異世界でも馬とともに

ひろうま

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第6章 最後の神獣

64ールナの出産

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僕は、あれから時々獣神の言った言葉を思い出した。
「この世界を守って欲しい。」
僕は既にこの世界の人間だから、当然守りたい。
とは言え、実際には守るのは僕ではなく、神獣たちだ。
獣神が言った様に、神獣がこの世界を守るために存在するのであれば、神獣がそのために戦うのは自然なことだろう。
しかし、神獣たちは今は僕の従魔である。
僕が神獣たちに戦うことをお願いしたら、従ってくれるだろう。
でも、それは封印された時と同じ事ではないだろうか?
「全然違うと思うわよ。」
「えっ?」
後ろからの突然ですが声に驚いて振り返ると、レモンがいた。
いや、セルリアとヴァミリオ、そして、少し離れてジェイダもいる。
独りで別の部屋にいたのに、いつの間に来たのだろう。
家の中だから、完全に気を抜いていた。
「主、独りで悩んでないで、我等にも相談して欲しいんだが。」
「そうだよ!」
「う、うん。」
「しばらく様子を見てたけど、段々考え込む時間が増えてるから、さすがに見てられなくて。」
「心配掛けてごめんね。」
そうだよね……。本人たちを置いて、独りで答えを出そうというのが間違ってるよね。
僕は、自分の気持ち皆に伝えることにした。

「レモンの言う通り、全然違うな。」
僕が先程の疑問を話すと、セルリアはそう言った。
「そうかな?」
「我等は自分の意思で主に従っているのだ。もし、主の指示がどうしても受け入れられないものなら、契約を切れば良い。もちろん、主かそんな指示をするとは思わないがな。」
「そうだよ!でも、ボクはどんな指示でも従うからね!」
「何、一人だけ良い子ぶっているのよ。」
ヴァミリオの発言にレモンが呆れている。
そのやり取りを見て、ちょっと気が楽になった。
ふとジェイダの方を見たら、一瞬目が合った。
「好きにすればー。」
ジェイダは、目を反らしてそう言った。
彼女とは、どうも距離を感じる。
彼女は、時々魔力をもらうと言って、僕に巻き付いて来るので、物理的に距離がある訳ではないんだけど……。
あと、ジェイダは他の神獣たちともあまり仲が良いとは言えない。
何とかしないといけないとは思うのが、良い手が浮かばない。

いや、今はそれは置いておこう。
皆の言葉はありがたいが、まだ躊躇がある。
「僕はこの世界に来る時、戦わないことを選んだんだ。」
「「……。」」
「だから、僕に戦うための能力はない。まさか、こんなことになるとは思ってなかった。」
勇者が必要だということは、戦いがあることは推測できた。
と同時に、勇者というものがいるのであれば、戦う能力がない者は戦う必要がないのではとも考えた。
この世界は思った以上に平和だ。
しかし、それは侵略者という世界共通の敵が存在するからかも知れない。
皮肉なことではあるが……。

「主は確かに相手を攻撃するスキルはないが、我等に共有されているスキルはとても強力だ。ダメージを気にせず戦えるのだからな。」
「……。」
確かにそうなんだけど。
待てよ。もしかして、獣神はそれを見越して……いや、そんな事はないか。
「それに……。」
「それに?」
「我等はこの世界を守るために存在するということだが、我はそんな大層な理由ではなく、主との今の生活を守るために戦いたいのだ。」
「セルリア……。」
「何一人だけ格好つけてるの?私だってそうよ。」
「ボクも!だって、ユウマの妻だからね!」
「あ、さりげなくアピールしたわね?」
「え、何の事?」
ヴァミリオは、とぼけた様に言うが、本当にわかってないんだと思う。相変わらずだな。
それは兎も角、皆がここまで言うのであれば、覚悟を決めなければいけないだろう。
「ユウマ!」
「どうしたの!?」
突然、クレアが駆け込んで来た。
いつものんびりしているクレアがこんなに慌てるとは、何が有ったんだろう?
「ルナさんが産気づいたわ!」
「えっ、もう!?」
ルナのお腹はかなり大きくなっていたが、クレアはあと3日位ではないかと言っていた。
「そうよ。早く来て!」
「う、うん。」
僕は、急かすクレアの後に続いた。

