魔王君と俺 〜婚活から逃げて異世界へ行ったら、初日からヤバいのに誤解されてゴールインした件〜

一一(カズイチ)

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ボーイ(28)・ミーツ・ボーイ(17)

異文化コミュニケーション ※

 前門のシングルベッド。後門の寝巻き姿のアウクトル。
 帰ってもいい?
 帰る場所なんてないけど。
「……このベッドに二人は狭いと思う。迷惑をかけたくない、俺は窓から抜け出してお暇し――」
 最後まで言わせてもらえなかった。
 腕を掴まれた俺は強制的にベッドに座らされた。
 何かあると直ぐ腕掴むの止めてくれ。強引な感じがしてイラッとするんだよ。

 食事の中盤辺りから徐々にアウクトルの機嫌が降下していた事は気がついていた。
 多感なお年頃だから、よくわからない琴線に触れたんだと思ってスルーしていた。

 ベッドの前に立ち、むすっとしたまま俺のことを無言で見下ろしているアウクトル。嫌なことがあるなら、態度じゃなく言葉で伝えようぜ。

「何か言いたいことがあるなら言ってくれ」
「何故両親に本当のことを言わなかった」
「本当のこと?」
「俺たちの関係だ」

 言えるかー!

「俺は異世界人です。神に息子さんを殺害するよう命令されました」なんて言ったら、コスプレでもギリなのに、ドン引きどころか警察呼ばれるわ!

「俺は何でも正直に言えば良いとは思わない。言った方は気が楽になるだろうが、それよりも言われた方の負担を考慮すべきだ」
「俺の両親だ。問題はない」
「問題だろう。客観的事実として今の俺は住所不定無職の無一文。君はどんなに優れていても、社会的には親の庇護下にある子供だ。親としては、絶対に子供に近づいて欲しくない。俺は嘘をついてでもご両親を安心させる方を選ぶ」
「…そうか…そうだな。俺も初めてのことで舞い上がっていたらしい。配慮が足りなかったようだ」

 人を家に泊めるのそんなにテンション上がるのか?
 いや待てよ、この性格だ。もしかしたら友達がいないのかもしれない。初めてってつまりそう言うことだろ。深く突っ込むのは可哀想なので、これ以上傷を抉るような真似はしないでおこう。

 部屋の雰囲気が和らいだ。ほらね、やっぱり会話って大事。
 友達に飢えている彼のために、仕方ないから今晩だけ一緒に寝るかと思った直後。
 俺は目を疑った。次にアウクトルの正気を疑った。

 ベッドに乗り上げた彼は堂々と脱いだ。

 一般人とは思えない、引き締まった体が晒される。

 何してるの?

 下着も脱ぐの?

 マジ全裸じゃん。


「な…何で脱いだんだ……?」

 同性だけど場所が場所なだけに、目のやり場に困る。
 膝突き合わせて座っているから、俯くと余計なものが目に入るし、顔を直視するのも憚られる。とりあえず顎の辺りで視線を固定する。

「普通脱ぐだろ」
「そそそういうものなのか?」
「野外等状況次第では脱がないこともあるだろうが、基本は脱ぐものだろう」

 へ。へー。
 魔界の常識ってやつか。ちょっとどころか、かなりカルチャーショック。

「その…恥ずかしながら、君からしたら俺は世間知らずというか、ええと此方の風俗的な知識が…無いんだ。知らずにマナー違反というか、やらかしてしまうかもしれない。早く覚えるよう努力するから、間違いがあれば遠慮なく指摘してくれ」

 あれかな。家の中では靴を脱げ的な感じで、ベッドでは服着るなが魔族の風習なのかな。
 雑魚寝とか地獄絵図になるけど、これが常識なら何とも思わないのか。
 おかしいと思う俺が変なのか。

 郷に入っては郷に従え。それが移住者の心得。
 それでもやはり抵抗があるので、俺はもそもそと脱いだ。
 見られて恥ずかしい体はしていないけど、この状況は何か嫌だ。俺たち似たような体格だし、寝返り打たなくても腕とかぶつかりそう。

 最後の一枚は勘弁して欲しかったけど、ベッドの主が脱いでいる以上そんなことは言えない。
 サッと脱いで素早く布団に滑り込み、仰向けだと体がぶつかりそうなので壁向きに横になる。
 朝までこの隅っこで瞑想していよう。今日は異世界でどんな物が観れるかなー?

 俺に続いて布団に入ったアウクトルだが、何を思ったか俺に接触してきた。というか後ろから抱きついて来た。
 突っ込んだら負けだと思い、無言で腕を外そうと試みる。

 すごい馬鹿力。俺も膂力は人間離れしているが、魔族が力強いのかコイツが逸脱しているのか不明だが全力出しても腹の前に回された腕を僅かにずらすことしかできなかった。
 しかしその少し動かした場所が悪かった。

 俺の股間にアウクトルの掌を誘導した感じになってしまった。

「違う! 誤解! そんなつもりじゃ無かった!」

 何と言ったら良いのか。相当情けない顔になっている自信がある。
 俺の陰部に触れて一瞬動きを止めた彼だったが、覚悟を決めたように手を動かしだした。
 なんでそっち方向に覚悟決めたんだ!

 俺の男性機能は死んでない。
 刺激されればちゃんと反応する。少しでも手を離してくれれば正常状態に戻るが、扱かれ続ければいずれ決壊する。他人の布団の中でこれは不味い。

「ッ本当に止めてくれ。洒落にっならない…から!」
「俺も男だ。遠慮するな」
「無理ぃ…」

 一度興味本位で自慰をした事があるが、こんなものかと拍子抜けして以降自分では触っていない。
 何をとは言わないが長年出してないのだ、ちゃんとイケるかわからない。
 汚い話だが、余計な物まで出てしまったらという不安もある。

「本当にっ。経験がないんだ! 自分で触ったことも殆どないんだ! 手を離してくれれば治まるから…お前の前で粗相したくない…」
「案ずるな俺に任せろ。経験ならこれから幾らでも積めば良い。未知なるものが恐怖なら、全部俺が教えてやる」

 自信満々にカッコつけてるけど、こんな事頑張って学ばなくて良いんだよ!

 結局彼が手を緩めることはなく、俺は限界を迎えた。


 初めての賢者タイム。冷静になると同時に局部に集中していた神経が正常に戻る。
 即ち背後の存在に関して敏感になる。

 アウクトル勃ってる。

 俺の選択肢は2つ。見て見ぬ振りをする、もしくは選手交代。
 先程の礼ととして、今度は俺が彼に手コキする。

 何方が正解か迷っていたら、その存在を主張するように押し付けてきた。アウクトルの腕に力が入り、ギュッと抱きしめられる。首筋に頭がぐりぐり押しつけられる。

 無視する選択肢が消えた。

「こ、今度は俺がしよう」

 俺も変な方向で覚悟を決めた。

「でもあの、俺は自分のもあまり触った事がないから、力加減とかあんまり気持ち良くないかも「構わぬ」」

 食い気味で返された。アウクトルも結構辛い状態なのかもしれない。

「お前が与えるものであれば、俺は喜んで受け入れよう。技巧など気にするな。共に成長すれば良いのだ」

 ドヤ顔で宣言するけど、マスの掻き合いだぞこれ。
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