魔王君と俺 〜婚活から逃げて異世界へ行ったら、初日からヤバいのに誤解されてゴールインした件〜

一一(カズイチ)

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BLカテで乙女ゲーとか誰得

温泉の水全部抜く ※

 貸切状態の大浴場。
 とても気分が良い。
 家で入る毎日の風呂は面倒なのに、こういう場所だとテンションが上がるのは何でだろうな。

 さっさと体を洗って湯船に向かう。
 浴槽の淵に腰掛けて、足だけ先に湯に入れた。
 最初から肩まで浸かる人もいるのだろうが、俺は徐々に浸かりたい派だ。この後、半身浴、全身浴に移行する。

 先に湯船に浸かっていたアウクトルが近寄ってきた。
 真正面に来られて、俺は困惑した。
 俺は男なので、ある程度足を開いた状態で座る。
 手拭いで隠しているとはいえ、肩まで湯に浸かった彼に正面で陣取られると、とても気まずい。

「ちょっ! っと待て!」

 彼は徐に俺の手拭いを奪うと、その形の良い頭を近づけた。
 俺の位置からはその後頭部しか見えないが、何をされているのかは分かる。
 唐突過ぎて、理由も目的も思いつかないが、これは駄目だ。

「ここはっ! …公共のっ! マナー!」

 力づくで引き剥がしたいが、乱暴にしてうっかり噛み切られては堪らない。
 弱点を抑えられたような状態の俺は、彼に対して強く出られない。

「湯を全て入れ替えれば良い」

 手を動かしながら、先端を吸われた。
 違う。そうじゃない。

 信じられないことに、アウクトルは俺の出したものを飲んだ。
 マジかよ、吐き出して湯で流していいんだぞ。
 洗い場でうがいはマナー違反だが、もっと特大のマナー違反を俺たちはやらかしている。
 彼のマナーの基準がわからない。

 呆然とする俺を、アウクトルは湯船に引き込んだ。
 意図せず彼の膝の上に乗っかる形になる。
 退こうとするが、腰に回された手に引き留められた。
 するりとやおらに指先が割れ目をたどる。一点に差し掛かると、確かめるように指の腹で軽く押される。
 これはヤバい。

 経験はないが、どういうものか知識はある。
 嫌悪ではなく懸念が俺の頭を支配する。
 まず思い浮かんだのが感染症のリスクだ。
 ここは大勢が使用した湯船。体の表面を洗い流す分には良いが粘膜へ直接はよろしくない。彼にしても、避妊具のない状態で常在菌が生息する部位に接触するのは危険。
 それにこういうのって、受け手が事前に準備しないと不味いんじゃないか?
 腸内を直接刺激されるのだ、排便を促されるようなものである。滑りが良ければ何とかなる、という話ではないのだ。知らんけど。

 全部あり合わせの知識による想像だけど、兎に角駄目だ!
 アウクトルの意図とか色々考えなければいけないことはあるが、今俺が最優先であたるべきは事態の収束。

 自分がして欲しい事を相手にする。

 不意に頭を過った考え。一か八かかけるしかない。
 アウクトルの体を抱えると、そのまま湯船の外に押し出した。先ほどの俺と同じ姿勢にさせる。
 目に入ったものに怯みそうになるが、洗ったばかりなので、思ったより抵抗はない。
 えずいてしまうので、彼にされたように奥まで含むことは無理だが、口の中に入れなければ大丈夫だろう。多分。

 俺が何をしようとしているのか、察したアウクトルが戸惑う姿勢を見せる。
 顔を近づける俺を止めようとする手を叩いた。
 人にされて嫌なら最初からするな!!
 主に手を使い、申し訳程度に舌先で先端と筋を舐める。しゃぶるのは無理なので、唇で軽く挟んで吸った。
 俺が出したものは彼が飲んだが、彼が出してものは思い切り俺の顔に掛かった。一部は口の中に入ったが、顔を洗うふりをして吐き出した。
 アウクトルが顔を近づけてきたので、指でその唇を押さえた。

「早く魔界に帰ろう」

 先日キスへの不感症が発覚した俺だが、心理的に口淫した口でキスはいやだ。
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