84 / 94
第6章 最後の神獣
65-ジェイダの過去
しおりを挟む
僕は、さっきセルリアがジェイダを連れて行ったのが気になっていた。
セルリアからすれば、ジェイダの態度が気に入らなかったのだろうが、無理に協力してもらおうとは思ってない。
そんなことを思っていたら、ジェイダが戻って来た。
が、何と声を掛けて良いかわからず、黙って近付いて来るのを待った。
「また、魔力もらうわよー。邪魔者がいなくてちょうど良かったわー。」
ジェイダは、そう言うといつものように巻き付いて来た。
邪魔者というのは、ヴァミリオのことだろう。
いつも、ジェイダが巻き付いて来ると、文句を言うのだ。
ただ、文句を言うだけで、やめさせようとはしないんだけだけど……。
そのヴァミリオは、今は皆と一緒にルナの子供を見ている。
「セルリアに何か言われた?」
「別にー。あ、そうだ。今日ユウマと一緒に寝るのを代わる様に言われたわー。」
「えっ?」
まさか、セルリアがそんなことを言うとは思わなかった。
セルリアは、僕とジェイダの関係を何とかしたかったのだろう。
気を遣わせて申し訳ないな。
~~~
という訳で、ジェイだと一緒に寝ることになったのだけれど、何か気不味い。
ちなみに、一応ジェイダにお風呂はどうするか聞いてみたが、予想通り遠慮するという返事だった。
「じゃあ寝ようか。」
「……。」
ジェイダに声を掛けてベッドで横になると、ジェイダも黙ってベッドに上がって来た。
寝ようかとは言ったものの、やはり話しをしないといけないだろうな。
「ジェイダ、僕のこと嫌いなの?」
「別にー。」
「そう?何か僕のこと避けているみたいに見えるけど。」
「そんなことないわよー。結構くっついていると思うけどー?」
「それはそうなんだけど……。何か気持ち的には距離を感じるんだ。」
「……。」
そもそも、ジェイダは僕と目を合わせようとしない。
「セルリアの提案を受け入れて僕と一緒に寝ようと思ったのも、何か言いたいことがあるんじゃない?」
ジェイダは答えないが、沈黙がそれを肯定している。
「わかったわ。それじゃあ、話をするわ。」
「う、うん。」
少し間を置いて、ジェイダは口を開いた。
目線は僕から反らしたままだが、口調が変わったな。
いつもの間延びした様なしゃベリ方は、わざとなんだろう。
「私は人間が嫌いなの。」
「……。」
それは何となくわかっていた。
「昔から、人間には恐れられていて、中には無謀にも挑んで来る奴らもいたわ。それは、他の神獣たちも同じでしょうけど……。」
「……。」
僕は黙って続きを待った。
「でも、他の神獣たちと違って、敬われることは無かったわ。別に、そうされたい訳じゃないけどね。それに……。」
「それに?」
僕は思わず、聞き返してしまった。
ジェイダは、僕と目を合わせて言った。
「私は、封印される前の記憶が微かに残っているの。」
「えっ?」
獣神様に記憶を消されたのに、残っているということがあるのか?
精神力はセルリアやヴァミリオが圧倒的に高いし、ステータスのせいではないだろう。
それ程、ジェイダにとって辛いことだったということだろうか?
