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いざ、王宮へ
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王宮のエントランスでは、騎士姿で任務につくオレリアンが待っていた。
出迎える騎士の中に夫の姿を見とめ、コンスタンスはホッとしたように微笑んだ。
しかし馬車から降りて来るコンスタンスに手を差し伸べたオレリアンは、彼女を一目見て思わず固まった。
この日のコンスタンスは、あまりにも美しかったのだ。
いや、庭で散歩する彼女も犬と戯れる彼女も美しいが、王妃とのお茶会に臨むために着飾ったコンスタンスは声にならないほど美しい。
ハーフアップにされた銀色の髪は緩く下ろされ、ほっそりとした首にはかつてオレリアンが贈ったエメラルドのネックレスが輝いている。
「…オレリアン様?」
訝しげに首を傾げた妻に、オレリアンは苦笑した。
「失礼。貴女があまりにも美しいから、目を奪われておりました」
「まぁ、お戯れを」
はにかんだように笑ったコンスタンスに、周りの騎士たちも思わず息を飲んだ。
以前よく目にしていた、王太子の婚約者としての公爵令嬢の、貼り付けたような笑顔とは明らかに違っていたからだ。
公式の場でしか見たことがないのだからかつての彼女が公的な顔しか見せなかったのは当然であるだろうが、それにしても今の彼女は、夫を見るなり頬を緩ませ、安心しきった笑顔を見せている。
一方のオレリアンも、妻の姿を目にするなり、いつもの騎士の顔とは違い、緩んだ顔を晒していた。
なんとか引き締めようとはしているようだが、妻の笑顔を見て舞い上がっているのは明らかだ。
(やっぱり、不仲説や離縁説はガセネタか…)
騎士仲間の、同僚夫妻を見ての共通認識が変わった瞬間である。
オレリアンに案内されて王宮の回廊を進むと、王妃付きの侍女があらわれた。
「ルーデル公爵夫人と令息はこちらでお待ちください。
ここから先はヒース侯爵夫人お一人でとのことでございます」
母とエリアスには、手前の部屋で待っているようにと言うのだ。
「王妃様は、最初はヒース侯爵夫人とお二人で会われることを希望されています。
どうぞお二人は、こちらでお待ちください」
「まぁ…」
母は一緒にお茶会に参加するつもりでここまで来たが、王妃が待つよう言っているのでは仕方がない。
兄エリアスも、心配そうな顔を向ける。
「大丈夫ですわ、お母様、お兄様」
コンスタンスは母を安心させるように手を握り、笑顔を見せた。
少し進むと、今度は侍女が、オレリアンにも
「騎士の方もここまでで」
と言う。
しかしオレリアンは首を横に振った。
「私は護衛として付いて参ります。
もちろん部屋の前で待機しておりますゆえ」
「いいえ。この先は後宮でございます。
皇族と禁裏護衛騎士以外、男性は何人たりとも入れません」
そう告げると侍女は冷ややかにオレリアンを見上げた。
「後宮…」
オレリアンは絶句した。
いかに近衛騎士と言えど、後宮に足を踏み入れることは出来ない。
「大丈夫ですわ、オレリアン様」
不安気に妻を見下ろす夫を、コンスタンスは笑顔で見上げた。
「私が幸せだとわかれば、王妃様も満足してくださるでしょう。
帰ったら、お約束を守ってくださいませね」
王宮から戻ったら、同居する約束をしているのだ。
2人の間には今、信頼と、たしかな絆が育ち始めている。
「ええ、もちろん」
オレリアンは妻の手を取り、その甲に口付けを落とした。
「では、行って参りますわ」
コンスタンスはニッコリ笑うと、夫に背を向けた。
そして侍女の後に続き、後宮へ入って行った。
出迎える騎士の中に夫の姿を見とめ、コンスタンスはホッとしたように微笑んだ。
しかし馬車から降りて来るコンスタンスに手を差し伸べたオレリアンは、彼女を一目見て思わず固まった。
この日のコンスタンスは、あまりにも美しかったのだ。
いや、庭で散歩する彼女も犬と戯れる彼女も美しいが、王妃とのお茶会に臨むために着飾ったコンスタンスは声にならないほど美しい。
ハーフアップにされた銀色の髪は緩く下ろされ、ほっそりとした首にはかつてオレリアンが贈ったエメラルドのネックレスが輝いている。
「…オレリアン様?」
訝しげに首を傾げた妻に、オレリアンは苦笑した。
「失礼。貴女があまりにも美しいから、目を奪われておりました」
「まぁ、お戯れを」
はにかんだように笑ったコンスタンスに、周りの騎士たちも思わず息を飲んだ。
以前よく目にしていた、王太子の婚約者としての公爵令嬢の、貼り付けたような笑顔とは明らかに違っていたからだ。
公式の場でしか見たことがないのだからかつての彼女が公的な顔しか見せなかったのは当然であるだろうが、それにしても今の彼女は、夫を見るなり頬を緩ませ、安心しきった笑顔を見せている。
一方のオレリアンも、妻の姿を目にするなり、いつもの騎士の顔とは違い、緩んだ顔を晒していた。
なんとか引き締めようとはしているようだが、妻の笑顔を見て舞い上がっているのは明らかだ。
(やっぱり、不仲説や離縁説はガセネタか…)
騎士仲間の、同僚夫妻を見ての共通認識が変わった瞬間である。
オレリアンに案内されて王宮の回廊を進むと、王妃付きの侍女があらわれた。
「ルーデル公爵夫人と令息はこちらでお待ちください。
ここから先はヒース侯爵夫人お一人でとのことでございます」
母とエリアスには、手前の部屋で待っているようにと言うのだ。
「王妃様は、最初はヒース侯爵夫人とお二人で会われることを希望されています。
どうぞお二人は、こちらでお待ちください」
「まぁ…」
母は一緒にお茶会に参加するつもりでここまで来たが、王妃が待つよう言っているのでは仕方がない。
兄エリアスも、心配そうな顔を向ける。
「大丈夫ですわ、お母様、お兄様」
コンスタンスは母を安心させるように手を握り、笑顔を見せた。
少し進むと、今度は侍女が、オレリアンにも
「騎士の方もここまでで」
と言う。
しかしオレリアンは首を横に振った。
「私は護衛として付いて参ります。
もちろん部屋の前で待機しておりますゆえ」
「いいえ。この先は後宮でございます。
皇族と禁裏護衛騎士以外、男性は何人たりとも入れません」
そう告げると侍女は冷ややかにオレリアンを見上げた。
「後宮…」
オレリアンは絶句した。
いかに近衛騎士と言えど、後宮に足を踏み入れることは出来ない。
「大丈夫ですわ、オレリアン様」
不安気に妻を見下ろす夫を、コンスタンスは笑顔で見上げた。
「私が幸せだとわかれば、王妃様も満足してくださるでしょう。
帰ったら、お約束を守ってくださいませね」
王宮から戻ったら、同居する約束をしているのだ。
2人の間には今、信頼と、たしかな絆が育ち始めている。
「ええ、もちろん」
オレリアンは妻の手を取り、その甲に口付けを落とした。
「では、行って参りますわ」
コンスタンスはニッコリ笑うと、夫に背を向けた。
そして侍女の後に続き、後宮へ入って行った。
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