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BLカテで乙女ゲーとか誰得
悪役令嬢が仲間になった!
セクハラ扱いされるかもしれないが、逃げるわけにはいかない。
俺は別れ際に彼女に忠告した。
「君たちの風習に反するかもしれないが、この世界に滞在中我慢してもらいたいことがある」
ここは敵地と言っても過言ではない。咄嗟に動けない状態は避けるべきだ。
「就寝時も服を着用してくれ。寝巻きで構わないから」
「…………はぁ?」
何言ってんだコイツ的な目で見られた。
「寝る時は脱ぐんだろう?」
「そんな訳ないでしょ。一体どこでそんなーー」
「アウクトルが言っていた」
「!!?? そそそうなの?? 1000年前はそうだったのかもしれないわね!!」
マジか。
カルチャーショックじゃなくて、ジェネレーションギャップだったようだ。
=========
シューラを寝室に送り届け、一旦俺は自分の部屋に向かった。
リリーに与えられたのは、ベッドしかない使用人用の控えの間。有事の際、聖女の元へ即座に駆けつけられるように設置されている。
俺に影はついていない。
この社会の成熟度では、平民は無知蒙昧な動物扱いだ。歓迎されないが、警戒もされない。
聖女の間以外で、城内には何ヶ所か影が潜んでいる場所があった。後宮はわかるのだが、南の塔には誰が居るのか。
そちらの確認は優先度が低いので、後回しにする。
女装を解いた俺は、今夜の本命ーー昼間、侍女Aが向かった場所へ移動した。
=========
辿り着いたのは後宮の一角。
部屋には縦ロール女史がいた。ここは彼女の居室のようだ。
聖女の部屋に負けず劣らずの豪勢な内装。相当地位が高いのだろう。
第二王子と同年代。年若い側妃の可能性も否定できないが、順当に考えれば彼女は王女だ。
最短で必要な情報を聞き出すため、素早く拘束する。しかし、抵抗どころか慌てる様子が一切ない。
「お待ちしておりました」
何と俺が来ると予測していたらしい。影も護衛も居ないのは、事前に人払いしていた為か。
「お会いできて嬉しゅうございます、暁の君」
誰のこと?
「人違いではないか?」
「いいえっ。儀式の間にて私を助けてくださったでしょう。あの時から私の心は貴方のものです」
助けたといえば、そうなるのか。
彼女にとって俺は命の恩人。しかし彼女を危険に晒したのも俺なので、これはマッチポンプ。
まあ、進んで協力者になってくれるなら有難いので、このまま利用しよう。
「聞きたいことがある」
「我が国の忌まわしい風習の事ですね。貴方と聖女様の関係は……」
「俺は彼女の護衛だ」
「彼女が支配階級の出身である可能性が報告されていましたが、やはりそうなのですね」
昼間、彼女が四天王の系譜を名乗ったことは筒抜けのようだ。人間でないことはバレていないようだが、この状況で彼女が知識階級と見做されるのはあまり望ましくない。賢い人間は利用し難いからだ。
「暁の君、お願いです。聖女様をこの国から逃してください」
「君はこの国の上層部の人間の筈だが」
「一枚岩の国などございませんわ。本当は儀式そのものを中止させたかったのですが、敵いませんでした……」
あの足グリグリしてたの、魔法陣に細工してたのか。
馬糞擦りつけようとしているなんて、不名誉な思い込みをしてすまん。
「帰還方法はあるのか?」
期待していないが、一応聞く。
「端からございません」
「先代は生きているのか?」
「いいえ」
そんな事だろうと思った。
神殿で能力が目覚めるらしいが、具体的に何が起きるのか万全を期すなら引き継ぎを行うはずだ。15年スパンなら、先代を始めとして数人は生存が期待できる。しかし昼間、誰も前任者について触れなかった。
「処分されたのか?」
「先代は儀式により亡くなりました。第一王子が看取っております。先先代以前は、私達では情報を得ることができなかったのですが、おそらく似たようなものかと……」
「第一王子は儀式の間に居なかったな」
儀式の間でも、顔合わせでも紹介されたのは第二王子だけ。
「魔法陣及び大結界の破壊未遂で、幽閉されております」
「場所は南の塔か?」
