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再び、王都へ
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王都に戻ってしばらくは、穏やかな日々が続いた。
オレリアンは騎士の任務に戻り毎日忙しくしているが、邸に帰れば可愛い妻が待っている。
時々夜通しの任務もあって戻れない日もあるが、戻れる日はいつも一緒に食事をとり、一緒に眠りについた。
仕事が休みの日は勉強を見てやったり、一緒に庭で遊ぶこともある。
そして時々、というかちょくちょく、コンスタンスの両親や兄が彼女に会いにやって来た。
3人はオレリアンとコンスタンスの睦まじい姿を見ては、安心して帰って行く。
最初はオレリアンを射殺すような目で見ていた兄エリアスも、最近ではだいぶ柔らかくなった、と、オレリアンは思う。
王太子の件は、当然両親とエリアスの耳にも入れた。
3人は憤慨し、
「例え不忠の罪を着せられようともコニーを側妃に上げたりはしない」
と言っていた。
特にエリアスは、
「コニーの一番可愛い時代を搾取しながら今度は妾だと⁈
殿下と刺し違えてでも私が阻止してやる!」
と激怒していた。
「いや、それは夫である私がやりますから」
とオレリアンが言っても、エリアスは
「コニーは私が守る!」
と息巻いて帰って行った。
ただ、王太子が何も言ってこない今はまだ、静観の構えである。
今日は一日休みなので、オレリアンは妻にねだられて王都の街に出かけて来た。
ヒース領で過ごしていた時のような普段着で出てきたので、一見貴族とはわからないだろう。
もちろん少し離れたところからダレルとリアが付いてきているが、オレリアンは妻と手を繋いで、街中のデートを楽しんだ。
「道行く人間とやたらと目が合うな。
コニーがあまりにも可愛いから、皆振り返るのかな」
オレリアンは目を細めて妻を見る。
「違うわ。オレールがカッコいいから、みんな見るのよ」
「いや、コニーを見てるんだよ」
「オレールよ!」
「いやいや、コニーだよ。
でも人に見せるのはもったいないから隠してしまおう」
オレリアンはそう言うとコンスタンスが羽織っているポンチョのフードをガバッと被せた。
「もう!オレールったら!」
コンスタンスがキャッキャとはしゃぐ。
「…何してるんだろうな、旦那様は」
ダレルがポツリと呟くと、リアは
「さぁ…。とんでもなくアホになってしまったんでしょうね」
と座った目で答える。
「せっかくリボンを付けて来たのに見えなくなっちゃうわ。
ほら見て。オレールにもらったリボンなのよ?」
コンスタンスがフードを脱いで、おさげの先に付けている青いリボンを指差した。
「うん、綺麗だね。
コニーはどんな色でも似合うけど…、その美しい銀髪には、そういう色が特に似合うね」
「私この色が一番好きなの!
だってオレールの綺麗な目の色と同じなんだもの!」
「貴女は…、どうしてこんなに可愛いのかな」
オレリアンがコンスタンスの頭を抱き寄せて髪にキスをする。
またコンスタンスはキャッキャとはしゃぐ。
「リボンだけじゃないわ!
