魔王君と俺 〜婚活から逃げて異世界へ行ったら、初日からヤバいのに誤解されてゴールインした件〜

一一(カズイチ)

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イチャイチャバイオレンス<蛇足編2>

公開処刑(後半アウクトルサイド)

 見栄を張っても仕方がないし、ここにいる人々とは今後会うこともないだろう。
 アウクトルは例外だが、既に彼は俺が童貞だと知っている。
 一瞬迷ったが、結局俺は正直に書いた。

 全員描き終わったのを待ち、会場の人間は6人毎のグループに分けられた。
 スーツ姿の大人達が、グループ毎に輪になる。
 よりによってアウクトル、カヴァリエ、俺は同じグループ。
 犯人の合図で一斉にボードを開示。その後、一人ずつ自分の答えを読み上げていく。

 何だこの地獄の合コン。

 *

「「「「「……」」」」」

 俺のボードに視線が集中する。
 全員マジかよという顔をしている。

 訝しげに俺のことを見つめていたアウクトルが、ハッとした顔をすると自分のボードを書き直した。

『そこの男。一度出した回答を変えるな』
「書き間違えたのだ」
『勝手な真似はペナルティーに「書き間違えたのだ」』

 アウクトルは魔王の覇気で黙らせた。
 結局ペナルティーはなし。犯人そこで負けちゃうのかよ。
 遠くに居るんだし、そこは強気になって良いと思う。一度許すと、この男はこの先も好き勝手するぞ。
 先程から俺が犯人側に立っているのは、アウクトルの行動が屈辱的だったからだ。

 彼は「1」と書かれたボードを「0」に書き直した。
 お前彼女いたんだな!
 俺を憐れんだのか知らないけど、そのフォローは逆効果だ。

 *

 次のお題が発表された。
 何本勝負か知らないが、どうやら最下位は総合点で決まるようだ。

『今までキスした人数を書け。虚偽を述べた者、最下位の者を殺す』

 ねえもう帰って良い?
 俺は「1」と書いたボードを掲げた。悲しいことに、この1はアウクトルだ。改めて考えると、魔界生活2日目のチキンレースが俺のファーストキスだったわけか。

 何となくアウクトルのボードもチェックしてしまう。
 彼も「1」だ。過去の彼女とは、幼い頃の清い交際だったらしい。
 アウクトルは満足そうな顔をしているが、俺をカウントして1なら彼もファーストキスが男なんだがそこは気にしないのか?

 こんなくだらない事で嘘をつく必要がないので、未だに虚偽申請で死んだ者はいない。

 *

 お題は進んだ。

『今までセックスした人数を書け。虚偽を述べた者、最下位の者を殺す』

 おい! いい加減にしろ!!
 犯人何がしたいんだ!?
 おっさん達の経験人数なんて、誰が興味あるんだよ! 心の底からどうでも良い情報だろ!!
 まあ、夫婦で参加している者もいるから、内容次第ではこの後修羅場になるのか。いやいや、そんな情報爆弾でテロとか言わないよな。

 やけになった俺は、またもや「1」と書いた。
 そうだよ相手はアウクトルだよ!
 過去に行った時に散々ヤったもんな!! 妊娠するまで毎晩だったもんな!!
 当然アウクトルのボードも「1」だ。

 全三問で終わりだったようで、最下位が発表された。
 これ以上公開処刑されたら、俺のSAN値がピンチになっていたので、犯人の奴は命拾いしたと思う。

 最下位は俺とアウクトル。

 彼の訂正は周知の所なので、実質俺が最下位。犯人許すまじ。

 *

 デスゲームなのは本当らしく、最下位の俺たちに課せられたのは殺し合い。

 どちらかの死亡を確認後、次のステージへ進む。
 タイムリミットは10分。

「質問がある。死亡の確認はチョーカーで行うのか?」
『…チョーカーと、判定役による二重確認だ。チョーカーへの細工、破壊は違反行為と見做す。死亡後、判定役が仮死状態でない事を確認する』

 判定役に指名されたのは四天王・爪のカヴァリエ。
 そろそろ本格的に怪しくなってきた。仮死状態とは即ち反撃できない状態だ。死亡確認するフリをして無防備なアウクトルに止めを刺す事ができる。

 しかしアウクトルが最下位になることは賭けだ。確かに他の参加者に比べると若いが、だからと言って必ずしも経験人数が少ないとは限らない。
 アウクトルが死亡ペナルティーの対象になるまでゲームを続けることもできるが、あまり現実的ではない。

 そんなことをするよりも、参加者に番号を割り当て、ランダム選出に見せかけて彼が不利になるような状況を強制した方が手っ取り早い。

 *

 犯人に質問した時点で、俺の選択は決まっている。
 最初からそのつもりで、1個を除いて発動中のチートを全てオフにした。

「アウクトル。俺を殺せ」

 =========

 第一問目でアウクトルは、フォンスの回答に衝撃を受けた。
 嘘を看破できる魔王の魔眼は、彼が嘘をついていないことを突き付けてくる。
 しかし瞬時に思い出した。自分は彼と付き合っているつもりだったが、彼はそう認識していなかった。誤解が解けた翌日に、アウクトルは彼に腕輪を贈った。自分達は交際0日婚というヤツである。

 直ぐに平静を取り戻した自分とは違い、フォンスはアウクトルの回答に強い衝撃を受けていた。慌てて回答を訂正したが、彼は小刻みに震えていて目を合わせてくれなかった。
 急いで誤解を解きたいが、状況がそれを許さない。自分で時間稼ぎを提案したが、早くも後悔した。

 続くお題が中々興味深い内容だったために、結局アウクトルは大人しく従った。
 我慢した甲斐あって、その後のフォンスの回答はアウクトルを大変満足させるものだった。

 全てが終わったら「俺もお前だけだ」と彼に説明しよう。

 *

 最下位同士の殺し合い。
 切り抜け方は無数にあるが、さてどの手段か最適かとアウクトルは思案を始めたが、フォンスは直ぐに行動した。

「アウクトル。俺を殺せ」

 一才の迷いの無い真っ直ぐな目だ。怯えも、動揺も全くない。
 過去へ飛んだ時もだが、彼は判断が早く、決断すると速やかに切り替える。恐らく前職での経験が影響しているのだろう。

「できるだけ外傷が少なく、即死できる方法で頼む」
「腹上「今すぐ実行できる、即死できる方法で頼む」」

 フォンスはアウクトルに全幅の信頼をおいている。
 自分はそれに応えるべきだ。
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