「! そこまでご存じなのですね。流石ですわ」
縦ロール女史、改め第一王女メアリー。
彼女と第三王子は側妃の子。
第一王子、第二王子は正妃の子。
次期国王は第一王子でほぼ確定だったのだが、現在彼は拘束中。
王太子の座が空席になったことで、第二王子と第三王子が対立。第三王子が災害復興で王都を離れたため、第二王子陣営が聖女召喚の儀式を強行。
年齢的には第一王子、少し離れてメアリー。第二王子と第三王子は数ヶ月違い。
第一王子を告発したのは第三王子。
しかし第二王子も、同腹の兄を廃して身の潔白を証明しようとしているらしい。
メアリーは第一王子と志を同じくしているので、彼を助けたい。
「今最も警戒すべきは、第二王子が第一王子を暗殺する事ですわ」
兄弟同士でよくやるわと思ったが、エアステ家もそうだった。
王太子がテロ行為を行おうとしたのは、彼が王位に着く前に儀式が行われそうだったから。
何と第一王子、先代の旅の御一行ショタ担当だった。
当時12歳だった第一王子は、旅が進行するにつれ衰弱する聖女に最後まで寄り添った。
全てを見届けた少年は、儀式そのものに不信感を抱いた。
大結界の存在でアヴァールは外敵を警戒する必要がない。
外交の優先度が低い国だったが、第一王子は複数の国に留学し現地で積極的に交流。彼の働きで成立した条約が多数あるため、国王は処分内容を決めあぐねているのが現状。
「他国から我が国がどう見られているのか、本当に大結界や聖女は必要なのか。第一王子は自らの目で見極めようとしたのです」
その結論が、大結界も聖女も不要。
外交で実績をあげて、次の聖女が現れる前に譲位を済ませようとしたが、そう計画通りに事は運ばなかった。
召喚の妨害に失敗したメアリーは、聖女を隣国へ逃そうとした。家には帰れないが、儀式を行う前ならば寿命を縮める事はない。
召喚の間でガッツリ目が合ったので、メアリーは俺がリリーだと気付いたらしい。
「我が国では、身に纏う色が黒に近い者は珍しいのです。どんな御姿であろうと、私は暁の君を見誤ったりいたしませんわ」
それ髪と目の色で認識してるじゃん。
色変えたら絶対分からないって。
あと俺が名乗ってないからなんだけど、暁の君呼びは止めてくれ。
羞恥心がハンパない。
俺は別れ際に彼女に忠告した。
「君たちの風習に反するかもしれないが、この世界に滞在中我慢してもらいたいことがある」
ここは敵地と言っても過言ではない。咄嗟に動けない状態は避けるべきだ。
「就寝時も服を着用してくれ。寝巻きで構わないから」
「…………はぁ?」
何言ってんだコイツ的な目で見られた。
「寝る時は脱ぐんだろう?」
「そんな訳ないでしょ。一体どこでそんなーー」
「アウクトルが言っていた」
「!!?? そそそうなの?? 1000年前はそうだったのかもしれないわね!!」
マジか。
カルチャーショックじゃなくて、ジェネレーションギャップだったようだ。
=========
シューラを寝室に送り届け、一旦俺は自分の部屋に向かった。
リリーに与えられたのは、ベッドしかない使用人用の控えの間。有事の際、聖女の元へ即座に駆けつけられるように設置されている。
俺に影はついていない。
この社会の成熟度では、平民は無知蒙昧な動物扱いだ。歓迎されないが、警戒もされない。
聖女の間以外で、城内には何ヶ所か影が潜んでいる場所があった。後宮はわかるのだが、南の塔には誰が居るのか。
そちらの確認は優先度が低いので、後回しにする。
女装を解いた俺は、今夜の本命ーー昼間、侍女Aが向かった場所へ移動した。
=========
辿り着いたのは後宮の一角。
部屋には縦ロール女史がいた。ここは彼女の居室のようだ。
聖女の部屋に負けず劣らずの豪勢な内装。相当地位が高いのだろう。
第二王子と同年代。年若い側妃の可能性も否定できないが、順当に考えれば彼女は王女だ。
最短で必要な情報を聞き出すため、素早く拘束する。しかし、抵抗どころか慌てる様子が一切ない。
「お待ちしておりました」
何と俺が来ると予測していたらしい。影も護衛も居ないのは、事前に人払いしていた為か。
「お会いできて嬉しゅうございます、暁の君」
誰のこと?
