4 / 15
3. 騎馬の民と兵法書の娘
しおりを挟む
「誰だ!」
池の向こうで上がった誰何の声に、フェイラエールはしまった、と思いながらも素早く計算を巡らせる。
今のフェイラエールは、ただの本好きのメイド。
騎馬の民の言葉なんてもちろん分からない。いきなり大きな声を上げられてむしろ驚いている。
向こうも大事の前に死体を作って事件を起こしたくなんてないから、とぼければ見逃してくれるはずだ。
最悪、フェイラエールには「影」がついているからどうにでもなる。でも、大事になるとフェイラエール自身も後処理が色々と面倒なので、なるだけ穏便にすませたかった。
「あの、申し訳ありませんっ。お話の邪魔をしてしまいましたか?」
池の向こうから素早く回り込んできた騎馬の民の二人に、フェイラエールは、立ち上がって、メイドらしく、丁寧に頭を下げた。
ちょっとおどおどした感じも忘れない。
「お前は、何者だ。ここで何をしている」
鋭い声をかけてきたのは、先ほどフェイラエールからは顔が見えなかった側にいた青年だ。
タキスと同じような髪形、服装をしているが、彼よりだいぶ髪が短かった。
神経質そうな表情で、眉をしかめてフェイラエールを睨んでいる。
「あの、本を読んでいまして……」
「こんな場所で?」
「今日はいいお天気ですし……。ここは人があまり来ないので、私のお気に入りスポットなんです」
「名前は?」
「エルです。この先のフェイラエール姫様の虹の離宮の掃除係をしています。あ、あの、今は休み時間ですから、さぼってません。離宮のどなたかに聞いてくださればっ」
「ケレ。もういいだろう」
「タキス様、しかし」
「ケレ=テルバ。準備があるだろう、お前はもう行け」
「……はい」
タキスに話を遮られ、ケレと呼ばれた青年は、フェイラエールを睨みつけながら去っていった。
フェイラエールは、ほっと息をつく。
そんなフェイラエールの目の前で、タキスはフェイラエールが落とした兵法書を拾うと、その表紙を見て驚いたように手を止めた。
「驚かせて悪かったな……しかし、難しい本を読むんだな。ツヴィングルの兵法理論……」
(あ、まずい。禁書だって気づいた? ううん、向こうも面倒に巻き込まれたくないだろうし、しらを切り通すのが正解)
「あ、ありがとうございます。兵法書ですが、これ、面白いんですよっ。一般の兵法書って、兵の動かし方や補給路など戦術面に終始してるんですが、この本は、地形や民族特性、天気、心理状態なども組み込むべきとされていて」
「ほう、興味深いな。確かに、そういったものが本にまとまっているとは聞いたことがない」
「はい、兵法が机上の空論にならないためには、どれだけ情報を集めてそれを組み合わせることができるかということだと思うんですが、この本は、その組み合わせ方の示唆がとても的確なのですっ」
本に夢中な話好きのメイドが、聞いてもらえるのが嬉しくて、夢中になって離し続けてしまう。
そんな設定で会話しているうちに……気づいた時には、陽が傾いていた。
本のページがだんだん見づらくなってきてやっと気づいたのだ。
(やってしまった。つい兵法談義に夢中になってしまった……という設定なのよっ)
気持ちだけは開き直ることにして、そろそろとタキスの顔を見上げると、彼は何故かフェイラエールの方をじっと見つめていた。
金の瞳が、赤くなりかけた陽の光を受けて、不思議に揺らめいて見える。
そんな時ではないと思うのに、その瞳から目が離せない。
「お前、賢いな。俺の軍師にならないか」
「はい?」
一瞬、何を言われたのか分からず、呆けてしまった。
「俺の側近として、一緒に来い」
言われたことの意味が解ると、体中に鳥肌がたった。
外の世界はいつも、皇女の狭い箱庭の外にあって、現実なのに遠い場所だった。
今まで誰もフェイラエールをそこへ連れ出そうとした人はいなかった。
だからこそ、自由を手に入れて自分で外の世界へ飛び込もうとしていた。
その場所に、初めて招かれたのだとわかると、高揚感に頭の奥が熱くなった。
わくわくする。
これが、きっと新しい世界へ触れるということなのだ。
(それに、私の事を――私の能力を、必要としてくれた)
