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始まり〜シイ村

選出されました

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「かずささん!87年の人生、お疲れ様でしたー!
 かずささーん?近藤かずささーん?
 聞こえてますか??」

おっと、ここは天国かな?

「あ、聞こえてますね!
 かずささん、87年の人生、お疲れ様でした。
 かずささんの人生はいかがでしたか?」

うん、まぁ、可愛い3人娘とたくさんの孫に恵まれて、最後は好きなことして死ねたので、未練はちっともありません

「それは良かったです。素晴らしい人生でしたね!
 本当に本当にお疲れ様でした。
 心残りのない人生を送られたかずささんには、また輪廻転生をしてもらいたいと思っています。
 かずささんって、異世界大好きですよね?
 魔法大好きですよね?
 次の人生の舞台は、異世界でーす!
 10人のうちの1人に選ばれました。
 おめでとうございまーーーす!」

ん?

「え?異世界好きじゃなかったでしたっけ?」

好きだけど

「好きですよね-!良かった~。
 地球の異世界大好き人間から、10の神々がそれぞれひとりずつ、合計10名選出しまして、私たち、神々の娯楽のための異世界に転生してもらい、1番長生きした人にご褒美を用意しようかなって企画でー、かずささんが見事選ばれたのです!
 おめでとうございまーーーす!」

娯楽・・・・・・

「そうです、娯楽です。
 神々にとっての娯楽って、やっぱり誰かの人生を視ることなんですよね~。
 どうせ視るなら面白い人生がいいじゃないですかー。
 1番長生きした人以外にも、面白い人生を歩んだ人にはそれぞれの神がご褒美を考えてるかもー?
 どうですか?面白そうでしょ?」

いえ、あの、普通の輪廻転生を希望します

「なぜですかー!?!?
 なんでそんなこと言うんですか?
 そんなの困りますー!
 っていうか、これは強制なので!
 大丈夫!強制異世界転生です!」

大丈夫って、自分に言ってますよね?
そんでこれは強制なのかい
 
「強制です!大丈夫です!
 不安ですよね!大丈夫です!」

何が大丈夫なんだろー
あなたが大丈夫かなー?

「流石かずささんです、ツッコミが鋭い!
 強制なので、次の説明に進ませていただきますねー!

 選ばれたあなたは1番長生きしてください。
 転生者10名による長生きレースです。
 転生者同士は殺し合い不可。
 したくてもできません。

 基本自由に生きてください。
 転生者だと言ってもOK。
 世界征服してもいいし、滅ぼしても良いです。

 残酷なことをしても、良いことをしても、ペナルティなしボーナスなし。
 ただ、神々を楽しませる人生を歩んだら、1番長生きできなくてもご褒美もらえるかもしれません。

 死んだら元の世界の輪廻の輪に戻ることができます。
 自死はできません。
 例えば、高所から落ちた場合、他意や事故の時は死ぬことがありますが、自分の意志によるものですと、神々の力が働いて安全に地面に着地します。
 事故に見せかけた自殺も不可ですよ。
 
 転生先の異世界は、みんな大好き剣と魔法の世界です。
 東には日本のような国があったり、中世ヨーロッパのような国や、獣人などの国もありますよ。
 一般的な異世界と同じように様々な種族がいて、国によっては差別があります。
 身分制度や奴隷制度がある国もあります。
  
 他には、魔獣や魔物がいて、ダンジョンもあります。
 魔人も魔王も居ますが、今の所、平和です。

 転生後すぐに死んでしまうのは非常につまらないので、スキルや能力など3つのお願いを叶えちゃいます!

 ただし、不老は可ですが、不死は不可ですよ。
 レースになりませんからね。
 
 はい、以上をふまえて3つのお願いどぞー!!!」



・・・・・・



「・・・・・・どぞー!!!」



・・・・・・



「あれ?かずささーん?寝ちゃいましたか?
 おばあちゃんだからって、すーぐ寝ちゃうのやめてください!」

起きてますけど

「ではお願いをどうぞ!」

どうぞじゃないよ

「あ、もしかして理解が追いついてませんか?
 大丈夫ですよ、おばあちゃんのためにたっぷり時間をとってますからね、ゆっくり落ち着いてお考えくださいね」

いやいやいや
なにこれ、ほんとに天国?
夢でもみてるんじゃ?

