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BLカテで乙女ゲーとか誰得
着痩せテクニックの応用
縦ロール女史は現場に置き去りにし、シューラを抱えて移動したのは森の中。
中世ヨーロッパな世界では、王都であろうと少し移動すれば森があるのだ。
「いきなり触れてしまってすまない」
「え? ああ、それは別に…」
年頃の女の子を同意なしに抱え上げたので謝罪する。
「それより今の光! 一体何が起こったの!?」
「俺が大聖堂を爆破した」
「はあ!?」
「問題解決の為に、君と意見の擦り合わせをしたい。先ほどの連中の監視下では困難なので、一旦離脱した。爆破は目眩兼、魔法陣の破壊が目的だ」
理由は後付けだけど、嘘ではない。
「恐らく出立まで君は王城に留め置かれることになる。プライベートな空間でも、影が君の一挙手一投足まで監視して報告するはずだ」
「何それ。普通に退くわ」
俺は割と監視慣れしているが、女子高生的にはアウトらしい。
「就寝入浴も含めすべて見られていると考えて良い」
「嫌よ!」
シューラが自分の体を抱きしめて叫ぶ。
多感な少女に、トイレも対象とは言えなかった。
「本題に戻ろう。俺たちの目的は魔界への帰還。これは大丈夫か?」
「そうね。問題はその手段ね」
「それは時間の問題だろう。君が召喚された瞬間は、連れの……」
「シェリよ。双子の妹なの」
「そう、彼女が見ている。直ぐに君の捜索が始まるだろう。こちらの座標を知らせる手段は複数あるので、アウクトルなら道を開くはずだ」
双子という存在は半同一個体だ。魔術的な繋がりが強いし、何より俺はGPS内蔵のイヤーカフを持っている。
アウクトルの名前を出した途端、シューラがピクリと反応した。
「魔法陣は爆破しちゃってよかったの?」
「俺たちは条件が良いので帰還できるが、この先の者達はそうじゃない。未来の犠牲者を減らす為だ」
「新しい魔法陣を作られたら意味ないんじゃない?」
「多分それはない。あの魔法陣は継ぎ接ぎ修繕されていた。簡単に作成できるなら召喚前に一新されたはずだ。おそらく一から作ることが不可能、もしくは困難なんだろう」
「そんなことまで……じゃあ、人里に紛れて迎えが来るのを待てば良いのかしら」
「それも有りだが、一つ懸念点がある。ここが魔界から分たれた人界である可能性だ」
「!? それって、魔王様の術を破って人界が魔界に干渉してるってこと!?」
しかもその方法が召喚という名の強制転移だ。当人達に自覚がなくても、魔界への攻撃である。
この技術が神に流用されたらどうなるか、シューラの顔色が変わる。
「可能であれば、帰還前にここが魔界から分たれた人界なのか確認し、もしそうであれば召喚に関する一切の知識を葬り去りたい」
人間が魔族を拉致していたことが知られたら、魔界で折角手に入れた俺の居場所がなくなる。
かといって人界に移住しても、俺のオーバースペックだと元の世界と同じパターンになる。
「俺は戦争を回避したい」
率先して捜査し、ヤバそうな証拠があったら揉み消したい。
シューラは口八丁で何とか丸め込もう。
=========
フォンスの洞察力、思慮深さにシューラは恥いった。
四天王の直系として彼女は幼少期より帝王学を叩き込まれている。そんな自分が、我が身の事しか考えていなかった。
年の功と言ってしまえばそれまでだが、フォンスはもっと広い視野で物事を見て、多角的な角度で判断して行動している。きっと彼とアウクトルは同じ目線で世界を見ているのだろう。彼のような人物こそ至高の魔王の傍に立つに相応しい。
ネガティブな思考に浸りそうになり、慌てて意識を切り替えた。
「世界を確認するなら一番わかりやすいのが地図ね。同じ世界をベースにしているから、大幅な地形の変更はないはずだわ」
「地図なら王城だろうな」
「図書館とか本屋とか、他にも色々あるじゃない」
「……ここの文明レベルだと地図は貴重品なんだ。大陸が乗っているような図面は、一般には出回らない」