今まで、フェイラエールを皇女以外の役割で必要とした人なんて誰もいなかったのに。
「どうし……て、私に」
「優れた人材の確保は、指揮官の務めだろう?」
「でも、私は女よ?」
「皇国では、確かに女が戦に出ることはないかもな。だが、騎馬の民は、女も戦地へ赴く。身が軽いから、騎馬の腕は女の方が勝る場合が多いしな」
「私が、役に立つと思う?」
「ああ。兵法書の理解はすばらしいな。現場での経験を積めばよい軍師になるだろう」
興奮で話し方も崩れてしまう。
初めて自分自身が認められたのだ。
そう思うと、新しい場所への高揚感とも相まって、フェイラエールの胸から何かが溢れそうになってしまう。
フェイラエールは、ぎゅっと胸を抑えると、口を引き結んで下を向いた。
自分がどんな顔をしているか分からなかった。
「名乗っていなかったな。俺の名は、タキス=トゥーセ。西の騎馬の民の末裔だ。西の小国を破った戦の功労者として、王宮へ呼ばれている」
タキスは、そんなフェイラエールを見て小さく笑ったようだった。
「考える時間が必要だろうが、あまり時間はやれない。明後日の夜、日が変わる時間にここに来い。支度金は後で届けさせる。来ない選択をしたとしても、返さなくていい」
(明後日の夜)
その言葉を聞いて、フェイラエールは少し冷静さを取り戻す。
(そうよ。明後日の夜、彼らは皇帝暗殺の計画を立てている──どういうつもりで、私に声をかけたの?)
「来れば、お前の人生は変わる。ただ、俺と行くことは、人には話さない方がいいだろうな──俺も、お前が禁書を持ち出していることは誰にも話さない」
「ゔっっ……」
タキスの真意を探ろうと再び顔を上げた時には、彼の後ろ姿は小さくなっていた。
今日出会ったばかりのフェイラエールを、皇帝暗殺計画に利用しようとするのはありえない。
だとしたら、彼は、大事な計画の最中だというのに、本心でフェイラエールを誘ったのだろう。
それから。
(優しい、人なんだ)
気づいてしまった。
明後日、皇帝暗殺がなされれば、当然、犯人が騎馬の民だと宮殿のメイドにまで知れ渡るだろう。
彼の誘いを断って宮に残った場合、ただのメイドが、騎馬の民と関係があることを周りに告げていたら、当然疑われる。
そうならないように、わざと脅して口をつぐませた。
その気づかいが自分に向けられていると思うと、何だかむずむずするような不思議な気分だ。
(だけど、私が皇女だと知ったら……)
フェイラエールは、ふっと息をついてその先に進みそうになる思考を封じ込めた。
──ここから先は、感傷で、弱さだ。
(どちらにしろ、ついて行くことなどできないもの)
気持ちの問題ではなく、現実としてありえない。
そんなことをしたら皇女誘拐事件の出来上がりだ。
どんなに扱いに困る姫だとしても、皇国の面子のために、父は徹底的に敵を排除する。
そしてその犯人たる騎馬の民は簡単に滅ぼされてしまうだろう。
「姫様」
「シリル」
「遅かったのでお迎えにあがりました」
いつの間にか辺りは暗くなっていた。
林の木の影から女騎士が現れ、恭しくフェイラエールの手を取る。
「あのね、シリル。私、ちょっと嬉しいことがあったの」
「まさか、あの男について行くおつもりではありませんよね」
どうやら「影」から聞いてもう情報を得ているらしい。
シリルの表情は寒々しい。
「あら、それもいいわね」
「姫様!」
「もちろん冗談よ。でも、私を選んだあの男は、なかなか見る目があると思わない? ──だから、助けてあげようと思って」
「……また、厄介なことをお考えじゃないでしょうね」
「あら、明後日の舞踏会のことをいろいろ考えているだけよ?」
ため息をつく女騎士の腕に体を預けて、フェイラエールは、上目遣いに彼女を見上げる。
「私が大事なシリルに厄介ごとなんて頼むわけないでしょう? シリルなら簡単よ」
「断言しますが、あなたがそう言って厄介じゃなかったことなんてありません」
女騎士は、腕に絡まる楽しそうな主を見下ろして、二度目の盛大なため息を漏らすのだった。
池の向こうで上がった誰何の声に、フェイラエールはしまった、と思いながらも素早く計算を巡らせる。
今のフェイラエールは、ただの本好きのメイド。