「ここよ。」
「ありがとう。」
ルナは、子供を産むために、別の部屋に移動したようだ。
中に入ると、苦しげに横たわってるルナがいた。
「ルナ、大丈夫?」
「え、ええ。」
ルナは首だけ持ち上げると、こちらを見てそう言ったが、すぐ元の体勢に戻った。
「う、産まれるわ。」
ルナは一段と苦しさを増した様に見える。
「頑張って!」
ルナの側に座り、頚を撫でる。
僕にできるのはこのくらいだ。
ルナのお尻の方から、袋状のものが見える。もう、出産が始まった様だ。
ちょっと、ドキドキする。
僕の初めて子供が産まれる嬉しさとともに、何が産まれて来るのかという不安がある。
ないとは思うが、ケンタウロスみたいなのが産まれて来たら嫌だな。でも、その時は受け入れるしかない。
「ヴヴッ!」
ルナが短い呻き声をあげた。
と、一気に赤ちゃんが出てきた。
羊膜も破れて、姿が見えた。馬の姿だ。ちょっと安心した。
男の子の様だな。
「ルナ、頑張ったね。」
「はぁはぁ……ありがとう。」
「おめでとう!後は任せて。」
離れて様子を見ていクレアが、そう言いながらやって来た。
後産の処理とかあるから、僕はいない方がよいのかな?
馬は、通常後産を食べるらしいけど、ルナは……いや、考えるのはやめておこう。
クレアも子供を産んだことはないだろうが、色々と知識は豊富だし任せても大丈夫なんだろう。
「じゃあ、お願いするよ。」
「落ち着いたら、呼ぶからね。」
「あなた、ごめんなさい。」
「大丈夫だよ。」
こういう時、男親ができることはほとんどないということを痛感するな。

「ユウマ、ちょっと来て、」
「どうしたの?」
部屋に帰って待っていたら、クレアが呼びに来た。が、少し様子がおかしい。
「仔馬が立ち上がらないのよ。」
「そうなの!?」
急いでルナの所に行くと、仔馬を心配そうに見ているルナがいた。
ルナは既に立ち上がっていてへその緒も切れているが、仔馬は横たわっている。眠っている様だ。
「あなた……。」
ルナが僕に気付いて、不安げに声を掛けて来た。
「ちょっと、状態を確認してみるよ。ルナは調子はどう?」
「私は大丈夫よ。」
「良かった。ちょっと待ってね。」
もしかしたら、何か状態異常かも知れない。
僕は、仔馬を閲覧してみた。

================
種族:ハイ・ヒューマン(ハイブリッド)
性別:♂
年齢:0歳
状態:馬化
能力値:▼
スキル:▼
加護:▼
================

「えっ!?」
「どうしたの?」
「いや……。どうやら、この子ハイ・ヒューマンらしい。」
「そうなの?」
「うん。馬化してるみたい。」
「どうしてかしら?」
「うーん。ルナの胎内が、馬の状態でいる方が適してるからかもね。本当のところはわからないけど……。」
「確かに、そうかも知れないわね。」
出て来る時は、人の状態の方が出易い気がするんだけどね。
あ、でも、馬から人が産まれて来るというシュールな絵面になるな。
「でも、ハイ・ヒューマンだったら、すぐに立ち上がらないのも納得できるね。どうだろう、クレア……あれ?」
クレアがいると思って振り返ったのだが、彼女はいなかった。

「呼んだ?」
声のする方を見ると、クレアが部屋の入口から顔をのぞかせていた。
何か可愛いな。いや、それよりも……。
「何でそんな所にいるの?」
「皆がルナさんの子供が産まれたのを知って、押し寄せて来てるのよ。だから、私がここで抑えているの。」
「そうなの?ありがとう!」
「もっと感謝しても良いのよ?それで、何か用だった?」
クレアの感謝されたがりは、相変わらずだな。
まあ、それは置いておいて……。
「ルナの子は、ハイ・ヒューマンだったんだ。すぐに立ち上がらない理由はこれかなと思って。」
「え!?ハイ・ヒューマンなの?それなら、確かにすぐに立ち上がらないかもね。」
そう言いながら、クレアは部屋に入って来て、仔馬……いや、馬化している子を見つめている。

