54 / 84
1000年前から愛してる
始まりの終わり
理解の範疇を超えていたのか、夫婦は暫し固まっていた。
「…私、母親失格だわ……」
先に動いたのはメールだった。
「あーくんの事、何も気付いて無かったんだもの…。初めてお泊まりに来た時『自分の部屋に泊める』って言われた時に気づくべきだったのよ……」
そんな事で邪推する母親の方が嫌だ。
と言うかアウクトルの奴、客間の準備断ってたのかよ!
「フォン君が家の事、色々手伝ってくれたのも何も考えず喜んでたのよぅ。本当は姑に気を遣ってたのよね。花嫁? 花婿?――とにかく、我が家の事を知る修行だったのよね」
全くそんなつもりはない。普通に手伝っただけだ。
「違うよ……ママは悪くない。…悪いのは僕だ」
パドレが泣き出した。
「指輪のデザインで気付くべきだったんだ。それなのに僕は『最近はユニセックスが流行りなんだな』としか思わなくて……二人のSOSを見逃したんだ! 駆け落ちして子供まで作ったのは! 僕が! 二人を追い詰めたからだ!」
「違うわパパ! ユニセックスが流行っているのは本当よ!」
「……お二人は、アウクトルの正体が魔王であることは気にされないんですか?」
「え? ああ! 魔王様だからあーくんには、イヤイヤ期無かったのね!」
「反抗期も無かったな。大きくなってからドデカイのが来るんじゃないかとドキドキしてたけど、魔王様なら安心だねママ」
気にする所おかしくないか?
「学生婚って、学校に申告するべきなのかしら?」
「事実婚だからどうなんだろう」
「ちょっと待って! 四天王が子供ってことは……! 私たちの孫よ! おじいちゃんと、おばあちゃんになったのよ!」
「どどどどうしよう! 自分より年上の孫ってどう接したら良いんだ!?」
子供が魔王だった以上の慌てぶりだ。基準おかしいだろ。
「シューラちゃんと、シェリちゃんはフェアメヒトニス様のお孫さんよね! 孫の孫ってなんて呼ぶの!? お祖母様呼びと、おばあちゃま呼びどっちが良いと思う!?」
知らんがな。
話がよくわからない方向に逸れたので、俺も考える余裕ができた。
これってマズくないか。何故俺たちが駆け落ちや、事実婚状態になっているんだ?
「ママ! 我が家のピンチだ! 孫全員にお年玉あげたらとんでもない額になる!」
「でも贔屓なんてできないわ! 何十人いるかわからないけど、孫は平等よ! そうだ貯金しましょう! お年玉貯金よ!」
「それでも後、数ヶ月しかないよママ!」
「数ヶ月あるのよパパ! 早速今日から始めるわ。コツコツやれば絶対間に合うわ!」
お年玉貯金って、そういう意味じゃないと思う。
「おい、アウクトル」
訂正しろ、と肘でせっつく。
「分かっている。フォンスは家を捨てて此方へ来た。即ちアーヴォ家へ婿入りだ」
「違う!!」
後半おかしいおかげで、前半も歪んだ認識になってしまったじゃないか。
「――そうか、俺たちは対等だったな」
「気にする所はそこじゃない!!」
もう嫌だ。何かにつけて対等、対等って。誰だそんな事言い出した奴――俺だった。
「あらそうなの? あーくんまだ17歳だから…こんなに早く巣立っちゃうのは寂しいわ……」
「そんな事にはなりません!!」
「母さん安心してくれ。俺は引き続き家で暮らす。客間をフォンスの部屋にして、俺の部屋と繋げたい」
「絶対やめてくれ!!」
=========
いつと変わらぬ登校風景。
学生達が次々に校舎に入るのを横目に、アウクトルの友人である4人は校門脇に佇んでいた。
彼らが待っているのはアウクトル。昨日不可解な言動をした後、姿を消してしまった友人。
その後彼の親から問合せがあったが、誰も何も答えることができなかった。今の彼らの内心は心配半分、不安が半分。お互いの持つ情報を出し合っても、結局何が起きているのか全く分かっていない。
「あ。来た!」
登校時間に余裕を持って、アウクトルが姿を現した。