「じゃあ王城に戻るべきね。調査中の時間稼ぎとして、浄化に協力する姿勢を取らないといけないけど。……この状況からどうやって戻れば良いのかしら」
「俺に考えがある」
=========
「聖女様が戻られたぞ!」
「ああ! よくぞご無事で!」
俺はシューラを連れて正々堂々正門から入城した。
「おい。貴様何者だ?」
「リリー。無所属の傭兵だ。森で保護した聖女様より、護衛任務を承った」
女装した俺はリリーと名乗った。城下で「エリーのアトリエ」とか「マリーのアトリエ」と書かれた看板を見かけたので、きっとこの国は○リーという名前が多いとアタリをつけた。
「女? ま、まあ。傭兵になるくらいなら、そうか…」
俺の身長は門番よりも頭一個大きい。顔を引き攣らせながら彼は後ずさった。
身形はデカいが、一応女に見えるはずだ。シューラにも厳しめにジャッジしてもらいOKをもらっている。
俺の親友<収納空間>さんには、女装道具も入っている。
実は返却するのを忘れていた幼馴染兼従者の所持品だ。
幼馴染のアデュートル。
彼女は男装して俺の従者として働いていた。
騎士団は男所帯。女性が女性のまま働くのに適した環境とは言えない。
女騎士も少数存在するが、彼女達は高貴な女性の護衛として採用されているので基本は都会勤務。
俺は前線の危険地帯が多い。俺としては彼女をリスクのある現場に連れて行きたくなかったのだが、当の本人が頑として譲らなかった。
性別を隠して生活するためには色々と物入りなので、俺は彼女の荷物を<収納空間>に預かっていた。すっかり忘れて持ち逃げしてしまった。貴重品はないから許して欲しい。
<収納空間>に彼女が本来の姿に戻るための道具一式が入っていたので、今回はそれを女装用に拝借した。
人は不思議なもので、露出している部分が細いと、他の隠れている部分も細いと錯覚する。
喉仏を隠し、髪に魔力を走らせてストレートにする。俺は癖っ毛なので、引っ張って伸ばせばボブに近いショートになる。
細いパーツのみ露出するように調節し、胸と臀部をやや盛れば無骨な女傭兵の出来上がりだ。
中世ヨーロッパな世界では、王都であろうと少し移動すれば森があるのだ。
「いきなり触れてしまってすまない」
「え? ああ、それは別に…」
年頃の女の子を同意なしに抱え上げたので謝罪する。
「それより今の光! 一体何が起こったの!?」
「俺が大聖堂を爆破した」
「はあ!?」
「問題解決の為に、君と意見の擦り合わせをしたい。先ほどの連中の監視下では困難なので、一旦離脱した。爆破は目眩兼、魔法陣の破壊が目的だ」
理由は後付けだけど、嘘ではない。
「恐らく出立まで君は王城に留め置かれることになる。プライベートな空間でも、影が君の一挙手一投足まで監視して報告するはずだ」
「何それ。普通に退くわ」
俺は割と監視慣れしているが、女子高生的にはアウトらしい。
「就寝入浴も含めすべて見られていると考えて良い」
「嫌よ!」
シューラが自分の体を抱きしめて叫ぶ。
多感な少女に、トイレも対象とは言えなかった。
「本題に戻ろう。俺たちの目的は魔界への帰還。これは大丈夫か?」
「そうね。問題はその手段ね」
「それは時間の問題だろう。君が召喚された瞬間は、連れの……」
「シェリよ。双子の妹なの」
「そう、彼女が見ている。直ぐに君の捜索が始まるだろう。こちらの座標を知らせる手段は複数あるので、アウクトルなら道を開くはずだ」
双子という存在は半同一個体だ。魔術的な繋がりが強いし、何より俺はGPS内蔵のイヤーカフを持っている。
アウクトルの名前を出した途端、シューラがピクリと反応した。
「魔法陣は爆破しちゃってよかったの?」
「俺たちは条件が良いので帰還できるが、この先の者達はそうじゃない。未来の犠牲者を減らす為だ」
「新しい魔法陣を作られたら意味ないんじゃない?」
「多分それはない。あの魔法陣は継ぎ接ぎ修繕されていた。簡単に作成できるなら召喚前に一新されたはずだ。おそらく一から作ることが不可能、もしくは困難なんだろう」