「なぜかはわからないけどね。あの屈辱を忘れたくなかったのかも知れないわ。」
「……。」
「それまで、人間に負けたことはなかったわ。まあ、負けたのは私の力不足だから仕方ないけどね。強い者に従うのが、魔物の本能だし……。でもね、私を従えた奴は、私を道具としてしか見ていなかったの。ボロボロになるまで戦わせて、労りの言葉なんかなくて……。そして、戦いが終わったら、契約を解除して私を捨てたわ。」
「酷い……。」
「獣神に封印された時は、ほとんど意識がなかったけど、その中で私は願ったの……。このまま、永遠に封印が解けないようにってね。」
「……。」
暫しの沈黙の後、ジェイダが再び話し始めた。
「封印されてどれ位経ったかわからないけど、ある日意識が戻ったわ。恐らく、傷が癒えたんだと思う。私は、自分で封印を解こうと思ったら解けると感じたわ。」
「……。」
「だけど、私はその意思はなかった。たまに人間がやって来て、色々やってたみたいだけど、興味なかったし……。」
「えーと。話しの途中で申し訳ないんだけど、意識が戻ったなら、暇ではなかったの?」
気になったので、ついつい聞いてしまった。
「意識があるとは言っても、半分眠っている感じで心地良くて、ずっとこのままでも良いかなと思ってた。」
「そうなんだ。」
「そのうち、強引なことする人間もいなくなったから、封印を解くのは諦めたのかと思ってた。そんなところへ、あなたが現れたの。」
「……。」
「時々見に来る人間もいたから、またそうかなと思ったけど、雰囲気が全然違った。しかも、他の神獣たちの気配もしたから、私は警戒したわ。また、私たちを支配しようとする人間が現れたのかって……。」
「うっ……。」
確かに、そう思うのは仕方ないだろう。
「でも、神獣たちの様子は全然そんな感じじゃあなかった。そもそも、神獣同士って、あまり仲が良いとは言えなかったんだけど、なぜか仲良さそうに話してるし……。そして、地狐……レモンが言った言葉に私は共感を覚えたわ。」
「レモンの言葉?」
「『気が許せる相手が欲しかった』という言葉よ。レモンは、人間に敬われることもあって、私とは違うと思ってたんだけど……。結局、同じだったということね。」
「……。」
「そして、他の神獣たちが気を許しているあなたに、興味が湧いたの。それで……あそこで出て行ったのよ。」
「そうだったんだね。」
ジェイダにとっては、かなり勇気が要ることだったと思う。
僕はジェイダを抱き締め……ようとしたが、細すぎて微妙なことになった。
「えっ?」
「ごめん。思わず抱き締めようとしたら……。」
「もう……。これくらいで良いかしら?」
ジェイダは僕が抱き易い様に、少し大きくなってくれた。
「ありがとう。でも、良いの?」
「ええ。これまでは、あなたなら大丈夫と頭では思っていても、人間への不信感が強くてどう向き合って行けば良いかわからなかった。今日、思ってたことを吐き出してすっかりしたわ。だから、私も戦うことに決めたの。」
「そう?無理しないでね?」
「大丈夫。元々、私たちはそういう存在だしね。」
「ありがとう、ジェイダ。」
僕はジェイダを優しく抱き締めた。
「私も戦うんだから、セルリアやヴァミリオと同じように、HPとMPを共有してもらいたいわー。」
「えっ?それって……。」
なぜか、また間延び口調になってるが、それよりも……。
「私とも結婚して欲しいなー。」
ということだよね……。
でも、ジェイダが他の人と話すのを見たことがないんだけど……。
「共有のことは、誰から聞いたの?」
「内緒ぉー。それより、返事はー?」
「僕は構わないけど、そんな打算的な……。」
≪お互いの意思を確認しました。結婚を承認します。≫
『理由では承認されない』と言おうと思ったのに、承認されてしまった。
ジェイダに悪意がないからかも知れないが、基準が甘過ぎないだろうか?
~~~
そのまま、ジェイダを抱いて寝たが、かなり抱き心地良かった。
ちょっとひんやりしてるのはセルリアと似ているが、ジェイダの表面はスベスベしていて、密着感が凄かった。
ひんやり抱き枕みたいで、夏には最適だな。こんなこと言うと怒られるだろうけど……。
「おはよう、ジェイダ。」
「おはよー。良く眠れたー?」
「お蔭様で。」
「良かったー。ちなみに、背中を触らせたのは、ユウマが初めてよー。」
「そうなの?」
確かに、尻尾でいつも巻き付いて来ても、背中は触ったことは無かったな。
しかし、そんな言われ方をすると、ちょっと罪悪感を感じる。
そんなことを考えていると、クレアが入って来た。
「おはよう、ユウマ。」
「クレア、おはよう。」
「ジェイダもおはよう。」
「う、うん。おはよう……。」
ん?ジェイダの反応が微妙だな。
「ジェイダ。私の言った事は役に立ったかしら?」
「あ、え、ええ。」
「え?クレア何か言ったの?」
明らかに、ジェイダの様子がおかしい。
いつもの口調も忘れているし。
「それは内緒よ。」
「内緒?あっ、もしかして!」
あの事を伝えたのは、クレアだったのか。
「そうよー。クレアに聞いた事を利用させてもらったのよー。」
「あ、開き直ったわね?」
「まあまあ。でも、利用って……。」
「な、なんでもないわー。」
セルリアからすれば、ジェイダの態度が気に入らなかったのだろうが、無理に協力してもらおうとは思ってない。
