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ボーイ(28)・ミーツ・ボーイ(17)
眠らなければ1日の活動時間が1.3倍になるんですよ!
使用人がいるとはいえ、大きな屋敷に子供ひとり。
俺の後見人を務めたのは、英雄の血筋を絶やさないために国から派遣された第二騎士団長ペルセ・ヴェランティス。
第一騎士団は近衛を指すので、別にエアステ家が軽んじられたわけではない。
ヴェランティス団長の本業は騎士だ。
後ろ盾のない子供を大人の思惑から守れるだけの権力があり、長年国に忠義を尽くしている男なので後見人に任命されたのだ。
国としても彼に子供の世話をさせるつもりはなく、団長職を優先するよう指示されていた。
大らかで気の良い男だったが、馬で移動するレベルの文明となれば年に1回会えれば御の字。
毎度久しぶりの再会状態なので、お互いに距離の縮め方がわからず毎回当たり障りのない近況報告からスタート。
緊張が解れて仲が深まりそうな段階に入った頃で、さようならまた来年。
日々の俺の教育は、剣術指南役と学術教師が国から派遣された。
最短2ヶ月と入れ替わりが激しく、総勢何人来たのか覚えていない。
顔と名前覚えている人は1割くらいかもしれない。
俺がとんでもない問題児だったわけではない。いや、ある意味問題児だったのか。
原因は俺の体質というか特殊能力。
<英雄>と言うのは称号であり、効果は全体的なステータスアップ。
今、俺を新たな人類の脅威へと至らしめているのは俺固有の能力であり称号とは別物だ。
俺の特殊能力は、異世界の言葉を借りるなら<主人公補正>。
同じ能力持ちは過去に存在せず、俺自身は別物だと認識しているが周囲は<英雄>の加護の発展系と捉えているため正式名称はない。
簡単に説明すると、俺が困難に陥った時に、都合よく新しいスキルを獲得して勝手にバフが付く。
一度獲得したスキルは意図的にオフしない限り永続消去不可。
複数スキルが発動することによる負担やデメリットはない。
競合したり矛盾する内容だと、より俺に有利になるよう自動的に優先順位や発動レベルが加減される。
ちなみに今は272個スキル所持している。地球にある日本という国の地獄と同じ数だ。
最初に獲得したのは<状態異常無効><弱体耐性>。
父親の遺体を目にした時に目覚めた。
怒涛の教育者の入れ替わりは、俺が早々に教育課程を終わらせてしまったり、俺のチートと言って過言ではない身体能力に嫉妬や指導能力の限界を感じて退任する教師が続いたから。
俺自身が追い立てられるように貪欲に学んだので、当時の屋敷の雰囲気は良くなかったと思う。
頑張れば頑張る程、どんどんスキルが増えたが俺は安心できなかった。
祖父は加護を失った途端、敵の一兵卒に致命傷を負わされた。
何らかの理由でスキルを封印されたり、加護を剥奪されたら俺も同じ道を辿ると思ったのだ。
自力を鍛えたつもりでも、それが本当に自分の力なのか分からない。
不安を解消するために、できることは全てやった。
休息をとる時間も惜しんだ結果<超回復>を獲得し、肉体の回復時間を減らすどころか睡眠時間を無くすことに成功。
人生が1.3倍になったと同時に、人として大事な物を失った気がする。
「ここまでやったのだから、これで駄目なら後悔はない」と悟りの境地に至るのに数年かかった。
=========
あまり良い思い出のない幼少期を過ごし、10歳になる前に実戦デビュー。
修羅場を経験する度にスキルはどんどん増え、スキル数に比例して俺は人間離れしていった。
最近討伐した有名どころ古代種2体はほぼ単身で討伐達成。
「ほぼ」なのは、下調べ、避難誘導、物資の支援、情報伝達など直接的な攻撃行動をしたのは俺一人だけど、討伐自体は他人の協力ありきだから。