「クレア、もう大丈夫なの?」
ステラが入口から顔をのぞかせた。
ステラも可愛い。狙っているのか?
「そうね。大丈夫よ。でも、静かにね。」
クレアがそう答えると、ステラを先頭に皆がぞろぞろと入って来た。
皆、あまり音を立てない様に気を遣ってくれているみたいだ。
「あれ?」
突然子供が光り出した。
これは、進……いや、何でもない。
光が収まると、人の赤ん坊がいた。馬化が解けたのだろう。
見ていると、赤ん坊は目を開いた。
そして、次の瞬間……。
「オギャアアア!」
いきなり泣き出した。というか、人間の赤ちゃんなら産声をあげるのが普通か。
そう言えば、動物は産声をあげないんだろうか?今はどうでも良いが……。
「ユウマ、何とかしなさいよ。」
「そう言われても……。」
クレアに言われるも、子育ての経験なんかない僕には、どうすれば良いのかわからない。
仕方無く、赤ん坊を抱えてあやしてみた。昔、人がやってたのを真似してみたつもりだが、泣き止まない。
「あなた、お乳が飲みたいのかも。ここに置いてみて。」
ルナが横たわって、鼻先で自分の下腹部を示しながらそう言った。
「わかった。」
僕はそっと、赤ん坊をルナのお乳の前に置いた。
すると、赤ん坊は泣き止み、ルナのお乳を吸い始めた。
赤ん坊って、産まれてすぐにお乳をのむんだっけ?
それとも、こういうところは、馬に近いのかな?
ところで、さっきから赤ん坊と呼んでるが、名前付けないといけないな。
まあ、後でゆっくり考えよう。

「大丈夫みたいね。ユウマ、ルナさん、おめでとう!」
「「おめでとう(ございます)!」」
「ありがとう!」
クレアの言葉を皮切りに、みんなが一斉にお祝いの言葉を言った。
ルナはすぐに返したが、僕は言葉に詰まった。
「みんな……ありがとう!」
元の世界を含めて、初めて自分の子が産まれたことを実感したのだ。
ヤバい、涙が出て来た。
「あなた……。」
「ルナ、大丈夫だよ。ちょっと、感極まって……。」

気を取り直して、改めて自分の子を見る。
この子の将来のためにも、この世界を守らなければならないといけないな。
勝手なものだが、改めてそう思った。
「みんな、ちょっといいかな?」
「改まって、どうしたの?」
クレアが、そう聞いてくる。
他の皆は、黙って僕の話すのを待っている様だ。
「僕は戦う力がない。だから……この世界を守るために力を貸して欲しい。」
「うむ。やっと、その気になったか。もちろんだ。」
「ボクも!」
「私もできることはやるわ。」
セルリア、ヴァミリオ、レモンがそう言ってくれた。
ジェイダは……黙って、こちらを見ている。
「私も戦うわよ。」
声を掛けて来たのは、クレアだ。
「いや、クレアとステラは妊娠してるんだし、無理をしないで欲しいな。」
そう。クレアとステラは、この春妊娠したのだ。
「わかったわ。」
「仕方ないわね。」
素直に答えるステラに対して、渋々といった様子のクレア。
やはり、元々戦闘狂だけあって、最前線で戦いたいらしい。
「私はどうすれば……。」
そう聞いて来たのは、イリディだ。
イリディは戦えないことはないが、どちらかと言うと、結界魔法を生かしたいところだ。
「イリディは、いざというときに結界でここを守って欲しい。」
「わかったわ。」
「ちなみに、どれくらいの範囲いけるの?」
「質にもよるけど、簡単な物理結界なら、街ごといけるわ。」
「本当?それは凄いね!」
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