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第2章 コロラドリア王国編
第四十八話
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「……ん?何だ?」
目が覚めると辺りは暗くなっていた。それに身体が寒いのに一部だけが異常に暖かい。ふと、視線を自分の身体に向けると、黒い髪のつむじが目に入った。どうやら俺は寝かされているようだ。
「え?まさか」
左腕が重くて動かない、何かが乗っているからだ。俺は恐る恐るその正体を探ろうと右手を腹に持っていく。
「っ」
柔らかいものに触れた。わかってる、つむじが見えているのだから。ただ、どうしてこうなってるかが理解出来なかっただけだ。
「っ、おいおい……」
どうやら俺はパンツ一枚にされていて、俺の上に乗るアリサは、パンツさえ履いていないようだ。しかし、アリサは肉付きが良くなった。今でも十分細いけど出会った頃のようにガリガリではなく、胸も脚も、腰回りやちょっと腹も女性らしい丸みを肌で感じる。
「気が付いたかい、英雄さん」
「ダリア……」
ダリアは木の根元に座り、鉈剣を地面に突き立てて、焚火を焚いて俺を眺めていた。
「いや、英雄ミドリカワと呼べば良いのかい?」
「っ、なぜそれを」
「アリサがそう叫んでいたからね、それがあんたの本当の名前なのかい?」
こいつ、ちょっと警戒心が薄すぎないか?名前のせいで勇者とバレたらどうすんだよ。
「あー、今はライトスプリング=グリーンリバーだ。ミドリカワは忘れてくれ」
ダリアはふんと鼻を鳴らし、
「あたしはどっちでも良いけどね。それよりも、なんで助けた」
ダリアはこれが言いたいが為にここにいると言わんばかりに、厳しい表情で言ってきた。まあ、予想の範囲内だ。もちろんギルディンとの事だろう。
「知らねえよ」
「っ!貴様────」
「俺はやりたいようにやる。殺したければ殺すし、邪魔したいなら邪魔する」
「決闘の流儀を何だと思っている!」
ダリアは少し腰を浮かしかけたが、踏みとどまるように止まった。
「俺の故郷にはそんな流儀はない。お前がお前の故郷の流儀を俺に押し付けるのは勝手だ、だが俺も俺の故郷の流儀を言って何が悪い」
「……」
ダリアは苦虫を噛み潰したような表情をする。
「ずいぶんと卑怯な流儀なんだね」
「どう解釈しようと好きにしろ。俺は生きる為に最大限の努力をする。それは相手が人間だろうが、魔物だろうが同じことだ。そして俺は俺の仲間を見殺しにはしない、例えどんな時でもだ」
「大口を……、なら貴様は相手が国でも、王族相手でもそう言うつもりなのか?」
そのつもりだ。だからレッドドラゴンをやるしかなかった。俺だって馬鹿じゃないし、ネット小説のテンプレは知っている。
俺たちは目立ちすぎだ。更に【収納魔法】を世に広め、虎子の存在まで公になれば、接触したがる奴も出てくるのはわかりきっている。それは良い出会いばかりではないだろう、嫌々ながらも敵対しなければいけない相手もいる。その時には力が必要になる。
そりゃ虎子がいればほとんどの暴力は解決出来るだろうが、敵が千なら?万だったら?国民全てを相手にするなら?虎子が居ない時は?それらの状況でも対応出来る様に、切り札の数を増やすのは必須事項だった。
「ああ。必要ならそうするよ。だから俺は決闘を邪魔した」
「……、あたしは流れの探索者だ。あんたの仲間じゃない……」
「今は仲間だろ、少なくともこの依頼の報告が終わるまでは」
「…………」
俺はダリアに言う。
「それよりも頼みがある」
「……なんだい?」
「とりあえず飯をくれ。血が足りねえ……」
「あんた、血なんて流してないだろ」
「良いんだ。肉だな、肉が欲しい」
「……ならドラゴンを食うかい?噂では美味いらしいよ?」
「おお、それがあったな。じゃあそれで」
ダリアは立ち上がり、「全く。とんでもない奴だ……」とぶつぶつ言いながら、未だに放置されているドラゴンの死体へと歩き出した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ダリアは太めの枝にドラゴンの肉を挿して、焚き火で炙りながら口を開く。
「……ありがとう」
「あん?」
「火袋さ」
「何を今更。そういう契約だろ」
「それでもさ」
ダリアはゆっくりと肉の塊を回し、自分のバッグから塩のようなものを取り出して、乱暴に肉にまぶしていく。
「……聞かないのかい?」
多分火袋を必要な理由ってことか?