何でも一人でできると驕る程、俺は盲目じゃない。
人は生きる上で、必ず他人の仕事の恩恵を受けているのだ。
もし俺が山奥で自給自足の隠居生活を始めたとしても、自分一人で用意できるのは小屋と食料くらい。
金属、陶器、衣類はどこかの誰かの仕事の成果である。
だから人間社会から弾かれてしまうのは致命的だし、隠居も簡単ではない。
隠居したいのは第二の人生を楽しみたいからであって、犯罪者のように貧しい環境で人の視線に怯えながら暮らすのは勘弁なのだ。
20代で穏便に隠居は中々難しい。
普通の人間なら「怪我で~」とか「病気で~」と嘘をつけるが、俺は普通の人間じゃないのでこの手は使えない。
いくら強いとはいえ、常識的に考えれば一人だけに攻撃行動を任せたりはしない。
もし善意の第三者が任務の人員配置図を見たら、あたかも俺が虐げられているように感じるだろう。
それは全くの冤罪だ。
共に戦う仲間を虐げているのは俺の方なのである。
増えすぎたスキルは、持ち主である俺ですら把握するのに苦労する程、入り組んで複雑なものになってしまった。
最近は臨戦体制に入るとフィールドが発動して、戦闘区域に俺優位な領域が展開されるようになった。
ここで注目すべきは、優位なのは俺だけな事。
このフィールドの効果だけど、敵味方を区別して発動するような高性能なものではなく、「俺」か「俺以外」かしか判定しない。
俺以外は身体能力大幅ダウン。
更に魔力の操作が阻害され魔法を発動することができなくなる。
持ち込んだ魔法道具は無力化され、既に発動済みの魔法も無効化される。
一方俺は自前のバフを盛りに盛っている。
他人を武装解除どころか丸裸にして冷や水ぶっかけ、自分はフル装備ドーピング状態。
他人の支援魔法を受けられないが、そもそも支援が必要ない状態。
スキルを意識的にオフしようとすると神経使うので、本気出したい時ほど単独で戦う必要がある。
最近どの国に行っても「はいはい、作戦名は『英雄に全部任せろ』でしょ」的な視線に晒されているのは気のせいなのだ。
俺の後見人を務めたのは、英雄の血筋を絶やさないために国から派遣された第二騎士団長ペルセ・ヴェランティス。
第一騎士団は近衛を指すので、別にエアステ家が軽んじられたわけではない。
ヴェランティス団長の本業は騎士だ。
後ろ盾のない子供を大人の思惑から守れるだけの権力があり、長年国に忠義を尽くしている男なので後見人に任命されたのだ。
国としても彼に子供の世話をさせるつもりはなく、団長職を優先するよう指示されていた。
大らかで気の良い男だったが、馬で移動するレベルの文明となれば年に1回会えれば御の字。
毎度久しぶりの再会状態なので、お互いに距離の縮め方がわからず毎回当たり障りのない近況報告からスタート。
緊張が解れて仲が深まりそうな段階に入った頃で、さようならまた来年。
日々の俺の教育は、剣術指南役と学術教師が国から派遣された。
最短2ヶ月と入れ替わりが激しく、総勢何人来たのか覚えていない。
顔と名前覚えている人は1割くらいかもしれない。
俺がとんでもない問題児だったわけではない。いや、ある意味問題児だったのか。
原因は俺の体質というか特殊能力。
<英雄>と言うのは称号であり、効果は全体的なステータスアップ。
今、俺を新たな人類の脅威へと至らしめているのは俺固有の能力であり称号とは別物だ。
俺の特殊能力は、異世界の言葉を借りるなら<主人公補正>。
同じ能力持ちは過去に存在せず、俺自身は別物だと認識しているが周囲は<英雄>の加護の発展系と捉えているため正式名称はない。
簡単に説明すると、俺が困難に陥った時に、都合よく新しいスキルを獲得して勝手にバフが付く。
一度獲得したスキルは意図的にオフしない限り永続消去不可。