騎馬の民の言葉なんてもちろん分からない。いきなり大きな声を上げられてむしろ驚いている。
向こうも大事の前に死体を作って事件を起こしたくなんてないから、とぼければ見逃してくれるはずだ。
最悪、フェイラエールには「影」がついているからどうにでもなる。でも、大事になるとフェイラエール自身も後処理が色々と面倒なので、なるだけ穏便にすませたかった。
「あの、申し訳ありませんっ。お話の邪魔をしてしまいましたか?」
池の向こうから素早く回り込んできた騎馬の民の二人に、フェイラエールは、立ち上がって、メイドらしく、丁寧に頭を下げた。
ちょっとおどおどした感じも忘れない。
「お前は、何者だ。ここで何をしている」
鋭い声をかけてきたのは、先ほどフェイラエールからは顔が見えなかった側にいた青年だ。
タキスと同じような髪形、服装をしているが、彼よりだいぶ髪が短かった。
神経質そうな表情で、眉をしかめてフェイラエールを睨んでいる。
「あの、本を読んでいまして……」
「こんな場所で?」
「今日はいいお天気ですし……。ここは人があまり来ないので、私のお気に入りスポットなんです」
「名前は?」
「エルです。この先のフェイラエール姫様の虹の離宮の掃除係をしています。あ、あの、今は休み時間ですから、さぼってません。離宮のどなたかに聞いてくださればっ」
「ケレ。もういいだろう」
「タキス様、しかし」
「ケレ=テルバ。準備があるだろう、お前はもう行け」
「……はい」
タキスに話を遮られ、ケレと呼ばれた青年は、フェイラエールを睨みつけながら去っていった。
フェイラエールは、ほっと息をつく。
そんなフェイラエールの目の前で、タキスはフェイラエールが落とした兵法書を拾うと、その表紙を見て驚いたように手を止めた。
「驚かせて悪かったな……しかし、難しい本を読むんだな。ツヴィングルの兵法理論……」
(あ、まずい。禁書だって気づいた? ううん、向こうも面倒に巻き込まれたくないだろうし、しらを切り通すのが正解)
「あ、ありがとうございます。兵法書ですが、これ、面白いんですよっ。一般の兵法書って、兵の動かし方や補給路など戦術面に終始してるんですが、この本は、地形や民族特性、天気、心理状態なども組み込むべきとされていて」
「ほう、興味深いな。確かに、そういったものが本にまとまっているとは聞いたことがない」
「はい、兵法が机上の空論にならないためには、どれだけ情報を集めてそれを組み合わせることができるかということだと思うんですが、この本は、その組み合わせ方の示唆がとても的確なのですっ」
本に夢中な話好きのメイドが、聞いてもらえるのが嬉しくて、夢中になって離し続けてしまう。
そんな設定で会話しているうちに……気づいた時には、陽が傾いていた。
本のページがだんだん見づらくなってきてやっと気づいたのだ。
(やってしまった。つい兵法談義に夢中になってしまった……という設定なのよっ)
気持ちだけは開き直ることにして、そろそろとタキスの顔を見上げると、彼は何故かフェイラエールの方をじっと見つめていた。
金の瞳が、赤くなりかけた陽の光を受けて、不思議に揺らめいて見える。
そんな時ではないと思うのに、その瞳から目が離せない。
「お前、賢いな。俺の軍師にならないか」
「はい?」
一瞬、何を言われたのか分からず、呆けてしまった。
「俺の側近として、一緒に来い」
言われたことの意味が解ると、体中に鳥肌がたった。
外の世界はいつも、皇女の狭い箱庭の外にあって、現実なのに遠い場所だった。
今まで誰もフェイラエールをそこへ連れ出そうとした人はいなかった。
だからこそ、自由を手に入れて自分で外の世界へ飛び込もうとしていた。
その場所に、初めて招かれたのだとわかると、高揚感に頭の奥が熱くなった。
わくわくする。
これが、きっと新しい世界へ触れるということなのだ。
(それに、私の事を――私の能力を、必要としてくれた)
今まで、フェイラエールを皇女以外の役割で必要とした人なんて誰もいなかったのに。
「どうし……て、私に」
「優れた人材の確保は、指揮官の務めだろう?」
「でも、私は女よ?」
