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9.冒険者ギルド
しおりを挟む僕の言葉がみんなに伝わるようになったことで、それ以降、僕は街へ繰り出していた。
街へ出れば、人間の他に獣人、竜人、エルフなど、様々な種族がいた。
魔人とやらは目にしないが、この世界は容姿が整っている人が多く、目の保養になっている。
しかし、残念なことに女性が少ない。
ルナリアがいるため、全くいないというわけではないが、ほとんどが男性である。
女性は年々減っているため、子孫繁栄が厳しいのではないかと思ったが、進化した結果、種族や性別に関わらず子孫を残せるようだ。
それが百年ほど前からであり、より強い種を残す為に女性より男性が増えたらしいが、今では性別など関係なく、それぞれが好きな性別を名乗っていると言う。
ここで疑問だが、僕としては男性よりも女性の方が強いイメージだ。
しかし、この世界では生き残る術となる、純粋な力が必要になるため、力の象徴とも言える男性が増えたらしい。
それと同時に女性でも男性と言ったり、男性でも女性と言ったりと、性別に関して自由であり、進化が身近であるこの世界では、性別すらも時と場合によって好きに変えられるのだとか。
要は、両性生物である。
だが、そこには大きな欠点があり、外見や声までは変えられないというのが、現段階での進化結果だ。
そうして僕は、街中で学びながら様々な人と交流し、現在冒険者ギルドの受付に座っている。
最初に来た場所は冒険者ギルドだったようで、僕がここに来るようになってから、受付には僕用のクッションが用意されていた。
「ヌイ、今日も元気か?」
「にゃー(元気)」
「ヌイちゃん、今日も可愛いね」
「にゃー(ありがとう)」
「これからA級討伐に行ってくる」
「にゃーん(頑張れ~)」
受付に来る人達は、必ず僕に声をかけていく。
討伐に行く人達は、なぜか僕の頭をひと撫でしていくのだが、この街を離れる人達は僕を抱っこしてから、連れ去ろうとするところを猫パンチで回避するのだ。
名前も知らない人達。
強面であったり、武装している人達。
しかし、彼らがどんな性格かは知っている。
僕が猫なのをいい事に、みんな愚痴をこぼしたり、癒しを求めにくるのだから、猫目線で見るヒト種は面白い。
こうして、僕は旅の相棒探しをしているのだが、なかなか見つからない。
旅をするなら、冒険者だろうと思い冒険者ギルドに足を運んでいるのだが、見つからないのなら違う場所へ行くべきかと思い、受付から下りて体を伸ばす。
するとそこに、ギルドマスターのアルギフと、サブギルドマスターのルキウスがやってきた。
「ヌイ、もう行くのか?今日は早いな」
そう言ってしゃがんでくれるアルギフにスリスリしてから、同じようにしゃがんで待っているルキウスにもスリスリする。
ルキウスはとても綺麗なエルフのお兄さんだ。
そのため、見た目は若いがアルギフよりも上だ。
「にゃーん(違う場所に行く。僕の相棒、ここじゃ見つからないみたい)」
「違う場所?それは別のギルドという事かい?」
「にゃー?(別のギルド?それってどこにある?この街にある?)」
ルキウスの膝に乗ってスリスリすると、ルキウスは嬉しそうにしながらも、「余計な事を言ったな」と呟いた。
だが、それでも教えてくれるルキウスは良い奴である。
「この街にはないかな。ここは王都の隣街なんだけど……地図を見せた方がいいかな。ちょっと待ってて」
ルキウスは地図を持ってきて、机に広げてくれる。
机に飛び乗れば、紙を踏んでしまうほど大きな地図だ。
しかし、前世の地図とは違って、あまり詳しくは書かれていない。
「ここが王都。そしてここが大樹の森。オリンスはこの大樹を中心とした国で、魔物も幻獣も多いけど、問題なく国が成り立っている。それも全部、大樹の森の精霊王のおかげだね」
「にゃ?(ドリュアのこと?)」
「そうだよ。大樹の精霊王は、森を通してこの国全体を守護してくれている。だから、こうして街ごとに森で囲われていて、どこかに行くには必ず森を通らなければならない」
なるほど。
ドリュアからしてみれば、ヒト種も霊獣種も変わらないから、自然の形そのものを守ってるんだ。
その中での争いには干渉しない。
精霊王は自分の住処さえ無事なら、何に対しても無関心だって、ジンカが言ってたっけ。
だから、僕についた加護が、ある意味怖いって言ってた。
「そしてここからが本題。この街、ハーランド領から出るには、森を通らなければならない」
「にゃにゃ?(うん。でも、それはどの街も一緒でしょ?)」
「そうだね。でも、ヌイがひとりで行くには危険すぎる。魔物に襲われないと言っても、人はどうかな?実際、ヌイはジーク様達に袋詰めにされたでしょ?」
確かに……殺されてもおかしくないのに、袋詰めだけですんだ。
「みゃー(じゃあ僕、ここから出れない?クロノアかドリュアに頼んで送ってもらうしかない?旅できない?)」
「可愛い……じゃなくて、そんなことをしなくても、旅仲間が見つかるまではジーク様に頼んだらどうだい?そうしたら……また戻ってくるのは確実だ」
最後の方はボソボソと言っているが、僕には聞こえている。
闇堕ちしやすいルキウスは、僕がギルドに一日来なかっただけで、翌日には闇落ちしているのだ。
僕に沼っているとも言えるため、僕にとっては可愛いエルフである。
「にゃーん(ジークに頼んでみる!ありがとう、ルキウス)」
そんな闇落ち寸前のルキウスから逃げるようにギルドを出て行き、いつの間にか外にいたアルギフに声をかけられたが無視した。
闇堕ちルキウスに捕まれば、僕が解放されるのは夜。
つまり、僕が帰っていないことに心配したハーランド家の誰かが、迎えに来るまでとなる。
そして、ここでアルギフに捕まれば、アルギフと行動する予定であろうルキウスにも捕まるわけだ。
逃げるように走り、無視するのは仕方ないだろう。
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