「アール昨日どこに行ってたんだ? 親御さん心配してたぞ」
「父さんと母さんにはちゃんと謝った。ついでに魔王であることを話した」
「……そうだったのか。それなら…うん、良かったよ」
流れで彼の正体を知ったトーレとアミ。ジュメリ姉妹は親から知らされていた。アウクトルは、漸く自ら両親に打ち明けたのだ。
結局昨日何があったかは有耶無耶だが、何となく問題が解決した空気が漂う。
「……アウクトルはもうカフェに行かないの?」
「客としてという意味なら、必要性は無くなったな」
「そ、そう!」
表情の緩んだ面々の中で、シューラだけが緊張を解いていない。
アウクトルは今朝もカフェに行っていない。これからも今までのように通うことはない。
傷心の彼につけ込むようだが、新しい恋が救いになることもある。
「あの! 放課後時間をくれない?」
「何故だ?」
「え? 何故って…」
「要件があるなら今聞こう」
「ふ、二人だけで話したいことがあるのよっ!」
姉の目的を察したシェリが、トーレとアミを引っ張りアウクトルの背後に移動した。
「この雑踏だ。今話しても、誰も聞いておらぬ」
「放課後に二人で話したいって言ってるのよ!」
「何も放課後まで抱え込む必要はない」
「ここまで言ってるんだから、告白だって事くらいわかるでしょ!」
視界の端でシェリが、あちゃーと言いたげに額を押さえた。
シューラはパニックになった。
どうしよう、計画が完全に狂ってしまった。この状態で放課後まで待つとか無理だ。
「私! 貴方のことが好きなのよ!」
「ふむ」
それだけ?
シューラの中で、告白されたアウクトルの反応は2パターンだ。
彼は即断即決即実行タイプなので、その場でOKするか断るか。
こんな「続きを聞こう」みたいな反応をされるとは思っていなかった。
「い、言っとくけど! 友達としてじゃないんだからね!!」
テンパるあまり、頭の悪いツンデレみたいになってしまった。
シェリだけでなく、トーレとアミまで「もう止めろ」と哀れみの目で頭を振る。
「そうか。特に考えていなかったが、嬉しいものだな」
「「「「え?」」」」
本気? 今の告白でOKなの?
「両親は平等派だが、俺はまた別だ。次のお年玉を楽しみにしていると良い」
「何で!?」
両親? お年玉? そんな要素どこにあった?
「ん? フェアメヒトニスに聞いたのだろう? お前は俺とフォンスの孫だと」
「孫に慕われると言うのは悪くないな」と、呑気に続けるアウクトルの声はシューラには届かなかった。
何故って気絶したからだ。
「…私、母親失格だわ……」
先に動いたのはメールだった。
「あーくんの事、何も気付いて無かったんだもの…。初めてお泊まりに来た時『自分の部屋に泊める』って言われた時に気づくべきだったのよ……」
そんな事で邪推する母親の方が嫌だ。
と言うかアウクトルの奴、客間の準備断ってたのかよ!
「フォン君が家の事、色々手伝ってくれたのも何も考えず喜んでたのよぅ。本当は姑に気を遣ってたのよね。花嫁? 花婿?――とにかく、我が家の事を知る修行だったのよね」
全くそんなつもりはない。普通に手伝っただけだ。
「違うよ……ママは悪くない。…悪いのは僕だ」
パドレが泣き出した。
「指輪のデザインで気付くべきだったんだ。それなのに僕は『最近はユニセックスが流行りなんだな』としか思わなくて……二人のSOSを見逃したんだ! 駆け落ちして子供まで作ったのは! 僕が! 二人を追い詰めたからだ!」
「違うわパパ! ユニセックスが流行っているのは本当よ!」
「……お二人は、アウクトルの正体が魔王であることは気にされないんですか?」
「え? ああ! 魔王様だからあーくんには、イヤイヤ期無かったのね!」
「反抗期も無かったな。大きくなってからドデカイのが来るんじゃないかとドキドキしてたけど、魔王様なら安心だねママ」
気にする所おかしくないか?