「聞いて欲しいのか?」
するとダリアはこちらをチラリと見た後、肉に視線を戻して首を横に振った。
「あんたはこれからどうするんだい?」
「あー、もちろん依頼の報告に帰るけど、炭でも証明出来るんかな……」
ランドドラゴンは燃えてしまった。ちょっと首を起こして足元を見ると、真っ黒なでかい塊がある。あれがランドドラゴンだろう。
「魔石でも証明になると思うけど、念の為にあたしもガルシア砦まで付き合うよ。火袋なら充分証明になる」
「その後は帰るのか?」
「ああ……、あたしは帰らなけばならないからね」
「お、おう。そうしろよ」
何故そんな顔で、俺に確認するかのように言うのか。元々スポット参戦なのだからそれで良いだろうに。
「あー、魔力循環はやっておけよ。つうか今この時もしろよ?」
「……本当に良かったのかい?あたしに秘伝の技を教えて」
「秘伝でもなんでもないらしいけどな」
「そうすればあたしもあんたみたいに強くなると?」
「まあ、なれるだろ。俺なんてただの男子高────、平凡な男でしかないからな」
「よく言うよ、ったく……」
ダリアがドラゴンの肉の塊を、ケバブのように表面をナイフで何枚も削ぎ落とす。しかし腹減った、血を補給しなくては。
「つうか、いい加減にどいてくれないか、アリサ。お前太ったから重いんだけど」
「っ!!ふっ、太ってないわよ!!信じられない?!今そんなこと言う?!ホントあんたは最低よ!!!」
「起きてるのバレバレだったぞ?」
「タイミングがなかったのよ!、それより、私が命を救ってあげたんだから感謝しなさいよね!!」
アリサはまるで俺の腹にでも話しかけているように、顔を上げないでそんなことを言ってくる。裸で抱き合いながらそんなこと言うとか、新手のツンデレなんだろうか。
「ああ、ありがとう、アリサ。お前は命の恩人だ」
アリサは俺の胸の上でピクリとした。まあ、血を失っただけだから死ななかっただろうけど、あのままでは一酸化炭素中毒の恐れもあった。それを解消してくれただけでも一応命の恩人ではある。
「あとアリサ、お前、何をした?なんだか俺の身体のあちこちがカピカピなんだけど」
ドン!
アリサは俺の鳩尾にゼロ距離からパンチをしてきた。
「ぐはっ!!」
「ほんっと最低!!!あんたなんか死ねばいいのに!!」
油断した。まさかアリサが陸奥◯明流を会得しているとは……。これはかわせない……。
目が覚めると辺りは暗くなっていた。それに身体が寒いのに一部だけが異常に暖かい。ふと、視線を自分の身体に向けると、黒い髪のつむじが目に入った。どうやら俺は寝かされているようだ。
「え?まさか」
左腕が重くて動かない、何かが乗っているからだ。俺は恐る恐るその正体を探ろうと右手を腹に持っていく。
「っ」
柔らかいものに触れた。わかってる、つむじが見えているのだから。ただ、どうしてこうなってるかが理解出来なかっただけだ。
「っ、おいおい……」
どうやら俺はパンツ一枚にされていて、俺の上に乗るアリサは、パンツさえ履いていないようだ。しかし、アリサは肉付きが良くなった。今でも十分細いけど出会った頃のようにガリガリではなく、胸も脚も、腰回りやちょっと腹も女性らしい丸みを肌で感じる。
「気が付いたかい、英雄さん」
「ダリア……」
ダリアは木の根元に座り、鉈剣を地面に突き立てて、焚火を焚いて俺を眺めていた。
「いや、英雄ミドリカワと呼べば良いのかい?」
「っ、なぜそれを」
「アリサがそう叫んでいたからね、それがあんたの本当の名前なのかい?」
こいつ、ちょっと警戒心が薄すぎないか?名前のせいで勇者とバレたらどうすんだよ。
「あー、今はライトスプリング=グリーンリバーだ。ミドリカワは忘れてくれ」
ダリアはふんと鼻を鳴らし、
「あたしはどっちでも良いけどね。それよりも、なんで助けた」
ダリアはこれが言いたいが為にここにいると言わんばかりに、厳しい表情で言ってきた。まあ、予想の範囲内だ。もちろんギルディンとの事だろう。
「知らねえよ」
「っ!貴様────」
「俺はやりたいようにやる。殺したければ殺すし、邪魔したいなら邪魔する」
「決闘の流儀を何だと思っている!」
ダリアは少し腰を浮かしかけたが、踏みとどまるように止まった。
「俺の故郷にはそんな流儀はない。お前がお前の故郷の流儀を俺に押し付けるのは勝手だ、だが俺も俺の故郷の流儀を言って何が悪い」
「……」
ダリアは苦虫を噛み潰したような表情をする。
「ずいぶんと卑怯な流儀なんだね」