オレールが私にくれたものは全部宝物なの。
このブローチもね、このブレスレットもね」
コンスタンスはポンチョの胸元を留めてある青い石のついたブローチや、やはり青い石で出来たブレスレットを見せた。
ヒース領でデートするたびにオレリアンが妻に買ってやったものだ。
田舎の街で買った安物ばかりだが、コンスタンスはとても気に入り、大事にしていた。
「私やっぱり青が好きだわ。
オレールの色が一番好き!」
「あー、もう。
コニーが可愛すぎて本当に誰にも見せたくない」
オレリアンは再び妻にフードを被せると、その上からギューッと抱きしめた。
「…俺たちは、いつまでこのイチャイチャを見せられるんだ?」
「さぁ。ダレルさんだって、いい加減慣れたでしょう?」
リアは涼しい顔で主人夫婦を眺める。
そしてこっそりと願った。
この平和な風景が、いつまでも続きますようにと。
オレリアンは騎士の任務に戻り毎日忙しくしているが、邸に帰れば可愛い妻が待っている。
時々夜通しの任務もあって戻れない日もあるが、戻れる日はいつも一緒に食事をとり、一緒に眠りについた。
仕事が休みの日は勉強を見てやったり、一緒に庭で遊ぶこともある。
そして時々、というかちょくちょく、コンスタンスの両親や兄が彼女に会いにやって来た。
3人はオレリアンとコンスタンスの睦まじい姿を見ては、安心して帰って行く。
最初はオレリアンを射殺すような目で見ていた兄エリアスも、最近ではだいぶ柔らかくなった、と、オレリアンは思う。
王太子の件は、当然両親とエリアスの耳にも入れた。
3人は憤慨し、
「例え不忠の罪を着せられようともコニーを側妃に上げたりはしない」
と言っていた。
特にエリアスは、
「コニーの一番可愛い時代を搾取しながら今度は妾だと⁈
殿下と刺し違えてでも私が阻止してやる!」
と激怒していた。
「いや、それは夫である私がやりますから」
とオレリアンが言っても、エリアスは
「コニーは私が守る!」
と息巻いて帰って行った。
ただ、王太子が何も言ってこない今はまだ、静観の構えである。
今日は一日休みなので、オレリアンは妻にねだられて王都の街に出かけて来た。
ヒース領で過ごしていた時のような普段着で出てきたので、一見貴族とはわからないだろう。
もちろん少し離れたところからダレルとリアが付いてきているが、オレリアンは妻と手を繋いで、街中のデートを楽しんだ。
「道行く人間とやたらと目が合うな。
コニーがあまりにも可愛いから、皆振り返るのかな」
オレリアンは目を細めて妻を見る。
「違うわ。オレールがカッコいいから、みんな見るのよ」
「いや、コニーを見てるんだよ」
「オレールよ!」
「いやいや、コニーだよ。
でも人に見せるのはもったいないから隠してしまおう」
オレリアンはそう言うとコンスタンスが羽織っているポンチョのフードをガバッと被せた。
「もう!オレールったら!」
コンスタンスがキャッキャとはしゃぐ。
「…何してるんだろうな、旦那様は」
ダレルがポツリと呟くと、リアは
「さぁ…。とんでもなくアホになってしまったんでしょうね」
と座った目で答える。
「せっかくリボンを付けて来たのに見えなくなっちゃうわ。
ほら見て。オレールにもらったリボンなのよ?」
コンスタンスがフードを脱いで、おさげの先に付けている青いリボンを指差した。
「うん、綺麗だね。
コニーはどんな色でも似合うけど…、その美しい銀髪には、そういう色が特に似合うね」
「私この色が一番好きなの!
だってオレールの綺麗な目の色と同じなんだもの!」
「貴女は…、どうしてこんなに可愛いのかな」
オレリアンがコンスタンスの頭を抱き寄せて髪にキスをする。
またコンスタンスはキャッキャとはしゃぐ。
「リボンだけじゃないわ!
オレールが私にくれたものは全部宝物なの。
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コンスタンスはポンチョの胸元を留めてある青い石のついたブローチや、やはり青い石で出来たブレスレットを見せた。
ヒース領でデートするたびにオレリアンが妻に買ってやったものだ。
田舎の街で買った安物ばかりだが、コンスタンスはとても気に入り、大事にしていた。
「私やっぱり青が好きだわ。
オレールの色が一番好き!」
「あー、もう。
コニーが可愛すぎて本当に誰にも見せたくない」
オレリアンは再び妻にフードを被せると、その上からギューッと抱きしめた。
「…俺たちは、いつまでこのイチャイチャを見せられるんだ?」
「さぁ。ダレルさんだって、いい加減慣れたでしょう?」
リアは涼しい顔で主人夫婦を眺める。
そしてこっそりと願った。
この平和な風景が、いつまでも続きますようにと。
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