6 / 78
始まり〜シイ村
勉強が必要です
しおりを挟む
私は彼を招き入れて、彼にもアールグレイを淹れた。
カップにお茶が注がれている間に、彼は家の周りに結界を張った。
入室する時に、なんと彼は、私と同じ背の高さに魔法で縮んでくれたのだ。
私サイズの家だから彼からしたら玄関も小さい家具も小さい、天井も低いので、家に入る前のサイズだと絶対うっかり体をどこかにぶつけていただろう。
私のサイズに合わせてくれるなんて、彼は紳士だ!
彼曰く、親密度を上げるには同じ仕草をしたり似た体型や容姿にすると良いのだと。
経験談だ。
というわけで、私と同じ背丈の人型ドラゴンどお茶会だ。
彼はこの世界の主のような存在。
今までこの世界で1番神に近いといわれていた。
私が来るまでは。
知能と魔力がめちゃんこ高いドラゴン。
たくさんの国の栄枯盛衰を見てきたんだって。
一部の地域では神とも称されているそうで。
エンシェントドラゴン
古代のドラゴンだ。
異世界で1番に出会った誰か。
それがドラゴンだなんて。
異世界あるあるだねー
昨日私がこの世界に落とされた瞬間、遠く離れた場所でも感知できるほどの膨大な魔力を感じたのだと。
その魔力に世界中の魔獣魔物、家畜も恐怖でフリーズ。
一般人も老若男女問わず寝込んだ。
魔力量の多い人達がやっとの思いで原因を突き止めるべく動いたのだが、辛うじて歩ける程度で、探索の旅には出られない状態。
このままだと人類が滅亡してしまいそうだと彼は思った。
そして動けそうなのが自分だけだと察して、こうしてやってきたのだというわけだ。
彼が張った結界で私の魔力を外界から遮断することで、一時的に世界を元の状態に戻したんだって。
ほんとすみません。
いや、その辺の説明もなく転送した神が悪いと思います!
「体内の魔力を感じることはできるか?」
「うん、多分。魔法を使ったときに体内の何かが動いた気がしたよ」
「それが魔力だ」
魔力で合ってた。
「その魔力をしっかり感じ取り、胸の奥か、腹の底に押し込めるイメージで、漏れ出ている魔力を止めるんだ」
胸の奥か、腹の底。
好みでいいらしい。
ほとんどの人は腹の底らしい。
丹田って場所なのかな?
私もきっとそこがイメージし易いかも。
目を閉じてイメージしてみる。
血流と同じように体内を巡る魔力。
腹に渦巻いて、腹の底へ押し込める。
漏れ出てくるな
漏れ出てくるな
漏れ出てくるな
呪文のように3回同じ言葉を心の中で繰り返した。
「それでいい」
「え!できた?」
「ああ、我も信じられないが、うまく出来ているぞ。
普通なら筋のあるやつでも数日はかかる。
筋のないやつは数ヶ月かかるから、長く付き合う気でおったのだがな」
うまく出来た感触はないけど出来たらしい。
「いつでも魔力を感知するようにしなさい。
自分の魔力、他人の魔力、自分の周りの魔素を感じなさい」
「魔素?」
「そうだ。魔素は酸素と同じように大気中や植物、生き物などにある物だ。
生き物は魔素を体内に取り込んで魔力にするのだ。
ちなみにシイの体は魔素100%だ」
ふーん
・・・・・・
え?
体が魔素100%って何?
「水分とか脂肪とか、どこいっちゃいました?」
「神にきけ。シイの体は人間ではない。
シイは、体が魔素で出来ている妖精だ」
カラダガマソデデキテイル
なぜだ・・・・・・
「神の娯楽と何か関連は?」
ドラゴンが困惑している私に助け舟を出してくれている。
神の娯楽・・・・・・
ひとりで考えても埒があかないと思って、早々に私がこの異世界に転生したワケを全て包み隠さずに伝えてみた。
「恐らくだが、3つの願い事の所為だろう。
睡眠、飲食の要らない体にすることが、体を魔素にする必要があったんだろう。
筋肉や血液などで構成されている生き物の体は、栄養摂取しないと生命を維持できないからな。
睡眠も同じだ。
睡眠が要らないってことは、疲労や体調不良を治すための体の休息時間が要らない、つまり、疲労や体調不良が起こらないってことだ」
「へー」
うーん、やらかしちゃったらしい・・・・・・
ていうかー!
