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1000年前から愛してる
終わりの始まり(後半アウクトルサイド)
よくわからない行き違いで、俺とアウクトルは付き合っている事になっていたらしい。
セフレ扱いじゃなかったようだ。安心すれば良いのか複雑な気持ちだ。
あの後、アウクトルは「俺たちには会話が足りなかった」と言った。
俺もそう思う。
店も閉めてしまったので、そのままアウクトルは俺の家に滞在した。
今までの会話の中心は好きな食べ物とか、興味があることとか個人の嗜好ばかりだった。俺が、彼の身の上話に興味がなかったというのもある。
育ってきた環境が違うのだから、彼はお互いの過去の話をしようと提案した。
決して楽しい話ではないが、それを置き去りして後々誤解が生まれては堪らない。
意外な事に面白くもない俺の話に彼は興味を示した。特に幼馴染の話題に対する食いつきが異常だった。
彼女たちは異世界にいるから、お前の彼女候補にはなれないぞ。
こちらの世界に転移してきたら話は別だが、その可能性は限りなく低い。
絵に描いた餅よりも、彼は身近な少女に目を向けるべきだ。
次に、彼は自分の過去を話した。
初日に話した魔王のざっくりとした政策ではなく、魔族の長として誰とどのように戦ってきたか詳細を語った。
これがクソつまらなかった。
苦行と言っても良い。
「○族の〇〇が喧嘩を売ってきたのでワンパンした」
「△族の△△が喧嘩を売ってきたのでワンパンした」
「□族の□□が喧嘩を売ってきたのでワンパンした」
・
・
・
延々とこれが続く。
彼はエンタメがわかっていない。
山場なしで、ワンパターン。しかもリベンジで同じ相手が再登場することもある。
再登場どころかレギュラーと化してる奴もいる。
そいつ一周回って魔王の事、大好きだろ。
それって、新手のI love youだろ。
抑揚なく淡々と羅列するので、全く頭に入ってこない。
学生たちを眠りへと誘う、大学教授の不人気授業のようだ。
最初は俺も頑張って耐えたのだが、無理だった。
気が付いたら寝落ちしていた。
話の途中で寝てしまったにも関わらず、アウクトルは寛大だった。
なんと俺は朝まで熟睡していたのだ。
起きた時驚愕した。
寝たのなんて何年振りだろう。
ソファで彼にもたれかかって寝た俺を、アウクトルは起こさなかった。そう、俺は一晩中ソファにアウクトルを座らせていた事になる。嘗ての膝枕の礼なのかもしれないが、彼への負担が大きすぎる。
俺は平身低頭謝罪した。
俺の失態を、彼は微笑んで受け流し去っていった。なんて良い奴なんだ。
=========
フォンスの寝顔に、アウクトルは幸せを噛み締めていた。
彼は睡眠を必要としない。
本人も睡眠を非生産的行為と捉えているため、今まで何度か夜を共にしたが彼が睡眠をとる事はなかった。アウクトルに気を遣って寝たふりをし、魔力操作などで時間を潰していることは知っていた。
そんな男が、自分の肩で眠っている。
これほど嬉しい事はない。
彼の寝顔を見た瞬間、アウクトルは自ら封印していた記憶の蓋が開くのを感じた。
恐らく封印は、段階的に解けるようになっていたのだろう。
どこか不安定だったものが、しっかりとした形を伴って彼の心を満たした。
放課後フォンスの言葉を聞いた瞬間、アウクトルに衝撃が走った。心臓が早鐘を打ち、冷や汗が体を伝う。
告白に返答をすることが交際のスタート。
その通りだ。
当時の事は鮮明に思い出せる。思い出せるからこそ、アウクトルは顔面蒼白になった。
あの時アウクトルは言葉で返事をしていない。手を取り、見つめ返しただけだ。
態度で気持ちを示したが、それはあくまでも彼の認識だ。伝えたと、思いこんでいただけだ。
フォンスが言葉に重きを置いていたなら、アウクトルは彼の告白に返事をしていない事になる。受け流した、もしくは断ったととられてもおかしく無い。
そう考えると全ての辻褄があう。
告白を流しておきながら、恋人のような振る舞いをされれば誰だって困惑する。
アウクトルから行動したら受け入れるが、フォンスから積極的にこなかったのはこれが原因だ。
前提として自分が振られたと思っていたのだ。
怒っても良い状況なのに、フォンスは何も言わなかった。彼は気まぐれに与えられるアウクトルからの触れ合いを健気に受け入れ続けた。
指輪のこともそうだ。フォンスは魔族にとって指輪がどんなものか知っている。交際していないのに指輪を贈られたり、要求されたり……指輪の意味を知っているからこそ、深く傷ついたに違いない。
誤解は言い訳にならない、アウクトルは数ヶ月に渡り彼の恋心を弄んだのだ。
イヤーカフ越しの告白。
酷い扱いを受けておきながら、それでも彼はアウクトルが好きだと言った。
フォンスは同性が恋愛対象ではない。
それを覆すほど、アウクトルが特別。
自分も同じだ。
彼だけが特別。
アウクトルは気にしたことがなかったが、フォンスは自身の性別や身の上に引け目を感じているようで、直向きに愛を告白して尚身をひこうとした。
彼が安心して自分と共に生きられるようにしなければいけない。
その為にはやることがある。
アウクトルは学校をサボると、魔王城に赴き四天王を召集した。
