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16歳、やり直し
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「本当なの…?リア…」
「嘘ではございません。
侯爵様も大変お嬢様を慈しんでおいででした。
贈り物が安物なのは、お嬢様の中身が7歳だったからです。
侯爵様はいつも、お嬢様が喜ぶような玩具や絵本を贈っていらっしゃいました。
特にそのブローチは街の雑貨屋で一緒に選んだのだと、お嬢様も嬉しそうに話しておりましたよ。
それとやはり侯爵様にいただいた青いリボンをたいそう気に入ってらして、いつもお下げを結った先に結んでらっしゃいました」
「お下げ…?青い…、リボン…?」
そう呟くと、コンスタンスは考えるように頭に手をやった。
「それから、そこにありますエメラルドのネックレス…、それは、侯爵様がお嬢様の19歳のお誕生日に贈られたものです」
「…誕生日…?私の…?」
確かに、その見覚えのないネックレスは本物のエメラルドが嵌め込まれているようで、かなり高価なものに見える。
「…19歳の…?」
全く記憶にはないが、確かに自分は19歳になっているらしい。
それを嫌でも自覚させられ、コンスタンスは頭を押さえた。
「お嬢様?!」
「痛い…、なんだか突然…、頭が痛いわ、リア」
「お嬢様!」
「コニー⁈」
一緒に出かけるために妹を迎えに来たエリアスが、しゃがみこむコンスタンスを抱き上げた。
そして、そのままベッドに運ぶ。
気を失いはしなかったが、2ヶ月ぶりに頭痛を起こしたコンスタンスにエリアスもリアも慌てた。
すぐに医者に診せたが、やはり原因はわからなかった。
「申し訳ありません、若旦那様。
私が不用意にヒース侯爵様のお名前を口にしたから…」
眠りについたコンスタンスを確認して部屋の外に出たリアは、涙ぐみながらエリアスに謝った。
「…オレリアンの?」
「お嬢様が侯爵様からいただいた装飾品について、詳しく話してしまったのです」
「いや、それは仕方ないよリア。
私たちはあえてコニーがオレリアンからもらったものを隠したりしなかったし。
コニーもそろそろ現実に向き合わないと、オレリアンも可哀想だと思っていたからな。
だが…、オレリアンの名前を聞いて頭痛が起きたのは厄介だな…」
そう言うとエリアスはため息をついた。
妹が少しずつ前を向いているのは確かだ。
最近では王太子の話題が出ても話せるようになっていたし。
ただ、相変わらず夫に関しては全く興味がないようで、話題にも上らない。
ゆっくり養生して欲しい、なんならずっとここにいて、一生面倒を見てやってもいいとまで思っているが、毎日足を運んでくるオレリアンを見ているとさすがに気の毒になる。
彼は妻に会いたいとも顔を見たいとも言わず、ただ、毎日元気かどうかだけ確認して帰って行く。
一輪だけ持って来る花は、いつも自分が花屋に寄って見繕っていると言う。
昨日は小さめのひまわりだった。
「輝く太陽みたいなところが、コニーに似てると思って」
そう言って恥ずかしそうに笑ったと言う。
コンスタンスに会わせてやろうと話したこともあるが、彼は彼女自身がその気になるまでいつまででも待つと言った。
妹には、彼の優しさに、彼の一途さに、早く気づいてやって欲しいと思う。
だが、今回のように過去と向き合おうとすると頭痛が起きるのでは、簡単に会わせるわけにもいかない。
「どうしたものか…」
エリアスは扉の向こうに眠る妹を思いながら呟いた。
その日も一輪の花を手に公爵家をたずねたオレリアンは、コンスタンスがまた頭痛を起こしたと聞き、蒼白になった。
しかも、自分の話題が出た直後だと言う。
すぐに痛みは治まったと聞いてホッとはしたが、その事実はオレリアンの胸を抉った。