全然説明なかった!!!!
神殿に行って神と会話出来たら速攻でクレームだな。
「因みに、我の体もシイと同じだ。
擬似的に血液や肉体があるが見掛けだけで、全て魔素だ。
魔素を取り込めば食事は不要だ。
だが、睡眠は必要だから、その辺りがシイのほうが格上なのだろうな」
私の3つのお願い事が最強の体を作っていたなんて。
最強になりたかったわけじゃないのだよ。
何かに怯え、何かに殺されたくないと思っただけなんだよ・・・・・・
夢だと思い込んですぐに現実だと理解しなかった自分の愚かさよ。
お茶菓子は苺のショートケーキ。
ホールで。
ひとり1ホール出して、切り分けたりせずにそのままをフォークで食べていく。
その美味しさにドラゴンは涎をこぼしてたよ。
私もこんな贅沢初めて。
ホールケーキを食べ終えて、現実逃避は終わった。
「何も心配することはない。
しばらくシイの傍にいて必要なことを教えるからな。
この家に我の寝床を作ってくれ」
いきなり同居!?
「報酬は異世界の美味しい食べ物、飲み物で良いぞ」
うわあ異世界あるあるだ。
地球の食べ物に興味が沸いて付き纏う異世界の生き物たち。
エンシェントドラゴン・・・・・・お前もか
カップにお茶が注がれている間に、彼は家の周りに結界を張った。
入室する時に、なんと彼は、私と同じ背の高さに魔法で縮んでくれたのだ。
私サイズの家だから彼からしたら玄関も小さい家具も小さい、天井も低いので、家に入る前のサイズだと絶対うっかり体をどこかにぶつけていただろう。
私のサイズに合わせてくれるなんて、彼は紳士だ!
彼曰く、親密度を上げるには同じ仕草をしたり似た体型や容姿にすると良いのだと。
経験談だ。
というわけで、私と同じ背丈の人型ドラゴンどお茶会だ。
彼はこの世界の主のような存在。
今までこの世界で1番神に近いといわれていた。
私が来るまでは。
知能と魔力がめちゃんこ高いドラゴン。
たくさんの国の栄枯盛衰を見てきたんだって。
一部の地域では神とも称されているそうで。
エンシェントドラゴン
古代のドラゴンだ。
異世界で1番に出会った誰か。
それがドラゴンだなんて。
異世界あるあるだねー
昨日私がこの世界に落とされた瞬間、遠く離れた場所でも感知できるほどの膨大な魔力を感じたのだと。
その魔力に世界中の魔獣魔物、家畜も恐怖でフリーズ。
一般人も老若男女問わず寝込んだ。
魔力量の多い人達がやっとの思いで原因を突き止めるべく動いたのだが、辛うじて歩ける程度で、探索の旅には出られない状態。
このままだと人類が滅亡してしまいそうだと彼は思った。
そして動けそうなのが自分だけだと察して、こうしてやってきたのだというわけだ。
彼が張った結界で私の魔力を外界から遮断することで、一時的に世界を元の状態に戻したんだって。
ほんとすみません。
いや、その辺の説明もなく転送した神が悪いと思います!
「体内の魔力を感じることはできるか?」
「うん、多分。魔法を使ったときに体内の何かが動いた気がしたよ」
「それが魔力だ」
魔力で合ってた。
「その魔力をしっかり感じ取り、胸の奥か、腹の底に押し込めるイメージで、漏れ出ている魔力を止めるんだ」
胸の奥か、腹の底。
好みでいいらしい。
ほとんどの人は腹の底らしい。
丹田って場所なのかな?