「学生婚って、学校に申告するべきなのかしら?」
「事実婚だからどうなんだろう」
「ちょっと待って! 四天王が子供ってことは……! 私たちの孫よ! おじいちゃんと、おばあちゃんになったのよ!」
「どどどどうしよう! 自分より年上の孫ってどう接したら良いんだ!?」
子供が魔王だった以上の慌てぶりだ。基準おかしいだろ。
「シューラちゃんと、シェリちゃんはフェアメヒトニス様のお孫さんよね! 孫の孫ってなんて呼ぶの!? お祖母様呼びと、おばあちゃま呼びどっちが良いと思う!?」
知らんがな。
話がよくわからない方向に逸れたので、俺も考える余裕ができた。
これってマズくないか。何故俺たちが駆け落ちや、事実婚状態になっているんだ?
「ママ! 我が家のピンチだ! 孫全員にお年玉あげたらとんでもない額になる!」
「でも贔屓なんてできないわ! 何十人いるかわからないけど、孫は平等よ! そうだ貯金しましょう! お年玉貯金よ!」
「それでも後、数ヶ月しかないよママ!」
「数ヶ月あるのよパパ! 早速今日から始めるわ。コツコツやれば絶対間に合うわ!」
お年玉貯金って、そういう意味じゃないと思う。
「おい、アウクトル」
訂正しろ、と肘でせっつく。
「分かっている。フォンスは家を捨てて此方へ来た。即ちアーヴォ家へ婿入りだ」
「違う!!」
後半おかしいおかげで、前半も歪んだ認識になってしまったじゃないか。
「――そうか、俺たちは対等だったな」
「気にする所はそこじゃない!!」
もう嫌だ。何かにつけて対等、対等って。誰だそんな事言い出した奴――俺だった。
「あらそうなの? あーくんまだ17歳だから…こんなに早く巣立っちゃうのは寂しいわ……」
「そんな事にはなりません!!」
「母さん安心してくれ。俺は引き続き家で暮らす。客間をフォンスの部屋にして、俺の部屋と繋げたい」
「絶対やめてくれ!!」
=========
いつと変わらぬ登校風景。
学生達が次々に校舎に入るのを横目に、アウクトルの友人である4人は校門脇に佇んでいた。
彼らが待っているのはアウクトル。昨日不可解な言動をした後、姿を消してしまった友人。
その後彼の親から問合せがあったが、誰も何も答えることができなかった。今の彼らの内心は心配半分、不安が半分。お互いの持つ情報を出し合っても、結局何が起きているのか全く分かっていない。
「あ。来た!」
登校時間に余裕を持って、アウクトルが姿を現した。
「アール昨日どこに行ってたんだ? 親御さん心配してたぞ」
「父さんと母さんにはちゃんと謝った。ついでに魔王であることを話した」
「……そうだったのか。それなら…うん、良かったよ」
流れで彼の正体を知ったトーレとアミ。ジュメリ姉妹は親から知らされていた。アウクトルは、漸く自ら両親に打ち明けたのだ。
結局昨日何があったかは有耶無耶だが、何となく問題が解決した空気が漂う。
「……アウクトルはもうカフェに行かないの?」
「客としてという意味なら、必要性は無くなったな」
「そ、そう!」
表情の緩んだ面々の中で、シューラだけが緊張を解いていない。
アウクトルは今朝もカフェに行っていない。これからも今までのように通うことはない。
傷心の彼につけ込むようだが、新しい恋が救いになることもある。
「あの! 放課後時間をくれない?」
「何故だ?」
「え? 何故って…」
「要件があるなら今聞こう」
「ふ、二人だけで話したいことがあるのよっ!」
姉の目的を察したシェリが、トーレとアミを引っ張りアウクトルの背後に移動した。
「この雑踏だ。今話しても、誰も聞いておらぬ」
「放課後に二人で話したいって言ってるのよ!」
「何も放課後まで抱え込む必要はない」
「ここまで言ってるんだから、告白だって事くらいわかるでしょ!」
視界の端でシェリが、あちゃーと言いたげに額を押さえた。
シューラはパニックになった。
どうしよう、計画が完全に狂ってしまった。この状態で放課後まで待つとか無理だ。
「私! 貴方のことが好きなのよ!」
「ふむ」
それだけ?