「人違いではないか?」
「いいえっ。儀式の間にて私を助けてくださったでしょう。あの時から私の心は貴方のものです」
助けたといえば、そうなるのか。
彼女にとって俺は命の恩人。しかし彼女を危険に晒したのも俺なので、これはマッチポンプ。
まあ、進んで協力者になってくれるなら有難いので、このまま利用しよう。
「聞きたいことがある」
「我が国の忌まわしい風習の事ですね。貴方と聖女様の関係は……」
「俺は彼女の護衛だ」
「彼女が支配階級の出身である可能性が報告されていましたが、やはりそうなのですね」
昼間、彼女が四天王の系譜を名乗ったことは筒抜けのようだ。人間でないことはバレていないようだが、この状況で彼女が知識階級と見做されるのはあまり望ましくない。賢い人間は利用し難いからだ。
「暁の君、お願いです。聖女様をこの国から逃してください」
「君はこの国の上層部の人間の筈だが」
「一枚岩の国などございませんわ。本当は儀式そのものを中止させたかったのですが、敵いませんでした……」
あの足グリグリしてたの、魔法陣に細工してたのか。
馬糞擦りつけようとしているなんて、不名誉な思い込みをしてすまん。
「帰還方法はあるのか?」
期待していないが、一応聞く。
「端からございません」
「先代は生きているのか?」
「いいえ」
そんな事だろうと思った。
神殿で能力が目覚めるらしいが、具体的に何が起きるのか万全を期すなら引き継ぎを行うはずだ。15年スパンなら、先代を始めとして数人は生存が期待できる。しかし昼間、誰も前任者について触れなかった。
「処分されたのか?」
「先代は儀式により亡くなりました。第一王子が看取っております。先先代以前は、私達では情報を得ることができなかったのですが、おそらく似たようなものかと……」
「第一王子は儀式の間に居なかったな」
儀式の間でも、顔合わせでも紹介されたのは第二王子だけ。
「魔法陣及び大結界の破壊未遂で、幽閉されております」
「場所は南の塔か?」
「! そこまでご存じなのですね。流石ですわ」
縦ロール女史、改め第一王女メアリー。
彼女と第三王子は側妃の子。
第一王子、第二王子は正妃の子。
次期国王は第一王子でほぼ確定だったのだが、現在彼は拘束中。
王太子の座が空席になったことで、第二王子と第三王子が対立。第三王子が災害復興で王都を離れたため、第二王子陣営が聖女召喚の儀式を強行。
年齢的には第一王子、少し離れてメアリー。第二王子と第三王子は数ヶ月違い。
第一王子を告発したのは第三王子。
しかし第二王子も、同腹の兄を廃して身の潔白を証明しようとしているらしい。
メアリーは第一王子と志を同じくしているので、彼を助けたい。
「今最も警戒すべきは、第二王子が第一王子を暗殺する事ですわ」
兄弟同士でよくやるわと思ったが、エアステ家もそうだった。
王太子がテロ行為を行おうとしたのは、彼が王位に着く前に儀式が行われそうだったから。
何と第一王子、先代の旅の御一行ショタ担当だった。
当時12歳だった第一王子は、旅が進行するにつれ衰弱する聖女に最後まで寄り添った。
全てを見届けた少年は、儀式そのものに不信感を抱いた。
大結界の存在でアヴァールは外敵を警戒する必要がない。
外交の優先度が低い国だったが、第一王子は複数の国に留学し現地で積極的に交流。彼の働きで成立した条約が多数あるため、国王は処分内容を決めあぐねているのが現状。
「他国から我が国がどう見られているのか、本当に大結界や聖女は必要なのか。第一王子は自らの目で見極めようとしたのです」
その結論が、大結界も聖女も不要。
外交で実績をあげて、次の聖女が現れる前に譲位を済ませようとしたが、そう計画通りに事は運ばなかった。
召喚の妨害に失敗したメアリーは、聖女を隣国へ逃そうとした。家には帰れないが、儀式を行う前ならば寿命を縮める事はない。
召喚の間でガッツリ目が合ったので、メアリーは俺がリリーだと気付いたらしい。
「我が国では、身に纏う色が黒に近い者は珍しいのです。どんな御姿であろうと、私は暁の君を見誤ったりいたしませんわ」
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