私もきっとそこがイメージし易いかも。
目を閉じてイメージしてみる。
血流と同じように体内を巡る魔力。
腹に渦巻いて、腹の底へ押し込める。
漏れ出てくるな
漏れ出てくるな
漏れ出てくるな
呪文のように3回同じ言葉を心の中で繰り返した。
「それでいい」
「え!できた?」
「ああ、我も信じられないが、うまく出来ているぞ。
普通なら筋のあるやつでも数日はかかる。
筋のないやつは数ヶ月かかるから、長く付き合う気でおったのだがな」
うまく出来た感触はないけど出来たらしい。
「いつでも魔力を感知するようにしなさい。
自分の魔力、他人の魔力、自分の周りの魔素を感じなさい」
「魔素?」
「そうだ。魔素は酸素と同じように大気中や植物、生き物などにある物だ。
生き物は魔素を体内に取り込んで魔力にするのだ。
ちなみにシイの体は魔素100%だ」
ふーん
・・・・・・
え?
体が魔素100%って何?
「水分とか脂肪とか、どこいっちゃいました?」
「神にきけ。シイの体は人間ではない。
シイは、体が魔素で出来ている妖精だ」
カラダガマソデデキテイル
なぜだ・・・・・・
「神の娯楽と何か関連は?」
ドラゴンが困惑している私に助け舟を出してくれている。
神の娯楽・・・・・・
ひとりで考えても埒があかないと思って、早々に私がこの異世界に転生したワケを全て包み隠さずに伝えてみた。
「恐らくだが、3つの願い事の所為だろう。
睡眠、飲食の要らない体にすることが、体を魔素にする必要があったんだろう。
筋肉や血液などで構成されている生き物の体は、栄養摂取しないと生命を維持できないからな。
睡眠も同じだ。
睡眠が要らないってことは、疲労や体調不良を治すための体の休息時間が要らない、つまり、疲労や体調不良が起こらないってことだ」
「へー」
うーん、やらかしちゃったらしい・・・・・・
ていうかー!
全然説明なかった!!!!
神殿に行って神と会話出来たら速攻でクレームだな。
「因みに、我の体もシイと同じだ。
擬似的に血液や肉体があるが見掛けだけで、全て魔素だ。
魔素を取り込めば食事は不要だ。
だが、睡眠は必要だから、その辺りがシイのほうが格上なのだろうな」
私の3つのお願い事が最強の体を作っていたなんて。
最強になりたかったわけじゃないのだよ。
何かに怯え、何かに殺されたくないと思っただけなんだよ・・・・・・
夢だと思い込んですぐに現実だと理解しなかった自分の愚かさよ。
お茶菓子は苺のショートケーキ。
ホールで。
ひとり1ホール出して、切り分けたりせずにそのままをフォークで食べていく。
その美味しさにドラゴンは涎をこぼしてたよ。
私もこんな贅沢初めて。
ホールケーキを食べ終えて、現実逃避は終わった。
「何も心配することはない。
しばらくシイの傍にいて必要なことを教えるからな。
この家に我の寝床を作ってくれ」
いきなり同居!?
「報酬は異世界の美味しい食べ物、飲み物で良いぞ」
うわあ異世界あるあるだ。
地球の食べ物に興味が沸いて付き纏う異世界の生き物たち。
エンシェントドラゴン・・・・・・お前もか
23
あなたにおすすめの小説
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
私のアレに値が付いた!?
ネコヅキ
ファンタジー
もしも、金のタマゴを産み落としたなら――
鮎沢佳奈は二十歳の大学生。ある日突然死んでしまった彼女は、神様の代行者を名乗る青年に異世界へと転生。という形で異世界への移住を提案され、移住を快諾した佳奈は喫茶店の看板娘である人物に助けてもらって新たな生活を始めた。
しかしその一週間後。借りたアパートの一室で、白磁の器を揺るがす事件が勃発する。振り返って見てみれば器の中で灰色の物体が鎮座し、その物体の正体を知るべく質屋に持ち込んだ事から彼女の順風満帆の歯車が狂い始める。
自身を金のタマゴを産むガチョウになぞらえ、絶対に知られてはならない秘密を一人抱え込む佳奈の運命はいかに――
・産むのはタマゴではありません! お食事中の方はご注意下さいませ。
・小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
・小説家になろう様にて三十七万PVを突破。
【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる