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1000年前から愛してる
謎は全て解けた!
トーレの目的がイマイチ把握できないが、この訪問は俺にとっても渡りに船だ。
アウクトルとの関係で、実は俺も思うところがあったのだが、誰に相談すれば良いかわからなかったのだ。
俺はここに来てから、プライベートな相談をできるような同性の友達がいない。
故郷でも男友達いなかっただろうって? 終わったことは良いんだよ!
魔界で一番相談しやすい存在は、俺と似たような立場のオニキス。しかし彼女は異性だし、俺と同じ移民なので今回の相談相手としては不向き。
トーレなら俺の事情も、アウクトルの事もよく知っている。
君に決めた!
今までは深く考えることなく、唐突に始まる性的な展開に流される一方だった。
深く考えずにいたけど、いい加減ちゃんと考察して向き合うべきだと思った。
自慰については、まあ思春期の行き過ぎた戯れという事にできる。
要は彼女いない者同士での性欲の発散だ。素股とか、一人だとできないからな。
しかし、キスはおかしい。
カフェでアウクトルは自主的に俺にディープキスをしようとした。
友人同士の戯れでは絶対にしない。世の中には酔うとキス魔になる人種が存在するらしいが、あの時は素面だった。
そして極め付けが温泉での口淫と、尻への接触。その後、未遂で終わったがキスされそうになったこと。
認めよう。
明らかに彼は、俺を性の対象として見ている。
俺が導き出した仮説は2つ。
1つ、魔界では友人同士で性的な行為を行うのが普通。
現在の魔界の常識なのか、過去の常識なのかは問わない。
脱衣の件でアウクトルは古い価値観を維持してることが判明した。日本の稚児文化のように、現代では消失していたとしても1000年前は男同士の触れ合いが一般的だった可能性がある。
2つ、アウクトルは俺の事をセフレだと思ってる。
彼の外見や、信奉者の存在を考えると性欲処理の相手に事欠かなさそうだが、下手に手を出すと揉める可能性があるのかもしれない。アイドルがファンと関係を持つ的なヤツだ。その点、俺の存在は彼にとって都合が良かったに違いない。
「トーレ君に聞きたい事がある」
とりあえず1つ目の仮説の検証だ。
「君とアウクトルは性的な行為をしているのか?」
「何だって!!!??」
彼の敬語が吹っ飛んだ。
「いやあの、俺は男同士の付き合いに詳しくないんだ…。男兄弟はいないし…、父や祖父も早くに他界した。親しい男友人も少なかったから……」
見栄を張った。親しい男友達はゼロだ。
「普通は下ネタ?…とか、猥談?…とか男同士で、性的な話題で盛り上がるんだろう? 俺はそういったことの経験がないんだ…」
「本気で言ってます?」
珍獣を見る目だ。
「違うのか? 魔界ではそのような事はしないんだな? なら、当然友人同士で性的な接触もないんだな?」
「…ちょっと、何言ってるのかわかりません」
「ええと何と言ったら良いのか。…魔界では、同性の友人同士で性行為を行う文化があるのかと」
「あるわけないでしょうっ!!」
「昔はあったとか?」
「初耳ですよ!!」
トーレが全力で否定する。
マジか。仮説1が消えたぞ。2は嫌すぎる。
「何でそんな考えに至ったんですか!?」
「アウクトルが、その――」
なんて言ったら良いんだ?
