、殴った生徒だけが停学処分となった。
 挑発した担任には、お咎めひとつなかった。

 私は納得がいかなかった。
 県立高校だったから、県の教育委員会に電話をかけた。
 教頭から「担任が謝罪する」と言われ、念のため録音の準備までして待っていた。

 けれど、担任の口から出た言葉は「俺も悪かったと思う」──それだけ。
 本気の謝罪とは、とても思えなかった。

 教頭に「ちゃんと謝っただろ」と言われたときには、「録音、聞きますか?謝ってませんけど?」と食い下がった。
 私は未成年だった。
 つまり、先生たちにとって「粗末に扱えば問題になる存在」だったのだと、どこかで理解していた。

 大人を気遣う気持ちなんて、当時の私にはなかった。
 何より納得できなかったのは、「謝る」という当たり前のことを、大人であり教師であるはずの彼ができなかったこと。
 私は教頭にこう言った。

「私は子どもなので、大人の事情は知りません。でも謝罪って、年齢が一桁の子でもできることですよね? “見本”になるべき教師ができない方が問題だと思います」

 それに対して教頭は「子どもって、都合のいい時だけそういう言い方する」と返してきた。
 その瞬間、ああこの人も、結局は身内をかばう大人の一人なんだなと悟った。

 ──今でも心に引っかかっていることがある。
 私は、あのとき止めに入らなかった。
 もちろん、男性同士の争いに割って入る力はなかったし、正直なところ無理だ。
 けれど、言葉だけでも止めるべきだったかもしれない、と今でも思う。

 ただ、人が本気で怒っている時、言葉で止めても余計に火に油を注ぐこともある。
 冷静さが少しでも残っていれば、言葉で引き戻せるけれど──それを判断する余裕なんて、当時の私にはなかった。

 思えば、教師もまた「人間」だ。
 だとしても、子どもに道を示す立場にある以上、自分の言動に対してもう少し誠実であってほしかった。
 あの経験が、今の私の「大人不信」の土台になっている気がしてならない。
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