「皇国では、確かに女が戦に出ることはないかもな。だが、騎馬の民は、女も戦地へ赴く。身が軽いから、騎馬の腕は女の方が勝る場合が多いしな」
「私が、役に立つと思う?」
「ああ。兵法書の理解はすばらしいな。現場での経験を積めばよい軍師になるだろう」
興奮で話し方も崩れてしまう。
初めて自分自身が認められたのだ。
そう思うと、新しい場所への高揚感とも相まって、フェイラエールの胸から何かが溢れそうになってしまう。
フェイラエールは、ぎゅっと胸を抑えると、口を引き結んで下を向いた。
自分がどんな顔をしているか分からなかった。
「名乗っていなかったな。俺の名は、タキス=トゥーセ。西の騎馬の民の末裔だ。西の小国を破った戦の功労者として、王宮へ呼ばれている」
タキスは、そんなフェイラエールを見て小さく笑ったようだった。
「考える時間が必要だろうが、あまり時間はやれない。明後日の夜、日が変わる時間にここに来い。支度金は後で届けさせる。来ない選択をしたとしても、返さなくていい」
(明後日の夜)
その言葉を聞いて、フェイラエールは少し冷静さを取り戻す。
(そうよ。明後日の夜、彼らは皇帝暗殺の計画を立てている──どういうつもりで、私に声をかけたの?)
「来れば、お前の人生は変わる。ただ、俺と行くことは、人には話さない方がいいだろうな──俺も、お前が禁書を持ち出していることは誰にも話さない」
「ゔっっ……」
タキスの真意を探ろうと再び顔を上げた時には、彼の後ろ姿は小さくなっていた。
今日出会ったばかりのフェイラエールを、皇帝暗殺計画に利用しようとするのはありえない。
だとしたら、彼は、大事な計画の最中だというのに、本心でフェイラエールを誘ったのだろう。
それから。
(優しい、人なんだ)
気づいてしまった。
明後日、皇帝暗殺がなされれば、当然、犯人が騎馬の民だと宮殿のメイドにまで知れ渡るだろう。
彼の誘いを断って宮に残った場合、ただのメイドが、騎馬の民と関係があることを周りに告げていたら、当然疑われる。
そうならないように、わざと脅して口をつぐませた。
その気づかいが自分に向けられていると思うと、何だかむずむずするような不思議な気分だ。
(だけど、私が皇女だと知ったら……)
フェイラエールは、ふっと息をついてその先に進みそうになる思考を封じ込めた。
──ここから先は、感傷で、弱さだ。
(どちらにしろ、ついて行くことなどできないもの)
気持ちの問題ではなく、現実としてありえない。
そんなことをしたら皇女誘拐事件の出来上がりだ。
どんなに扱いに困る姫だとしても、皇国の面子のために、父は徹底的に敵を排除する。
そしてその犯人たる騎馬の民は簡単に滅ぼされてしまうだろう。
「姫様」
「シリル」
「遅かったのでお迎えにあがりました」
いつの間にか辺りは暗くなっていた。
林の木の影から女騎士が現れ、恭しくフェイラエールの手を取る。
「あのね、シリル。私、ちょっと嬉しいことがあったの」
「まさか、あの男について行くおつもりではありませんよね」
どうやら「影」から聞いてもう情報を得ているらしい。
シリルの表情は寒々しい。
「あら、それもいいわね」
「姫様!」
「もちろん冗談よ。でも、私を選んだあの男は、なかなか見る目があると思わない? ──だから、助けてあげようと思って」
「……また、厄介なことをお考えじゃないでしょうね」
「あら、明後日の舞踏会のことをいろいろ考えているだけよ?」
ため息をつく女騎士の腕に体を預けて、フェイラエールは、上目遣いに彼女を見上げる。
「私が大事なシリルに厄介ごとなんて頼むわけないでしょう? シリルなら簡単よ」
「断言しますが、あなたがそう言って厄介じゃなかったことなんてありません」
女騎士は、腕に絡まる楽しそうな主を見下ろして、二度目の盛大なため息を漏らすのだった。
0
あなたにおすすめの小説
伝説の木は、おとなりです
菱沼あゆ
ファンタジー
よくわからない罪を着せられ、王子に婚約破棄されたあと、悪魔の木の下に捨てられたセシル。
「お前なぞ、悪魔の木に呪われてしまえっ」
と王子に捨てゼリフを吐かれてやってきたのだが。
その木の下に現れた美しき領主、クラウディオ・バンデラに、いきなり、
「我が妻よ」
と呼びかけられ――?