「お前の友達、俺に欲情してくるんだ」なんて言えない。
「フォンスさんは、アールと付き合ってるんですよね!?」
トーレが叫ぶように問いかけた。
「付き合ってないが」
「――――――え?」
「俺は彼と付き合ってない」
静寂が場を支配した。
=========
俺は貴族階級の出身だ。
つまり男女のお付き合いは家ありきのもの。
基本的に家の当主から打診があり、何度か顔合わせの場を設けて問題がなければ婚約成立。夜会などで当人がアプローチする事もあるが、それは「後で我が家から打診をしますよ」と言う予告のようなもの。
どちらも俺には縁がなかった。
平民に近い生活をしている貴族であっても、男女の仲になる前は家同士で条件を結ぶ。
他国や平民だと別の流れがあるのかもしれないが、残念ながら俺は知らない。
地球では告白文化、デーティング文化があった。
俺の認識では、魔界は告白文化だ。
シューラと女子トークしている時に、彼女からそう聞かされた。
「意中の相手に『好きです』『付き合ってください』と好意を告げて、相手が受諾する返事をしたら交際開始。俺はそう認識している」
「そそそうですね! それで合ってます!」
うん。間違ってはいないようだ。
「俺は彼にそのような事を言われた記憶はない」
勿論俺からも言ってない。
トーレの顔から血の気が引いた。今にも倒れそうだ。
気まずい沈黙が続く。
「……フォンスさんは、アールの事をどう思ってるんですか?」
先に口を開いたのはトーレ。
「好きか、嫌いか。本心を教えてください」
2択なのかよ。
それなら――
「好きだ」
嫌いではない。
次の瞬間、トーレはアウクトルに姿を変えていた。否、転移で彼らの位置が入れ替わったのだろう。
「…やっぱり聞いていたか」
なんて表情してるんだ。
いつもの傲岸不遜な魔王様は何処へいったんだ。
「アウクトル。お前は男が恋愛対象なのか?」
「――違う」
「そうか。俺もだ」
恋愛対象が女なら、彼女作れ。
「聞いていた通りだ。お前は良い男だ。相応しい相手を見つけられる」
シューラとかな。やっぱり彼女、アウクトルの事好きだと思うんだ。
「ご両親に紹介できるような相手と堂々と付き合うべきだ。俺とは良き隣人関係でいよう」
くれぐれも面倒くさがってセフレで性欲解消するなよ。
「――――すまなかった。きちんとしよう」
俺の気持ちが伝わったらしい。
アウクトルが俺を抱きしめた。
仕方ない。彼はまだ10代だ。本体の年齢考えたらちょっとアレだけど、とにかく若気の至りというか間違うこともある。
俺は謝罪のハグを受け入れた。
アウクトルとの関係で、実は俺も思うところがあったのだが、誰に相談すれば良いかわからなかったのだ。
俺はここに来てから、プライベートな相談をできるような同性の友達がいない。
故郷でも男友達いなかっただろうって? 終わったことは良いんだよ!
魔界で一番相談しやすい存在は、俺と似たような立場のオニキス。しかし彼女は異性だし、俺と同じ移民なので今回の相談相手としては不向き。
トーレなら俺の事情も、アウクトルの事もよく知っている。
君に決めた!
今までは深く考えることなく、唐突に始まる性的な展開に流される一方だった。
深く考えずにいたけど、いい加減ちゃんと考察して向き合うべきだと思った。
自慰については、まあ思春期の行き過ぎた戯れという事にできる。
要は彼女いない者同士での性欲の発散だ。素股とか、一人だとできないからな。
しかし、キスはおかしい。
カフェでアウクトルは自主的に俺にディープキスをしようとした。
友人同士の戯れでは絶対にしない。世の中には酔うとキス魔になる人種が存在するらしいが、あの時は素面だった。
そして極め付けが温泉での口淫と、尻への接触。その後、未遂で終わったがキスされそうになったこと。
認めよう。
明らかに彼は、俺を性の対象として見ている。
俺が導き出した仮説は2つ。
1つ、魔界では友人同士で性的な行為を行うのが普通。
現在の魔界の常識なのか、過去の常識なのかは問わない。
脱衣の件でアウクトルは古い価値観を維持してることが判明した。日本の稚児文化のように、現代では消失していたとしても1000年前は男同士の触れ合いが一般的だった可能性がある。
