ファンタジーな世界に猫が一匹、仲間を集めて旅をする

翠雲花

文字の大きさ
9 / 21

9.冒険者ギルド

しおりを挟む


 僕の言葉がみんなに伝わるようになったことで、それ以降、僕は街へ繰り出していた。
 街へ出れば、人間の他に獣人、竜人、エルフなど、様々な種族がいた。
 魔人とやらは目にしないが、この世界は容姿が整っている人が多く、目の保養になっている。
 しかし、残念なことに女性が少ない。
 ルナリアがいるため、全くいないというわけではないが、ほとんどが男性である。


 女性は年々減っているため、子孫繁栄が厳しいのではないかと思ったが、進化した結果、種族や性別に関わらず子孫を残せるようだ。
 それが百年ほど前からであり、より強い種を残す為に女性より男性が増えたらしいが、今では性別など関係なく、それぞれが好きな性別を名乗っていると言う。


 ここで疑問だが、僕としては男性よりも女性の方が強いイメージだ。
 しかし、この世界では生き残る術となる、純粋な力が必要になるため、力の象徴とも言える男性が増えたらしい。
 それと同時に女性でも男性と言ったり、男性でも女性と言ったりと、性別に関して自由であり、進化が身近であるこの世界では、性別すらも時と場合によって好きに変えられるのだとか。
 要は、両性生物である。
 だが、そこには大きな欠点があり、外見や声までは変えられないというのが、現段階での進化結果だ。


 そうして僕は、街中で学びながら様々な人と交流し、現在冒険者ギルドの受付に座っている。
 最初に来た場所は冒険者ギルドだったようで、僕がここに来るようになってから、受付には僕用のクッションが用意されていた。


「ヌイ、今日も元気か?」

「にゃー(元気)」

「ヌイちゃん、今日も可愛いね」

「にゃー(ありがとう)」

「これからA級討伐に行ってくる」

「にゃーん(頑張れ~)」


 受付に来る人達は、必ず僕に声をかけていく。
 討伐に行く人達は、なぜか僕の頭をひと撫でしていくのだが、この街を離れる人達は僕を抱っこしてから、連れ去ろうとするところを猫パンチで回避するのだ。
 名前も知らない人達。
 強面であったり、武装している人達。
 しかし、彼らがどんな性格かは知っている。
 僕が猫なのをいい事に、みんな愚痴をこぼしたり、癒しを求めにくるのだから、猫目線で見るヒト種は面白い。


 こうして、僕は旅の相棒探しをしているのだが、なかなか見つからない。
 旅をするなら、冒険者だろうと思い冒険者ギルドに足を運んでいるのだが、見つからないのなら違う場所へ行くべきかと思い、受付から下りて体を伸ばす。
 するとそこに、ギルドマスターのアルギフと、サブギルドマスターのルキウスがやってきた。


「ヌイ、もう行くのか?今日は早いな」


 そう言ってしゃがんでくれるアルギフにスリスリしてから、同じようにしゃがんで待っているルキウスにもスリスリする。
 ルキウスはとても綺麗なエルフのお兄さんだ。
 そのため、見た目は若いがアルギフよりも上だ。


「にゃーん(違う場所に行く。僕の相棒、ここじゃ見つからないみたい)」

「違う場所?それは別のギルドという事かい?」

「にゃー?(別のギルド?それってどこにある?この街にある?)」


 ルキウスの膝に乗ってスリスリすると、ルキウスは嬉しそうにしながらも、「余計な事を言ったな」と呟いた。
 だが、それでも教えてくれるルキウスは良い奴である。


「この街にはないかな。ここは王都の隣街なんだけど……地図を見せた方がいいかな。ちょっと待ってて」


 ルキウスは地図を持ってきて、机に広げてくれる。
 机に飛び乗れば、紙を踏んでしまうほど大きな地図だ。
 しかし、前世の地図とは違って、あまり詳しくは書かれていない。


「ここが王都。そしてここが大樹の森。オリンスはこの大樹を中心とした国で、魔物も幻獣も多いけど、問題なく国が成り立っている。それも全部、大樹の森の精霊王のおかげだね」

「にゃ?(ドリュアのこと?)」

「そうだよ。大樹の精霊王は、森を通してこの国全体を守護してくれている。だから、こうして街ごとに森で囲われていて、どこかに行くには必ず森を通らなければならない」


 なるほど。
 ドリュアからしてみれば、ヒト種も霊獣種も変わらないから、自然の形そのものを守ってるんだ。
 その中での争いには干渉しない。
 精霊王は自分の住処さえ無事なら、何に対しても無関心だって、ジンカが言ってたっけ。
 だから、僕についた加護が、ある意味怖いって言ってた。


「そしてここからが本題。この街、ハーランド領から出るには、森を通らなければならない」

「にゃにゃ?(うん。でも、それはどの街も一緒でしょ?)」

「そうだね。でも、ヌイがひとりで行くには危険すぎる。魔物に襲われないと言っても、人はどうかな?実際、ヌイはジーク様達に袋詰めにされたでしょ?」


 確かに……殺されてもおかしくないのに、袋詰めだけですんだ。
 

「みゃー(じゃあ僕、ここから出れない?クロノアかドリュアに頼んで送ってもらうしかない?旅できない?)」

「可愛い……じゃなくて、そんなことをしなくても、旅仲間が見つかるまではジーク様に頼んだらどうだい?そうしたら……また戻ってくるのは確実だ」


 最後の方はボソボソと言っているが、僕には聞こえている。
 闇堕ちしやすいルキウスは、僕がギルドに一日来なかっただけで、翌日には闇落ちしているのだ。
 僕に沼っているとも言えるため、僕にとっては可愛いエルフである。


「にゃーん(ジークに頼んでみる!ありがとう、ルキウス)」


 そんな闇落ち寸前のルキウスから逃げるようにギルドを出て行き、いつの間にか外にいたアルギフに声をかけられたが無視した。
 闇堕ちルキウスに捕まれば、僕が解放されるのは夜。
 つまり、僕が帰っていないことに心配したハーランド家の誰かが、迎えに来るまでとなる。
 そして、ここでアルギフに捕まれば、アルギフと行動する予定であろうルキウスにも捕まるわけだ。
 逃げるように走り、無視するのは仕方ないだろう。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

拾った異世界の子どもがどタイプ男子に育つなんて聞いてない。

おまめ
BL
召喚に巻き込まれ異世界から来た少年、ハルを成り行きで引き取ることになった男、ソラ。立派に親代わりを務めようとしていたのに、一緒に暮らしていくうちに少年がどタイプ男子になっちゃって困ってます。 ✻✻✻ 2026/01/10 『1.出会い』を分割し、後半部分を『2.引き取ります。』として公開しました。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第22話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ※第25話を少し修正しました。 ※第26話を少し修正しました。 ※第31話を少し修正しました。 ※第32話を少し修正しました。 ──────────── ※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!! ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

悪役の僕 何故か愛される

いもち
BL
BLゲーム『恋と魔法と君と』に登場する悪役 セイン・ゴースティ 王子の魔力暴走によって火傷を負った直後に自身が悪役であったことを思い出す。 悪役にならないよう、攻略対象の王子や義弟に近寄らないようにしていたが、逆に構われてしまう。 そしてついにゲーム本編に突入してしまうが、主人公や他の攻略対象の様子もおかしくて… ファンタジーラブコメBL シリアスはほとんどないです 不定期更新

処理中です...