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再会と、変化。
しおりを挟む高校に入り、2度目の夏がきた。
僕は、家から通えるが地元の中学生があまり進学しないという理由で、片道1時間の新徳高等学校に入学した。中学でも正義くんたちのいじめは続いていたが、何とか通い続け卒業できた。へーちゃんがいなくなってから、結局友だちと呼べる存在は一人もできなかったが、それでも意地だけで登校し続けた自分は凄いと思う。
高校でも、僕は一人ぼっちだった。でも、高校には正義くんはおらず他の人たちもいじめをすること自体が面倒臭いのか、誰一人僕に構ってくる人はいなかった。遠くから囁かれる嫌みは聞こえていたが、聞こえないふりをして絵を描いていた。
そんな、何一つ楽しくない高校生活がダラダラと続いていたが、高校生活2度目の6月に転機が訪れる。
「転校生を紹介する。自己紹介してもらえるか?」
「双郷平和です、よろしくお願いします」
「みんな仲良くするように。双郷、あの一番後ろの席な」
「……はい」
派手な金髪に青く澄んだ瞳。珍しい名前。
僕が間違えるわけがない。
僕の救世主だったへーちゃんこと双郷平和が、僕の目の前にいた。
もっとも、僕の知る彼の名前は明星平和だったが、お父さんが亡くなってお母さんの旧姓になったのだろう。
約4年ぶりの再会に、僕はソワソワして彼が席に着くまで目で追ってしまう。
へーちゃんは僕の視線に気付いたのかチラッと僕を見たが、すぐにそっぽ向いてしまった。
「えっと、へ、へーちゃ……平和くん……僕のこと覚えてる?」
昼休み、僕は教室の角に座る彼に声を掛ける。
それまでは転校生であるへーちゃんに色んな人が興味を示し、ホームルーム終了後から休み時間になる度に色んな人たちが彼に声を掛けていた。へーちゃんは眉間にシワを寄せながらテキトーに聞かれたことに答えていたが、休み時間になる度に質問攻めをされて苛ついたのだろう。昼休みになった瞬間、自分の机の上にわざと大きな音を立てて足を乗せ、周りを威嚇した。その結果、誰もが無言で彼の周りから離れて行ったのだった。
それは、僕にとっては好機だった。本当はすぐにでも声を掛けたかったが、みんながへーちゃんに寄るから、近づくことすらできなかったのだ。でも、今なら二人きりになれると思い、僕は思いきって彼に声をかけた。
へーちゃんは、目を細めて僕を睨んだ。僕の救世主であった彼は、見た目は完全に柄の悪い少年へと成長を遂げたらしい。学校指定のワイシャツは第二ボタンまで開けており、ズボンも腰パンしており長い足が実際よりも短く見える。
「相沼優志」
「覚えててくれたんだね! ありがとうへーちゃ、えっと平和くん……」
覚えていてくれたことに嬉しさが込み上げて、自然と口角が上がる。そんな僕をへーちゃんは睨んだままだ。
「呼び方なんて興味ねぇ、好きに呼べばいいだろ」
「え、あ、うん。じゃあ、へーちゃんって呼ぶね。あのさ、へーちゃん」
「俺はお前に用はねぇ」
へーちゃんはそれだけ言うと、さっさと席を立ちポケットに手を入れながら教室を出て行った。僕は、へーちゃんがいないのにへーちゃんの席に取り残されてしまう。
「なんか……雰囲気変わったな……」
太陽のように笑う人だった。決して、人を遠ざけたりする人ではなかった。常に誰かと一緒にいて、楽しそうにしていた。それが、あんなにも冷たい雰囲気になってしまったなんて……。
まあ、4年も経ったんだ。変わるのも当たり前か。
僕は溜息を吐いて席に戻った。
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