シューラの中で、告白されたアウクトルの反応は2パターンだ。
彼は即断即決即実行タイプなので、その場でOKするか断るか。
こんな「続きを聞こう」みたいな反応をされるとは思っていなかった。
「い、言っとくけど! 友達としてじゃないんだからね!!」
テンパるあまり、頭の悪いツンデレみたいになってしまった。
シェリだけでなく、トーレとアミまで「もう止めろ」と哀れみの目で頭を振る。
「そうか。特に考えていなかったが、嬉しいものだな」
「「「「え?」」」」
本気? 今の告白でOKなの?
「両親は平等派だが、俺はまた別だ。次のお年玉を楽しみにしていると良い」
「何で!?」
両親? お年玉? そんな要素どこにあった?
「ん? フェアメヒトニスに聞いたのだろう? お前は俺とフォンスの孫だと」
「孫に慕われると言うのは悪くないな」と、呑気に続けるアウクトルの声はシューラには届かなかった。
何故って気絶したからだ。
あなたにおすすめの小説
処刑される悪役令息に転生したらなぜか推しの騎士団長がグイグイ近づいてくる
猫に小判
BL
交通事故で死んだはずの会社員・田中悠人は、気がつくとBL小説『恋と陰謀~はじまりは夜に~』の世界に転生していた。
しかも転生先は、原作で処刑される悪役令息エリオット。
当然そんな未来は回避したい。
原作知識を頼りに慎重に立ち回るつもりだったのに、気づけば王宮を揺るがす事件に巻き込まれていき――。
さらに困ったことに、原作で一番の推しだった騎士団長ガイウスがやたらと距離を詰めてきて……?
平穏に生きたい元悪役令息と、過保護な騎士団長がじれじれ距離を縮める話。
ガイウス(騎士団長)×エリオット(元悪役令息)
引きこもり魔法使いが魔法に失敗したら、ヤンデレ補佐官が釣れた。
零壱
BL
──魔法に失敗したら、脳内お花畑になりました。
問題や事件は何も起こらない。
だが、それがいい。
可愛いは正義、可愛いは癒し。
幼児化する主人公、振り回されるヤンデレ。
お師匠やお師匠の補佐官も巻き込み、時には罪のない?第三者も巻き込み、主人公の世界だけ薔薇色・平和が保たれる。
ラブコメです。
なんも考えず勢いで読んでください。
表題作、2話、3話、5話、6話再掲です。
4話(噂の王子視点)と、師匠×トーリの馴れ初め番外編は同人誌に掲載(シリアスなので)
他サイトにも再掲しています。
俺は夜、社長の猫になる
衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。
ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。
言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。
タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。
けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。
【完結】逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。抱かれたら身代わりがばれてしまうので初夜は断固拒否します!
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
隣国の国王キリアン(アルファ)に嫁がされたオメガの王子リュカ。
しかし実は、結婚から逃げ出した双子の弟セラの身代わりなのです…
本当の花嫁じゃないとばれたら大変!
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだんキリアンに惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!
めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈
社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。
もらった能力は“全言語理解”と“回復力”!
……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈
キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん!
出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。
最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈
攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉
--------------------
※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
虐げられている魔術師少年、悪魔召喚に成功したところ国家転覆にも成功する
あかのゆりこ
BL
主人公のグレン・クランストンは天才魔術師だ。ある日、失われた魔術の復活に成功し、悪魔を召喚する。その悪魔は愛と性の悪魔「ドーヴィ」と名乗り、グレンに契約の代償としてまさかの「口づけ」を提示してきた。
領民を守るため、王家に囚われた姉を救うため、グレンは致し方なく自分の唇(もちろん未使用)を差し出すことになる。
***
王家に虐げられて不遇な立場のトラウマ持ち不幸属性主人公がスパダリ系悪魔に溺愛されて幸せになるコメディの皮を被ったそこそこシリアスなお話です。
・ハピエン
・CP左右固定(リバありません)
・三角関係及び当て馬キャラなし(相手違いありません)
です。
べろちゅーすらないキスだけの健全ピュアピュアなお付き合いをお楽しみください。
***
2024.10.18 第二章開幕にあたり、第一章の2話~3話の間に加筆を行いました。小数点付きの話が追加分ですが、別に読まなくても問題はありません。
【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。