セフレ扱いじゃなかったようだ。安心すれば良いのか複雑な気持ちだ。
あの後、アウクトルは「俺たちには会話が足りなかった」と言った。
俺もそう思う。
店も閉めてしまったので、そのままアウクトルは俺の家に滞在した。
今までの会話の中心は好きな食べ物とか、興味があることとか個人の嗜好ばかりだった。俺が、彼の身の上話に興味がなかったというのもある。
育ってきた環境が違うのだから、彼はお互いの過去の話をしようと提案した。
決して楽しい話ではないが、それを置き去りして後々誤解が生まれては堪らない。
意外な事に面白くもない俺の話に彼は興味を示した。特に幼馴染の話題に対する食いつきが異常だった。
彼女たちは異世界にいるから、お前の彼女候補にはなれないぞ。
こちらの世界に転移してきたら話は別だが、その可能性は限りなく低い。
絵に描いた餅よりも、彼は身近な少女に目を向けるべきだ。
次に、彼は自分の過去を話した。
初日に話した魔王のざっくりとした政策ではなく、魔族の長として誰とどのように戦ってきたか詳細を語った。
これがクソつまらなかった。
苦行と言っても良い。
「○族の〇〇が喧嘩を売ってきたのでワンパンした」
「△族の△△が喧嘩を売ってきたのでワンパンした」
「□族の□□が喧嘩を売ってきたのでワンパンした」
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延々とこれが続く。
彼はエンタメがわかっていない。
山場なしで、ワンパターン。しかもリベンジで同じ相手が再登場することもある。
再登場どころかレギュラーと化してる奴もいる。
そいつ一周回って魔王の事、大好きだろ。
それって、新手のI love youだろ。
抑揚なく淡々と羅列するので、全く頭に入ってこない。
学生たちを眠りへと誘う、大学教授の不人気授業のようだ。
最初は俺も頑張って耐えたのだが、無理だった。
気が付いたら寝落ちしていた。
話の途中で寝てしまったにも関わらず、アウクトルは寛大だった。
なんと俺は朝まで熟睡していたのだ。
起きた時驚愕した。
寝たのなんて何年振りだろう。
ソファで彼にもたれかかって寝た俺を、アウクトルは起こさなかった。そう、俺は一晩中ソファにアウクトルを座らせていた事になる。嘗ての膝枕の礼なのかもしれないが、彼への負担が大きすぎる。
俺は平身低頭謝罪した。
俺の失態を、彼は微笑んで受け流し去っていった。なんて良い奴なんだ。
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フォンスの寝顔に、アウクトルは幸せを噛み締めていた。
彼は睡眠を必要としない。
本人も睡眠を非生産的行為と捉えているため、今まで何度か夜を共にしたが彼が睡眠をとる事はなかった。アウクトルに気を遣って寝たふりをし、魔力操作などで時間を潰していることは知っていた。
そんな男が、自分の肩で眠っている。
これほど嬉しい事はない。
彼の寝顔を見た瞬間、アウクトルは自ら封印していた記憶の蓋が開くのを感じた。
恐らく封印は、段階的に解けるようになっていたのだろう。
どこか不安定だったものが、しっかりとした形を伴って彼の心を満たした。
放課後フォンスの言葉を聞いた瞬間、アウクトルに衝撃が走った。心臓が早鐘を打ち、冷や汗が体を伝う。
告白に返答をすることが交際のスタート。
その通りだ。
当時の事は鮮明に思い出せる。思い出せるからこそ、アウクトルは顔面蒼白になった。
あの時アウクトルは言葉で返事をしていない。手を取り、見つめ返しただけだ。
態度で気持ちを示したが、それはあくまでも彼の認識だ。伝えたと、思いこんでいただけだ。
フォンスが言葉に重きを置いていたなら、アウクトルは彼の告白に返事をしていない事になる。受け流した、もしくは断ったととられてもおかしく無い。
そう考えると全ての辻褄があう。
告白を流しておきながら、恋人のような振る舞いをされれば誰だって困惑する。
アウクトルから行動したら受け入れるが、フォンスから積極的にこなかったのはこれが原因だ。
前提として自分が振られたと思っていたのだ。
怒っても良い状況なのに、フォンスは何も言わなかった。彼は気まぐれに与えられるアウクトルからの触れ合いを健気に受け入れ続けた。
指輪のこともそうだ。フォンスは魔族にとって指輪がどんなものか知っている。交際していないのに指輪を贈られたり、要求されたり……指輪の意味を知っているからこそ、深く傷ついたに違いない。
誤解は言い訳にならない、アウクトルは数ヶ月に渡り彼の恋心を弄んだのだ。
イヤーカフ越しの告白。
酷い扱いを受けておきながら、それでも彼はアウクトルが好きだと言った。
フォンスは同性が恋愛対象ではない。
それを覆すほど、アウクトルが特別。
自分も同じだ。
彼だけが特別。
アウクトルは気にしたことがなかったが、フォンスは自身の性別や身の上に引け目を感じているようで、直向きに愛を告白して尚身をひこうとした。
彼が安心して自分と共に生きられるようにしなければいけない。
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