そして翌日、オレリアンがルーデル公爵家を訪ねることはなかった。
「嘘ではございません。
侯爵様も大変お嬢様を慈しんでおいででした。
贈り物が安物なのは、お嬢様の中身が7歳だったからです。
侯爵様はいつも、お嬢様が喜ぶような玩具や絵本を贈っていらっしゃいました。
特にそのブローチは街の雑貨屋で一緒に選んだのだと、お嬢様も嬉しそうに話しておりましたよ。
それとやはり侯爵様にいただいた青いリボンをたいそう気に入ってらして、いつもお下げを結った先に結んでらっしゃいました」
「お下げ…?青い…、リボン…?」
そう呟くと、コンスタンスは考えるように頭に手をやった。
「それから、そこにありますエメラルドのネックレス…、それは、侯爵様がお嬢様の19歳のお誕生日に贈られたものです」
「…誕生日…?私の…?」
確かに、その見覚えのないネックレスは本物のエメラルドが嵌め込まれているようで、かなり高価なものに見える。
「…19歳の…?」
全く記憶にはないが、確かに自分は19歳になっているらしい。
それを嫌でも自覚させられ、コンスタンスは頭を押さえた。
「お嬢様?!」
「痛い…、なんだか突然…、頭が痛いわ、リア」
「お嬢様!」
「コニー⁈」
一緒に出かけるために妹を迎えに来たエリアスが、しゃがみこむコンスタンスを抱き上げた。
そして、そのままベッドに運ぶ。
気を失いはしなかったが、2ヶ月ぶりに頭痛を起こしたコンスタンスにエリアスもリアも慌てた。
すぐに医者に診せたが、やはり原因はわからなかった。
「申し訳ありません、若旦那様。
私が不用意にヒース侯爵様のお名前を口にしたから…」
眠りについたコンスタンスを確認して部屋の外に出たリアは、涙ぐみながらエリアスに謝った。
「…オレリアンの?」
「お嬢様が侯爵様からいただいた装飾品について、詳しく話してしまったのです」
「いや、それは仕方ないよリア。
私たちはあえてコニーがオレリアンからもらったものを隠したりしなかったし。
コニーもそろそろ現実に向き合わないと、オレリアンも可哀想だと思っていたからな。
だが…、オレリアンの名前を聞いて頭痛が起きたのは厄介だな…」
そう言うとエリアスはため息をついた。
妹が少しずつ前を向いているのは確かだ。
最近では王太子の話題が出ても話せるようになっていたし。
ただ、相変わらず夫に関しては全く興味がないようで、話題にも上らない。
ゆっくり養生して欲しい、なんならずっとここにいて、一生面倒を見てやってもいいとまで思っているが、毎日足を運んでくるオレリアンを見ているとさすがに気の毒になる。
彼は妻に会いたいとも顔を見たいとも言わず、ただ、毎日元気かどうかだけ確認して帰って行く。
一輪だけ持って来る花は、いつも自分が花屋に寄って見繕っていると言う。
昨日は小さめのひまわりだった。
「輝く太陽みたいなところが、コニーに似てると思って」
そう言って恥ずかしそうに笑ったと言う。
コンスタンスに会わせてやろうと話したこともあるが、彼は彼女自身がその気になるまでいつまででも待つと言った。
妹には、彼の優しさに、彼の一途さに、早く気づいてやって欲しいと思う。
だが、今回のように過去と向き合おうとすると頭痛が起きるのでは、簡単に会わせるわけにもいかない。
「どうしたものか…」
エリアスは扉の向こうに眠る妹を思いながら呟いた。
その日も一輪の花を手に公爵家をたずねたオレリアンは、コンスタンスがまた頭痛を起こしたと聞き、蒼白になった。
しかも、自分の話題が出た直後だと言う。
すぐに痛みは治まったと聞いてホッとはしたが、その事実はオレリアンの胸を抉った。
そして翌日、オレリアンがルーデル公爵家を訪ねることはなかった。
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