2つ、アウクトルは俺の事をセフレだと思ってる。
彼の外見や、信奉者の存在を考えると性欲処理の相手に事欠かなさそうだが、下手に手を出すと揉める可能性があるのかもしれない。アイドルがファンと関係を持つ的なヤツだ。その点、俺の存在は彼にとって都合が良かったに違いない。
「トーレ君に聞きたい事がある」
とりあえず1つ目の仮説の検証だ。
「君とアウクトルは性的な行為をしているのか?」
「何だって!!!??」
彼の敬語が吹っ飛んだ。
「いやあの、俺は男同士の付き合いに詳しくないんだ…。男兄弟はいないし…、父や祖父も早くに他界した。親しい男友人も少なかったから……」
見栄を張った。親しい男友達はゼロだ。
「普通は下ネタ?…とか、猥談?…とか男同士で、性的な話題で盛り上がるんだろう? 俺はそういったことの経験がないんだ…」
「本気で言ってます?」
珍獣を見る目だ。
「違うのか? 魔界ではそのような事はしないんだな? なら、当然友人同士で性的な接触もないんだな?」
「…ちょっと、何言ってるのかわかりません」
「ええと何と言ったら良いのか。…魔界では、同性の友人同士で性行為を行う文化があるのかと」
「あるわけないでしょうっ!!」
「昔はあったとか?」
「初耳ですよ!!」
トーレが全力で否定する。
マジか。仮説1が消えたぞ。2は嫌すぎる。
「何でそんな考えに至ったんですか!?」
「アウクトルが、その――」
なんて言ったら良いんだ?
「お前の友達、俺に欲情してくるんだ」なんて言えない。
「フォンスさんは、アールと付き合ってるんですよね!?」
トーレが叫ぶように問いかけた。
「付き合ってないが」
「――――――え?」
「俺は彼と付き合ってない」
静寂が場を支配した。
=========
俺は貴族階級の出身だ。
つまり男女のお付き合いは家ありきのもの。
基本的に家の当主から打診があり、何度か顔合わせの場を設けて問題がなければ婚約成立。夜会などで当人がアプローチする事もあるが、それは「後で我が家から打診をしますよ」と言う予告のようなもの。
どちらも俺には縁がなかった。
平民に近い生活をしている貴族であっても、男女の仲になる前は家同士で条件を結ぶ。
他国や平民だと別の流れがあるのかもしれないが、残念ながら俺は知らない。
地球では告白文化、デーティング文化があった。
俺の認識では、魔界は告白文化だ。
シューラと女子トークしている時に、彼女からそう聞かされた。
「意中の相手に『好きです』『付き合ってください』と好意を告げて、相手が受諾する返事をしたら交際開始。俺はそう認識している」
「そそそうですね! それで合ってます!」
うん。間違ってはいないようだ。
「俺は彼にそのような事を言われた記憶はない」
勿論俺からも言ってない。
トーレの顔から血の気が引いた。今にも倒れそうだ。
気まずい沈黙が続く。
「……フォンスさんは、アールの事をどう思ってるんですか?」
先に口を開いたのはトーレ。
「好きか、嫌いか。本心を教えてください」
2択なのかよ。
それなら――
「好きだ」
嫌いではない。
次の瞬間、トーレはアウクトルに姿を変えていた。否、転移で彼らの位置が入れ替わったのだろう。
「…やっぱり聞いていたか」
なんて表情してるんだ。
いつもの傲岸不遜な魔王様は何処へいったんだ。
「アウクトル。お前は男が恋愛対象なのか?」
「――違う」
「そうか。俺もだ」
恋愛対象が女なら、彼女作れ。
「聞いていた通りだ。お前は良い男だ。相応しい相手を見つけられる」
シューラとかな。やっぱり彼女、アウクトルの事好きだと思うんだ。
「ご両親に紹介できるような相手と堂々と付き合うべきだ。俺とは良き隣人関係でいよう」
くれぐれも面倒くさがってセフレで性欲解消するなよ。
「――――すまなかった。きちんとしよう」
俺の気持ちが伝わったらしい。
アウクトルが俺を抱きしめた。
仕方ない。彼はまだ10代だ。本体の年齢考えたらちょっとアレだけど、とにかく若気の至りというか間違うこともある。
俺は謝罪のハグを受け入れた。
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