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第五章 もう一つの世界
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しおりを挟むリュカが連れてきた人達は、俺達の前に跪くと、それぞれ自己紹介をしてきた。
「西のブルーメ国から来ました。馬の聖獣、ブライアンと言います」
「南のメーア国から来ました。大天使のラフィと言います」
「東のブーフ国から来ました。堕天使のルギイと言います」
「北のベスティエ国から来ました。狼の聖獣、ウェルズと言います」
四人は、俺達の名前も知っているようで、俺が母様の息子だというのも、ここに来るまでに愁から聞いたらしい。そしてこの四人は、俺の眷属になりたかったらしいが、愁から俺の眷属達はみんな捧げ物をしていると聞き、何を捧げるべきか悩んでいたようだ。
「捧げ物は要らないんだけど……どうせなら愁の眷属になってくれないかな?? 愁は大変そうだから力になってほしい。俺もゼンもゼルも、ずっとこっちに居るわけじゃないから、他国に居るなら尚更、愁の力になってくれると助かる。駿の方が良かったら、駿でもいいんだけど……」
『凛様のお望みなら喜んで』
四人は真面目なのか、だいぶ堅物そうだが、だからこそ愁に必要だと思った。天界の住人で、ここまでキッチリしている者も、あまり見かけないため、他国とのやり取りにちょうどいい筈なのだ。
「凛くん、逃げたやろ」
「凛は逃げると思ったわ」
ぐっ……なぜバレる。
「だって、堅苦しいんだもん。ゼンとゼルも苦手でしょ??」
『まあな』
「あそこまでキッチリしとると、逆に面倒そうやんか」
「凛のこと、ずっと監視してそうやん。まあ、眷属やなくても、勝手に守ってくるんやろうな」
それは流石にやめてほしいかな。遠くで守ってくれるならいいけど、近くに居られると……ちょっと……いや、真面目なのはいい事だけどさ。
「では、我々は失礼します」
「皆様、この大事な時期に失礼しました」
「お子様の誕生を、楽しみにしております」
「獣人には、私が言って聞かせますのでご安心下さい」
本当にすんなり帰っちゃった。というか一瞬だったな。
「俺に押し付けてくれてありがとう……はぁ、確かにありがたいけど、息が詰まりそうだ」
愁は四人が帰ると、脱力して俺の所に来るが、ゼンが俺の頸を噛んできた事で、フェロモンが出てしまい、すぐに家の中に入る事になってしまった。リュカにだけ、また何日か掛かるかもしれない事を伝え、洸も連れて寝室まで行くと、あとはお腹がいっぱいになるまでするだけだった。
「また五日も……しかも、また寝てたの??」
「今回は三日間寝とったで。そんで凛くん……また下りてきとるんと違うんか??」
「三日寝とったっちゅう事は、またお腹空いとるやろ??」
うぅ……今回は結構キツイな。痛みがない分、違う意味で辛い。でも次からは……
「次からは、ゼンとゼルだけかな?? 洸と愁には、孕む時に居てほしい。この感じ、孕む前に似てる気がする……なんだろう……取り敢えず、みんなの服ちょうだい」
俺はみんなから服を大量に貰い、洸には一度帰って持ってきてもらった。ゼンとゼルは、洗濯してないため、嫌だと言ったが、それでも俺も同じ収納を使えるため、勝手に取って寝室から全員を追い出した。
いい匂い。俺の好きな匂い……落ち着く。もう少し寝てから、ゼンとゼルを呼ぼう。まだ匂いが馴染んでない。
俺がぐっすり眠っている間、四人はだいぶソワソワしている様子だったが、気にせず眠っていると、夜中に目が覚めて、身体が熱くなって仕方なくなる。
「ぜん、ぜる……きて。あつい、からだ……」
小さい声だったにも関わらず、ずっとドアに張り付いていた二人が、すぐに寝室に入ってきて、完璧に発情期になった俺を、貪るように抱き始めた。
「凛くん……ハァ、ハァ……孕め、孕め」
「凛……孕め。はよ孕め……ハァ、キッツ」
「ぜん、ぜる……まだ、もっと」
例え発情期でも、今までは何度かは休む時間があったのに、今回はどちらも休ませる事なく、スイセンの時よりだいぶキツイ子作りになった。と言うのも、ゼンとゼルだけで約一か月も頑張り、そこから洸と愁を呼んで、五日でやっと孕んだのだ。
俺はそこから更に一か月以上、眠り続けていて、子どもが生まれる瞬間にも間に合わず、みんなにはかなり心配をかけたらしい。
『カカ様あぁぁ!! 兄様が虐めるー!!』
二つの可愛らしい泣き声で目を覚ました俺は、何故か世界樹の上でゼンとゼルに抱えられていて、下には洸と愁がそれぞれの子どもを抱いていたが、その子達はあまりにも常識から外れていた。
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