そんなことを思っていたら、ジェイダが戻って来た。
が、何と声を掛けて良いかわからず、黙って近付いて来るのを待った。
「また、魔力もらうわよー。邪魔者がいなくてちょうど良かったわー。」
ジェイダは、そう言うといつものように巻き付いて来た。
邪魔者というのは、ヴァミリオのことだろう。
いつも、ジェイダが巻き付いて来ると、文句を言うのだ。
ただ、文句を言うだけで、やめさせようとはしないんだけだけど……。
そのヴァミリオは、今は皆と一緒にルナの子供を見ている。
「セルリアに何か言われた?」
「別にー。あ、そうだ。今日ユウマと一緒に寝るのを代わる様に言われたわー。」
「えっ?」
まさか、セルリアがそんなことを言うとは思わなかった。
セルリアは、僕とジェイダの関係を何とかしたかったのだろう。
気を遣わせて申し訳ないな。
~~~
という訳で、ジェイだと一緒に寝ることになったのだけれど、何か気不味い。
ちなみに、一応ジェイダにお風呂はどうするか聞いてみたが、予想通り遠慮するという返事だった。
「じゃあ寝ようか。」
「……。」
ジェイダに声を掛けてベッドで横になると、ジェイダも黙ってベッドに上がって来た。
寝ようかとは言ったものの、やはり話しをしないといけないだろうな。
「ジェイダ、僕のこと嫌いなの?」
「別にー。」
「そう?何か僕のこと避けているみたいに見えるけど。」
「そんなことないわよー。結構くっついていると思うけどー?」
「それはそうなんだけど……。何か気持ち的には距離を感じるんだ。」
「……。」
そもそも、ジェイダは僕と目を合わせようとしない。
「セルリアの提案を受け入れて僕と一緒に寝ようと思ったのも、何か言いたいことがあるんじゃない?」
ジェイダは答えないが、沈黙がそれを肯定している。
「わかったわ。それじゃあ、話をするわ。」
「う、うん。」
少し間を置いて、ジェイダは口を開いた。
目線は僕から反らしたままだが、口調が変わったな。
いつもの間延びした様なしゃベリ方は、わざとなんだろう。
「私は人間が嫌いなの。」
「……。」
それは何となくわかっていた。
「昔から、人間には恐れられていて、中には無謀にも挑んで来る奴らもいたわ。それは、他の神獣たちも同じでしょうけど……。」
「……。」
僕は黙って続きを待った。
「でも、他の神獣たちと違って、敬われることは無かったわ。別に、そうされたい訳じゃないけどね。それに……。」
「それに?」
僕は思わず、聞き返してしまった。
ジェイダは、僕と目を合わせて言った。
「私は、封印される前の記憶が微かに残っているの。」
「えっ?」
獣神様に記憶を消されたのに、残っているということがあるのか?
精神力はセルリアやヴァミリオが圧倒的に高いし、ステータスのせいではないだろう。
それ程、ジェイダにとって辛いことだったということだろうか?
「なぜかはわからないけどね。あの屈辱を忘れたくなかったのかも知れないわ。」
「……。」
「それまで、人間に負けたことはなかったわ。まあ、負けたのは私の力不足だから仕方ないけどね。強い者に従うのが、魔物の本能だし……。でもね、私を従えた奴は、私を道具としてしか見ていなかったの。ボロボロになるまで戦わせて、労りの言葉なんかなくて……。そして、戦いが終わったら、契約を解除して私を捨てたわ。」
「酷い……。」
「獣神に封印された時は、ほとんど意識がなかったけど、その中で私は願ったの……。このまま、永遠に封印が解けないようにってね。」
「……。」
暫しの沈黙の後、ジェイダが再び話し始めた。
「封印されてどれ位経ったかわからないけど、ある日意識が戻ったわ。恐らく、傷が癒えたんだと思う。私は、自分で封印を解こうと思ったら解けると感じたわ。」
「……。」
「だけど、私はその意思はなかった。たまに人間がやって来て、色々やってたみたいだけど、興味なかったし……。」
「えーと。話しの途中で申し訳ないんだけど、意識が戻ったなら、暇ではなかったの?」
気になったので、ついつい聞いてしまった。
「意識があるとは言っても、半分眠っている感じで心地良くて、ずっとこのままでも良いかなと思ってた。」
「そうなんだ。」
「そのうち、強引なことする人間もいなくなったから、封印を解くのは諦めたのかと思ってた。そんなところへ、あなたが現れたの。」
「……。」
「時々見に来る人間もいたから、またそうかなと思ったけど、雰囲気が全然違った。しかも、他の神獣たちの気配もしたから、私は警戒したわ。また、私たちを支配しようとする人間が現れたのかって……。」
「うっ……。」
確かに、そう思うのは仕方ないだろう。
「でも、神獣たちの様子は全然そんな感じじゃあなかった。そもそも、神獣同士って、あまり仲が良いとは言えなかったんだけど、なぜか仲良さそうに話してるし……。そして、地狐……レモンが言った言葉に私は共感を覚えたわ。」
「レモンの言葉?」
「『気が許せる相手が欲しかった』という言葉よ。レモンは、人間に敬われることもあって、私とは違うと思ってたんだけど……。結局、同じだったということね。」
「……。」
「そして、他の神獣たちが気を許しているあなたに、興味が湧いたの。それで……あそこで出て行ったのよ。」
「そうだったんだね。」