「どう解釈しようと好きにしろ。俺は生きる為に最大限の努力をする。それは相手が人間だろうが、魔物だろうが同じことだ。そして俺は俺の仲間を見殺しにはしない、例えどんな時でもだ」
「大口を……、なら貴様は相手が国でも、王族相手でもそう言うつもりなのか?」
そのつもりだ。だからレッドドラゴンをやるしかなかった。俺だって馬鹿じゃないし、ネット小説のテンプレは知っている。
俺たちは目立ちすぎだ。更に【収納魔法】を世に広め、虎子の存在まで公になれば、接触したがる奴も出てくるのはわかりきっている。それは良い出会いばかりではないだろう、嫌々ながらも敵対しなければいけない相手もいる。その時には力が必要になる。
そりゃ虎子がいればほとんどの暴力は解決出来るだろうが、敵が千なら?万だったら?国民全てを相手にするなら?虎子が居ない時は?それらの状況でも対応出来る様に、切り札の数を増やすのは必須事項だった。
「ああ。必要ならそうするよ。だから俺は決闘を邪魔した」
「……、あたしは流れの探索者だ。あんたの仲間じゃない……」
「今は仲間だろ、少なくともこの依頼の報告が終わるまでは」
「…………」
俺はダリアに言う。
「それよりも頼みがある」
「……なんだい?」
「とりあえず飯をくれ。血が足りねえ……」
「あんた、血なんて流してないだろ」
「良いんだ。肉だな、肉が欲しい」
「……ならドラゴンを食うかい?噂では美味いらしいよ?」
「おお、それがあったな。じゃあそれで」
ダリアは立ち上がり、「全く。とんでもない奴だ……」とぶつぶつ言いながら、未だに放置されているドラゴンの死体へと歩き出した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ダリアは太めの枝にドラゴンの肉を挿して、焚き火で炙りながら口を開く。
「……ありがとう」
「あん?」
「火袋さ」
「何を今更。そういう契約だろ」
「それでもさ」
ダリアはゆっくりと肉の塊を回し、自分のバッグから塩のようなものを取り出して、乱暴に肉にまぶしていく。
「……聞かないのかい?」
多分火袋を必要な理由ってことか?
「聞いて欲しいのか?」
するとダリアはこちらをチラリと見た後、肉に視線を戻して首を横に振った。
「あんたはこれからどうするんだい?」
「あー、もちろん依頼の報告に帰るけど、炭でも証明出来るんかな……」
ランドドラゴンは燃えてしまった。ちょっと首を起こして足元を見ると、真っ黒なでかい塊がある。あれがランドドラゴンだろう。
「魔石でも証明になると思うけど、念の為にあたしもガルシア砦まで付き合うよ。火袋なら充分証明になる」
「その後は帰るのか?」
「ああ……、あたしは帰らなけばならないからね」
「お、おう。そうしろよ」
何故そんな顔で、俺に確認するかのように言うのか。元々スポット参戦なのだからそれで良いだろうに。
「あー、魔力循環はやっておけよ。つうか今この時もしろよ?」
「……本当に良かったのかい?あたしに秘伝の技を教えて」
「秘伝でもなんでもないらしいけどな」
「そうすればあたしもあんたみたいに強くなると?」
「まあ、なれるだろ。俺なんてただの男子高────、平凡な男でしかないからな」
「よく言うよ、ったく……」
ダリアがドラゴンの肉の塊を、ケバブのように表面をナイフで何枚も削ぎ落とす。しかし腹減った、血を補給しなくては。
「つうか、いい加減にどいてくれないか、アリサ。お前太ったから重いんだけど」
「っ!!ふっ、太ってないわよ!!信じられない?!今そんなこと言う?!ホントあんたは最低よ!!!」
「起きてるのバレバレだったぞ?」
「タイミングがなかったのよ!、それより、私が命を救ってあげたんだから感謝しなさいよね!!」
アリサはまるで俺の腹にでも話しかけているように、顔を上げないでそんなことを言ってくる。裸で抱き合いながらそんなこと言うとか、新手のツンデレなんだろうか。
「ああ、ありがとう、アリサ。お前は命の恩人だ」
アリサは俺の胸の上でピクリとした。まあ、血を失っただけだから死ななかっただろうけど、あのままでは一酸化炭素中毒の恐れもあった。それを解消してくれただけでも一応命の恩人ではある。
「あとアリサ、お前、何をした?なんだか俺の身体のあちこちがカピカピなんだけど」
ドン!
アリサは俺の鳩尾にゼロ距離からパンチをしてきた。
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