(「小説家になろう」にも投稿しています。)
ベテラン精霊王、虐げられ皇子の子育てに励みます
はんね
ファンタジー
大陸で最も広大な領土と栄華を誇るアストラニア帝国。
その歴史は、初代皇帝ニコラスと精霊王バーティミアスが“疫病王ヴォラク”を討ち倒したことから始まった。ニコラスとバーティミアスは深い友情を結び、その魂を受け継ぐ皇子たちを永遠に見守り、守護する盟約を交わした。
バーティミアスは幾代もの皇帝を支え、帝国は長き繁栄を享受してきた。しかし、150年の眠りから目覚めた彼の前に現れた“次の皇帝候補”は、生まれたばかりの赤ん坊。しかもよりにもよって、十三番目の“虐げられ皇子”だった!
皮肉屋で老獪なベテラン精霊王と、世話焼きで過保護な月の精霊による、皇帝育成(?)奮闘記が、いま始まる——!
人物紹介
◼︎バーティミアス
疫病王ヴォラクを倒し初代皇帝ニコラスと建国初期からアストラニア帝国に使える精霊。牡鹿の角をもつ。初代皇帝ニコラスの魂を受け継ぐ皇子を守護する契約をしている。
◼︎ユミル
月の精霊。苦労人。バーティミアスとの勝負に負け、1000年間従属する契約を結びこき使われている。普段は使用人の姿に化けている。
◼︎アルテミス
アストラニア帝国の第13皇子。北方の辺境男爵家の娘と皇帝の息子。離宮に幽閉されている。
◼︎ウィリアム・グレイ
第3皇子直属の白鷲騎士団で問題をおこし左遷されてきた騎士。堅物で真面目な性格。代々騎士を輩出するグレイ家の次男。
◼︎アリス
平民出身の侍女。控えめで心優しいが、アルテミスのためなら大胆な行動に出る一面も持つ。
望まぬ結婚をさせられた私のもとに、死んだはずの護衛騎士が帰ってきました~不遇令嬢が世界一幸せな花嫁になるまで
越智屋ノマ
恋愛
「君を愛することはない」で始まった不遇な結婚――。
国王の命令でクラーヴァル公爵家へと嫁いだ伯爵令嬢ヴィオラ。しかし夫のルシウスに愛されることはなく、毎日つらい仕打ちを受けていた。
孤独に耐えるヴィオラにとって唯一の救いは、護衛騎士エデン・アーヴィスと過ごした日々の思い出だった。エデンは強くて誠実で、いつもヴィオラを守ってくれた……でも、彼はもういない。この国を襲った『災禍の竜』と相打ちになって、3年前に戦死してしまったのだから。
ある日、参加した夜会の席でヴィオラは窮地に立たされる。その夜会は夫の愛人が主催するもので、夫と結託してヴィオラを陥れようとしていたのだ。誰に救いを求めることもできず、絶体絶命の彼女を救ったのは――?
(……私の体が、勝手に動いている!?)
「地獄で悔いろ、下郎が。このエデン・アーヴィスの目の黒いうちは、ヴィオラ様に指一本触れさせはしない!」
死んだはずのエデンの魂が、ヴィオラの体に乗り移っていた!?