ジェイダにとっては、かなり勇気が要ることだったと思う。
僕はジェイダを抱き締め……ようとしたが、細すぎて微妙なことになった。
「えっ?」
「ごめん。思わず抱き締めようとしたら……。」
「もう……。これくらいで良いかしら?」
ジェイダは僕が抱き易い様に、少し大きくなってくれた。
「ありがとう。でも、良いの?」
「ええ。これまでは、あなたなら大丈夫と頭では思っていても、人間への不信感が強くてどう向き合って行けば良いかわからなかった。今日、思ってたことを吐き出してすっかりしたわ。だから、私も戦うことに決めたの。」
「そう?無理しないでね?」
「大丈夫。元々、私たちはそういう存在だしね。」
「ありがとう、ジェイダ。」
僕はジェイダを優しく抱き締めた。
「私も戦うんだから、セルリアやヴァミリオと同じように、HPとMPを共有してもらいたいわー。」
「えっ?それって……。」
なぜか、また間延び口調になってるが、それよりも……。
「私とも結婚して欲しいなー。」
ということだよね……。
でも、ジェイダが他の人と話すのを見たことがないんだけど……。
「共有のことは、誰から聞いたの?」
「内緒ぉー。それより、返事はー?」
「僕は構わないけど、そんな打算的な……。」
≪お互いの意思を確認しました。結婚を承認します。≫
『理由では承認されない』と言おうと思ったのに、承認されてしまった。
ジェイダに悪意がないからかも知れないが、基準が甘過ぎないだろうか?
~~~
そのまま、ジェイダを抱いて寝たが、かなり抱き心地良かった。
ちょっとひんやりしてるのはセルリアと似ているが、ジェイダの表面はスベスベしていて、密着感が凄かった。
ひんやり抱き枕みたいで、夏には最適だな。こんなこと言うと怒られるだろうけど……。
「おはよう、ジェイダ。」
「おはよー。良く眠れたー?」
「お蔭様で。」
「良かったー。ちなみに、背中を触らせたのは、ユウマが初めてよー。」
「そうなの?」
確かに、尻尾でいつも巻き付いて来ても、背中は触ったことは無かったな。
しかし、そんな言われ方をすると、ちょっと罪悪感を感じる。
そんなことを考えていると、クレアが入って来た。
「おはよう、ユウマ。」
「クレア、おはよう。」
「ジェイダもおはよう。」
「う、うん。おはよう……。」
ん?ジェイダの反応が微妙だな。
「ジェイダ。私の言った事は役に立ったかしら?」
「あ、え、ええ。」
「え?クレア何か言ったの?」
明らかに、ジェイダの様子がおかしい。
いつもの口調も忘れているし。
「それは内緒よ。」
「内緒?あっ、もしかして!」
あの事を伝えたのは、クレアだったのか。
「そうよー。クレアに聞いた事を利用させてもらったのよー。」
「あ、開き直ったわね?」
「まあまあ。でも、利用って……。」
「な、なんでもないわー。」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~
Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」
病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。
気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた!
これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。
だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。
皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。
その結果、
うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。
慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。
「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。
僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに!
行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。
そんな僕が、ついに魔法学園へ入学!
当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート!
しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。
魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。
この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――!
勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる!
腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる