新米女神の運命の赤い糸

りんご飴

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大人な男

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(ジェイスは……大人だわ)

 リアはジェイスとお茶を楽しみながら、向かいに座る姿を眺めた。
 数日、ジェイスと共に過ごしたけれど、いつも穏やかで一緒にいると安心する。
 緑色の髪。茶色い瞳。
 どちらも大地の女神であるリアには、好ましい色だからだろうか。

(凛々しい顔立ちなのに、優しい印象を受けるわ。ジェイスを見てると……不思議な気持ちになる)

 話しながらリアの目をジッと見るのは、ジェイスの癖だろうか。なんだか落ち着かなくて、視線を反らしてしまう。

「リア様、どうかされました?」

 ジェイスに見つめられると落ち着かないなんて、本人の前で言えるはずもない。まして、リアの頬に触れる直前で止まった彼の手に、残念な気持ちになっているだなんて。

「え……と、お庭がとても素敵だなと思って」

「ありがとうございます。庭師が喜びます。
 もし、お疲れでなければ、ご案内致しますよ」

 少し遠慮がちに差し出された彼の手に、自分の手をそっと乗せた。





 小綺麗に手入れされた庭をジェイスのエスコートで歩く。
 リアが歩くと、まだ咲く時期ではない種類の花も次々と花を咲かせる。
 自分の庭だというのに、ジェイスの目が驚きに見開いた。

「これは……どういうことでしょうか」

「ふふ、いい庭ですね。花達が私に挨拶をしてくれてるわ」

 大地の女神が訪れたことで、土と植物が歓迎してくれたようだ。

 ふと、甘いクチナシの香りがして、リアは足を止めた。

「ん~~、いい香り」

 呟くと、彼はクチナシの白い花を一輪取ってくれる。

「どうぞ、リア様。クチナシもリア様に目に止めてめらえて、喜んでいるでしょう」

「ふふっ。ありがとう」

 いつの間にか二人の手はしっかりと繋がれていた。あまりに自然なことで、リアはいつ繋がれたのか分からなかった。

 当然フワリと吹いた風が、リアのミルクティー色の髪を揺らす。花達が花びらを散らして、二人に降り注いだ。

「リア様、失礼します」

 急にジェイスがリアの髪に触れた。
 擽ったさに身をよじると、ジェイスがクスリと笑う。

 まるで抱きしめられているような距離で、彼の爽やかな香りがする。

 指先がリアの耳を擽り、顎のラインをなぞってから、ゆっくり離れて行った。

「美しい髪に花びらがついていましたよ。クチナシに嫉妬したのかもしれませんね」

 ピンク色の花びらをヒラヒラ振って、クスリと笑った。

「ジェイス、屈んでください」

 屈んだジェイスの髪からも花びらを取ると、二人で笑い合う。

 近づいた距離を離れがたく思っていると、ジェイスの腕がリアの腰を引き寄せた。

 ちゅっ。

 小さな音を立ててジェイスの唇がすぐに離れていく。

「すみません。抑えきれませんでした」

 その困り顔に、リアの胸がキュッと音をたてる。
 気がつくと、自分から彼の唇にもう一度キスをしていた。

 一瞬だけ目を見開いたジェイスは、すぐにキスに答えた。
 ただ押し付けるだけだったリアのキスとは違い、下唇を軽く吸われる。
 ちゅぱちゅぱと音をたてた後、薄く開いた唇から彼の舌が潜り込んだ。すでにキスを覚えているリアは、自分の舌先でジェイスの舌に触れた。その瞬間、彼の舌がリアを絡め取る。
 隙間なく唇が合わさり、舌と舌が濃厚にすり合う。

「んっふっ……ちゅ」

 ジェイスのキスに、リアも一生懸命に答える。時折、うまく呼吸が出来ないリアの為に、軽く唇を離して息継ぎのタイミングを作ってくれるのが嬉しい。

「っふ……ぅんんん?」

 背中を撫でていたジェイスの手が、リアの胸の膨らみに触れた。
 リアの反応を確かめるように、軽く撫でる。

 驚きはしたけれど、ジェイスの手は嫌ではなかった。振り払われないことを確認した彼の手は、胸をヤワヤワと揉み始めた。

「ちゅ……ぅぁんん!」

 胸の先端を服越しに引っ掛かれ、身体がビクリと震える。ビリビリと電流が流れたかのような刺激に、思わずジェイスの腕を握りしめた。

「大丈夫です。……気持ちいいことしかしません」

 耳元で囁かれた声にまで、身体が揺れた。

「だ、だって……」

「ふふ、顔が真っ赤だ。大丈夫です。ここには誰も来ません」

 キスを続けたまま、何度も何度も胸を刺激される。

(気持ちいい……もう、身体が熱くて……)

 どれだけキスを続けただろう。

 リアの足がガクガク震え、完全にジェイスに抱き抱えられた状態になってから、ようやく唇が離れた。

 溢れて顎を伝った唾液を、ジェイスの舌が舐め取る。そんな刺激にさえ震えてしまう。

「なんて可愛らしい。そんな顔を他の者に見せたくありませんね」

 自分ではどんな顔をしているか分からないけれど、ジェイスの方がよほど色っぽい顔だとリアは思った。

 荒い呼吸で身体に力が入らないリアを、ジェイスは軽々と抱き上げて、小さなガゼボの椅子にそっと下ろした。

「少し……無理をさせてしまいましたね」

「……だ、大丈夫です」

 隣に座ったジェイスに寄りかかりながら、噴水で小鳥が水浴びする様子を眺める。

 確かに途中から胸を集中的に弄られ、初めての感覚に翻弄された。けれど全然嫌ではなかった。
 むしろ気持ちよくて、身体をもて余したくらいだ。

「リア様があまりに可愛いらしすぎて、手加減が出来ませんでした。私のことを嫌いにならないで下さい」

「嫌いだなんて……ぁん」

 またジェイスの手が、胸に触れる。

 無意識だったようで、ジェイスは慌てて謝罪した。 

「リア様に触れたい気持ちが強すぎて、私の手が言うことを聞いてくれません」

「ふふ、やんちゃな手ね」

 寄り添いながら過ごす、ゆったりとした時間が気持ちがいい。

 リアはふと自分の小指を見た。
 赤い糸がジェイスの小指に緩く巻き付いていた。

 
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