「そんなことまで……じゃあ、人里に紛れて迎えが来るのを待てば良いのかしら」
「それも有りだが、一つ懸念点がある。ここが魔界から分たれた人界である可能性だ」
「!? それって、魔王様の術を破って人界が魔界に干渉してるってこと!?」
しかもその方法が召喚という名の強制転移だ。当人達に自覚がなくても、魔界への攻撃である。
この技術が神に流用されたらどうなるか、シューラの顔色が変わる。
「可能であれば、帰還前にここが魔界から分たれた人界なのか確認し、もしそうであれば召喚に関する一切の知識を葬り去りたい」
人間が魔族を拉致していたことが知られたら、魔界で折角手に入れた俺の居場所がなくなる。
かといって人界に移住しても、俺のオーバースペックだと元の世界と同じパターンになる。
「俺は戦争を回避したい」
率先して捜査し、ヤバそうな証拠があったら揉み消したい。
シューラは口八丁で何とか丸め込もう。
=========
フォンスの洞察力、思慮深さにシューラは恥いった。
四天王の直系として彼女は幼少期より帝王学を叩き込まれている。そんな自分が、我が身の事しか考えていなかった。
年の功と言ってしまえばそれまでだが、フォンスはもっと広い視野で物事を見て、多角的な角度で判断して行動している。きっと彼とアウクトルは同じ目線で世界を見ているのだろう。彼のような人物こそ至高の魔王の傍に立つに相応しい。
ネガティブな思考に浸りそうになり、慌てて意識を切り替えた。
「世界を確認するなら一番わかりやすいのが地図ね。同じ世界をベースにしているから、大幅な地形の変更はないはずだわ」
「地図なら王城だろうな」
「図書館とか本屋とか、他にも色々あるじゃない」
「……ここの文明レベルだと地図は貴重品なんだ。大陸が乗っているような図面は、一般には出回らない」
「じゃあ王城に戻るべきね。調査中の時間稼ぎとして、浄化に協力する姿勢を取らないといけないけど。……この状況からどうやって戻れば良いのかしら」
「俺に考えがある」
=========
「聖女様が戻られたぞ!」
「ああ! よくぞご無事で!」
俺はシューラを連れて正々堂々正門から入城した。
「おい。貴様何者だ?」
「リリー。無所属の傭兵だ。森で保護した聖女様より、護衛任務を承った」
女装した俺はリリーと名乗った。城下で「エリーのアトリエ」とか「マリーのアトリエ」と書かれた看板を見かけたので、きっとこの国は○リーという名前が多いとアタリをつけた。
「女? ま、まあ。傭兵になるくらいなら、そうか…」
俺の身長は門番よりも頭一個大きい。顔を引き攣らせながら彼は後ずさった。
身形はデカいが、一応女に見えるはずだ。シューラにも厳しめにジャッジしてもらいOKをもらっている。
俺の親友<収納空間>さんには、女装道具も入っている。
実は返却するのを忘れていた幼馴染兼従者の所持品だ。
幼馴染のアデュートル。
彼女は男装して俺の従者として働いていた。
騎士団は男所帯。女性が女性のまま働くのに適した環境とは言えない。
女騎士も少数存在するが、彼女達は高貴な女性の護衛として採用されているので基本は都会勤務。
俺は前線の危険地帯が多い。俺としては彼女をリスクのある現場に連れて行きたくなかったのだが、当の本人が頑として譲らなかった。
性別を隠して生活するためには色々と物入りなので、俺は彼女の荷物を<収納空間>に預かっていた。すっかり忘れて持ち逃げしてしまった。貴重品はないから許して欲しい。
<収納空間>に彼女が本来の姿に戻るための道具一式が入っていたので、今回はそれを女装用に拝借した。
人は不思議なもので、露出している部分が細いと、他の隠れている部分も細いと錯覚する。
喉仏を隠し、髪に魔力を走らせてストレートにする。俺は癖っ毛なので、引っ張って伸ばせばボブに近いショートになる。
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