複数スキルが発動することによる負担やデメリットはない。
競合したり矛盾する内容だと、より俺に有利になるよう自動的に優先順位や発動レベルが加減される。
ちなみに今は272個スキル所持している。地球にある日本という国の地獄と同じ数だ。
最初に獲得したのは<状態異常無効><弱体耐性>。
父親の遺体を目にした時に目覚めた。
怒涛の教育者の入れ替わりは、俺が早々に教育課程を終わらせてしまったり、俺のチートと言って過言ではない身体能力に嫉妬や指導能力の限界を感じて退任する教師が続いたから。
俺自身が追い立てられるように貪欲に学んだので、当時の屋敷の雰囲気は良くなかったと思う。
頑張れば頑張る程、どんどんスキルが増えたが俺は安心できなかった。
祖父は加護を失った途端、敵の一兵卒に致命傷を負わされた。
何らかの理由でスキルを封印されたり、加護を剥奪されたら俺も同じ道を辿ると思ったのだ。
自力を鍛えたつもりでも、それが本当に自分の力なのか分からない。
不安を解消するために、できることは全てやった。
休息をとる時間も惜しんだ結果<超回復>を獲得し、肉体の回復時間を減らすどころか睡眠時間を無くすことに成功。
人生が1.3倍になったと同時に、人として大事な物を失った気がする。
「ここまでやったのだから、これで駄目なら後悔はない」と悟りの境地に至るのに数年かかった。
=========
あまり良い思い出のない幼少期を過ごし、10歳になる前に実戦デビュー。
修羅場を経験する度にスキルはどんどん増え、スキル数に比例して俺は人間離れしていった。
最近討伐した有名どころ古代種2体はほぼ単身で討伐達成。
「ほぼ」なのは、下調べ、避難誘導、物資の支援、情報伝達など直接的な攻撃行動をしたのは俺一人だけど、討伐自体は他人の協力ありきだから。
何でも一人でできると驕る程、俺は盲目じゃない。
人は生きる上で、必ず他人の仕事の恩恵を受けているのだ。
もし俺が山奥で自給自足の隠居生活を始めたとしても、自分一人で用意できるのは小屋と食料くらい。
金属、陶器、衣類はどこかの誰かの仕事の成果である。
だから人間社会から弾かれてしまうのは致命的だし、隠居も簡単ではない。
隠居したいのは第二の人生を楽しみたいからであって、犯罪者のように貧しい環境で人の視線に怯えながら暮らすのは勘弁なのだ。
20代で穏便に隠居は中々難しい。
普通の人間なら「怪我で~」とか「病気で~」と嘘をつけるが、俺は普通の人間じゃないのでこの手は使えない。
いくら強いとはいえ、常識的に考えれば一人だけに攻撃行動を任せたりはしない。
もし善意の第三者が任務の人員配置図を見たら、あたかも俺が虐げられているように感じるだろう。
それは全くの冤罪だ。
共に戦う仲間を虐げているのは俺の方なのである。
増えすぎたスキルは、持ち主である俺ですら把握するのに苦労する程、入り組んで複雑なものになってしまった。
最近は臨戦体制に入るとフィールドが発動して、戦闘区域に俺優位な領域が展開されるようになった。
ここで注目すべきは、優位なのは俺だけな事。
このフィールドの効果だけど、敵味方を区別して発動するような高性能なものではなく、「俺」か「俺以外」かしか判定しない。
俺以外は身体能力大幅ダウン。
更に魔力の操作が阻害され魔法を発動することができなくなる。
持ち込んだ魔法道具は無力化され、既に発動済みの魔法も無効化される。
一方俺は自前のバフを盛りに盛っている。
他人を武装解除どころか丸裸にして冷や水ぶっかけ、自分はフル装備ドーピング状態。
他人の支援魔法を受けられないが、そもそも支援が必要ない状態。
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