「夢のように感じますが夢ではありませんよ。
 あ、でも夢だと思って、お願い3つしちゃってみてくださいよ。話が進まないのは困るので、これは夢ってことで!」

そうか、夢か
夢なら、まぁ・・・・・・いっか????

「良いと思いまーす!」

さっきからうるさいなぁ
テンション高いねーちゃんだなぁ

「よく言われます~えへへ」

えー、3つのお願い?
んー、基本自由なのかー

「はいはい」

あ、ひとつはー、睡眠、飲食が必要ない体が良いかも!
異世界小説を執筆&読書するのに眠気が邪魔してほんとやだったんだよね。
食事も面倒臭いしねー!

「あれ、それってひとつじゃなくて睡眠不要と飲食不要のふたつになりますよね?」

ひとつですよ!
体はひとつですよね?!

「あ、はい、体はひとつです」

だったらひとつです!

「え?そうかな?」

そうです!
それに、そういうのって、状態異常回復ってやつひとつで済んでしまうところ、状態異常のうちの睡眠と飲食のふたつに限定したんですよ?
毒とか魅了とかその辺は、状態異常を感じてみようかと思ったから、状態異常回復、にはしなかったんですよ?
わかります?

それとも状態異常回復って、願い事ひとつになりそうだけどならないわけ?
毒、魅了、混乱、睡眠、色々ありますよね?
10個あったとしたら、10個分の願いになってしまうんですか?
   
「いいえ、状態異常回復はひとつです」

じゃあ、ひとつですよね!

「あ、は、はい・・・・・・」

じゃあ、睡眠と飲食しなくても生きていける体、ひとつお願いしますね!

「あ、はい、わかりました。
 ・・・・・・えっと、睡眠欲と食欲、人間の3大欲求のふたつですけどよろしいのでしょうか?」

そうそう、そのふたつね、頼むよ。
でも必要ないってだけで、できないわけじゃないから、そこのところは間違えないでくださいね。

「性欲はそのままですか?」

そのままです。
それなくしたら恋愛できなくなりますよねー?
恋愛はしたいですねー!!

「なるほど」

それでふたつ目は、魔力無限大で創造魔法スキルお願いします。

「それって、ふたつですよね?
 それはふたつになります!」

いやいや、これはセットですよ、ワンセット。

「ワンセット・・・・・・?」

創造魔法ってどれだけ魔力使います?
魔力無限大とセットにしないと使えないのでは?
単品では使えないスキルなんて、要らないんですよ!
しかもね?創造魔法で自分、魔力無限大に魔力溢れますよーてしちゃえば済む話だし?
ならセットでもいいよね?
ワンセットで問題ありませんよね?

「・・・・・・え、とー、ワンセットでー、問題ないような???そんな気が・・・・・・してきました・・・・・・」

はい、大丈夫です!!!

「大丈夫?」

大丈夫です!!!

「大丈夫ですか!」

大丈夫です!!!

「大丈夫です!!!よかった!
 では、あとひとつですね!」

ラスト3つ目ー!

「どぞー!」

奴隷にならない運命でお願いします

「はわわわわ!それは!それだけは!!!」

ああん?

「すみませんんんんん!
 それは奴隷の呪縛にかからない体、にさせてください!
 奴隷にならない体にするので、拘束されても何とかして自力で逃げてください。
 運命にしてしまうと、ちょっとでも関わってしまった人、関わってしまった人に関わってしまった人末端までとんでもない人数の運命を弄ることになるため、まじカオスです。
 これは譲れません。
 これに関しては、奴隷の呪縛にかからない体でお願いします!」

えーーーー
最初の説明にダメって言ってなかったじゃーん?

「ほんとすみません!それだけはー!それだけはー!
 なにとぞーーーー!」

しょうがないなぁーーーー

「すみませんすみません、お許しいただきまして有難うございます!!!」

まったくーーー!
こっちは神々の娯楽?とやらで強制的に異世界にぶっこまれるんだからさーちゃんとしてくれないとーーー!
こっちからしたらそんなつまんないことに巻き込まれてほんと迷惑なんですからねー?
夢かもしれないけどー?

「は、は、はいー!申し訳ありません!!!
 ちゃんとしますー!!!!」

ち!

「ち!って!」

ち!

「は!また!」

早く次ー!

「すみませんすみません。次いきます。ええーと。
 (疲れるー。なんかやだなこの人コワイ。早く終わらせましょう)」


   

 
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