――これは、望まぬ結婚をさせられた伯爵令嬢ヴィオラと、死んだはずの護衛騎士エデンのふしぎな恋の物語。理不尽な夫になんて、もう絶対に負けません!!
白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』
鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。
悪役令嬢は美貌と権力でざまぁする
Ao
ファンタジー
婚約破棄された悪役令嬢が、その完璧な美貌と生まれ持った絶対的な権力を武器に、自分を貶めた王子とあざといヒロインに徹底的な「ざまぁ」を仕掛ける、痛快無比な復讐劇!
ヴァレンシュタイン公爵家の令嬢、フェリシア。絶世の美貌と明晰な頭脳を持つ彼女は、しかしその内面に冷徹な性格を隠し持っていた。ある日、王子が「真実の愛」と称して下級貴族の娘・リリアーナを選び、フェリシアとの婚約を一方的に破棄する。社交界の嘲笑と憐憫の視線の中、フェリシアは内心で嗤う。
しかし、彼女の転落は、新たな始まりに過ぎなかった。婚約破棄されたことで、かえってその比類なき家格と美貌が国内外の有力者たちの垂涎の的となり…
慈愛と復讐の間
レクフル
ファンタジー
とある国に二人の赤子が生まれた。
一人は慈愛の女神の生まれ変わりとされ、一人は復讐の女神の生まれ変わりとされた。
慈愛の女神の生まれ変わりがこの世に生を得た時、必ず復讐の女神の生まれ変わりは生を得る。この二人は対となっているが、決して相容れるものではない。
これは古より語り継がれている伝承であり、慈愛の女神の加護を得た者は絶大なる力を手にするのだと言う。
だが慈愛の女神の生まれ変わりとして生を亨けた娘が、別の赤子と取り換えられてしまった。
大切に育てられる筈の慈愛の女神の生まれ変わりの娘は、母親から虐げられながらも懸命に生きようとしていた。
そんな中、森で出会った迷い人の王子と娘は、互いにそれと知らずに想い合い、数奇な運命を歩んで行くこととなる。
そして、変わりに育てられた赤子は大切に育てられていたが、その暴虐ぶりは日をまして酷くなっていく。
慈愛に満ちた娘と復讐に駆られた娘に翻弄されながら、王子はあの日出会った想い人を探し続ける。
想い合う二人の運命は絡み合うことができるのか。その存在に気づくことができるのか……
転生『悪役』公爵令嬢はやり直し人生で楽隠居を目指す
RINFAM
ファンタジー
なんの罰ゲームだ、これ!!!!
あああああ!!!
本当ならあと数年で年金ライフが送れたはずなのに!!
そのために国民年金の他に利率のいい個人年金も掛け、さらに少ない給料の中からちまちまと老後の生活費を貯めてきたと言うのに!!!!
一銭も貰えないまま人生終わるだなんて、あんまりです神様仏様あああ!!
かくなる上はこのやり直し転生人生で、前世以上に楽して暮らせる隠居生活を手に入れなければ。
年金受給前に死んでしまった『心は常に18歳』な享年62歳の初老女『成瀬裕子』はある日突然死しファンタジー世界で公爵令嬢に転生!!しかし、数年後に待っていた年金生活を夢見ていた彼女は、やり直し人生で再び若いままでの楽隠居生活を目指すことに。
4コマ漫画版もあります。
私と義弟の安全は確保出来たので、ゆっくり恋人を探そうと思います
織り子
恋愛
18歳で処刑された大公家の令嬢、セレノア・グレイス。
目を覚ますと――あの日の6年前に戻っていた。
まだ無邪気な弟ルシアン、笑う両親。
再び訪れる“反逆の運命”を知るのは、彼女だけ。
――大公家に産まれた時点で、自由な恋愛は諦めていた。だが、本当は他の令嬢達の話を聞くたびにうらやましかった。人生1度きり。もう少し花のある人生を送りたかった。一度でいいから、恋愛をしてみたい。
限られた6年の中で、セレノアは動き出す。
愛する家族を守るため、未来を変えるために。
そして本当の願い(恋愛)を叶えるために。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる