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始まり〜シイ村
妖精シイ村最高
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「はぁ~~~いい湯だ~~~」
カポーン
こちら男湯5人。
他に客がまだ居ないので貸切だ。
昼食後、ギルマス達は全員一致で次の行動は入浴と決まり、大浴場で寛いでいる。
ガシガシ体を洗って、景色を見ながら湯船に浸かっているとどこからともなく流れ着いたお酒。
見たことのない透明のお酒。
エールのような泡が一切ない。
お酒か?この匂いはお酒だ。
「失礼します。こちらは村からのおもてなしでございます。
日本酒というお酒です。どうぞお召し上がりください」
どこから聞こえてきたのか、浴場を見渡すと隅に男が居た。
深く頭を垂れていた。
その一言でギルマス達は小さいお猪口にお酒を注いで飲み始め、瞬く間に日本酒が気に入った。
たったこれだけの量で良い具合に酔える!
日本酒の飲み方を知らない彼らは小さいお猪口で飲むのが面倒で、徳利でグビグビ飲んでしまい、すっかり出来上がってしまった。
ギルマスはお仕事があるから帰らなきゃいけないのだが、気持ちが良くてたまらない。
「あ~~~妖精シイ村最高~~~帰りたくなーい」
「私たちは延長しても良いようにスケジュールを組んできましたけど、ギルマスさんはダメですよ。
夜には帰らせてくださいって、受付のお嬢ちゃんにじぃっと見つめられて、お願いされちゃいましたからね~」
このメンバーで一番しっかりしていそうな商会長さんに目をつけた受付のお嬢ちゃんは、見送りに出た時に商会長さんの手を握って、ギルマスのことをお願いしますと訴えていたのを、商会長さんが暴露した。
「くぅ~~~せめて一泊でも」
「3時のおやつに起こして差し上げますから、それまでぐっすりお休みください」
「ここで寝たら死にますよー」
「ここで死んでもいいかも~」
「受付のお嬢さんに必ず生きた状態で帰らせてくださいって頼まれたんです~」
「受付のスタッフさん、可愛かったです。
やっぱり彼氏いるのでしょうか?
シイ村デートに誘いたいです」
孤児院スタッフがお猪口を片手に本音を漏らした。
「あれ?そういえば、この村に良い年頃の女の子っていましたか?」
「・・・・・・シイ様?」
「・・・・・・シイ様以外には居ませんね。見かけていません」
「・・・・・・女を派遣せねばな。早急に」
真面目な顔をしてギルマスが呟いた。
「あ、そういえば、子ども相手のお仕事する人を募集してましたよね?」
孤児院スタッフはこの村の一員になる方法を考えていたら、ギルドでチラ見した募集を思い出した。
「ああ、ナニーだっけか」
「ナニーですか。
僕でもできますかね」
「ナニーは女って決まってるからな、却下」
容赦のないギルマス。
勝手に応募を却下してしまった。
「あれだ!シイ様は妖精だからな!
当たって砕けろだ。自分を売り込め!
だがここに、女はいない!いいのか!?」
良くない!
大浴場に全員の心の声が響いた。
スッと商会長が挙手した。
「そこは私にお任せを。
シイ村に派遣するスタッフは女性限定にしましょう」
怪しい笑みを浮かべている。
「おいおいおい、狼の巣に子猫ちゃんを入れちゃって大丈夫なんです?」
兵士がまともな事を言った。
「見た感じここの村人は安全そうですよ」
「ああ、安全だ。
村人全員、悪さしねえよう制約がかかってるみたいだぜ。
あれだ、シイ様の仕業だろうよ」
ギルマスは元冒険者。
それなりに人物鑑定も少しできる。
怪しい村に足を踏み入れるのだから、警戒して手当たり次第に全員に鑑定して確認していたのだ。
結果、シイの呪いを受けた村人が善良に生活しているだけの村だとわかったのだが。
シイ村の村人は犯罪を犯せない。犯してはいけない。
彼らは一体、過去に何をしたのか。
さすがに「元盗賊」という部分はギルマスには鑑定できなかった。
村人は善良で悪さができないから、村は安全、なのだが、奇妙で不気味であると、ちょっと鳥肌がたっていたギルマス。
他のみんなもちょっと酔いが覚めてしまった。
やっぱり妖精は恐ろしい。
決して逆らってはいけない存在だと、改めて認識してみんなで湯船から上がった。
「寝よ寝よー!」
気を取り直して、ふかふかベッドで寝て不吉なことは忘れることにした彼らであった。
しかしそのベッドに辿り着く前に、逃れられぬ罠があることを彼らは知らなかった。
魔道具のドライヤー
マッサージチェア
瓶牛乳
有料のものもあるが、本日はご招待のため無料で使えると言われたら、使わなきゃ損だ。
まずは喉を潤そうと瓶牛乳を貰う。
紙製の蓋がしてあって、初めて見るものだから開け方がわからない。
影のように隅に控えていた村人スタッフが開け方を説明したが、指が太くて開けらない人が居た。
助け合いながら全員あけると、
「これの飲み方は、この様に瓶を持ちまして、空いた方の片手をこのように腰に当て、グビっと一気に飲み干します」
村人スタッフが実演をした。
ゴクゴクゴク・・・・・・
良い飲みっぷりである。
「ぷはー!」
爽やかな顔に牛乳ひげ。
腰に当てていた手の袖でぐいっと拭いて、親指を立て、腕を伸ばし、キラーンと歯を輝かせた。
「さあ、みなさんもどうぞ!」
戸惑いながらも真似をした御一行でした。
カポーン
こちら男湯5人。
他に客がまだ居ないので貸切だ。
昼食後、ギルマス達は全員一致で次の行動は入浴と決まり、大浴場で寛いでいる。
ガシガシ体を洗って、景色を見ながら湯船に浸かっているとどこからともなく流れ着いたお酒。
見たことのない透明のお酒。
エールのような泡が一切ない。
お酒か?この匂いはお酒だ。
「失礼します。こちらは村からのおもてなしでございます。
日本酒というお酒です。どうぞお召し上がりください」
どこから聞こえてきたのか、浴場を見渡すと隅に男が居た。
深く頭を垂れていた。
その一言でギルマス達は小さいお猪口にお酒を注いで飲み始め、瞬く間に日本酒が気に入った。
たったこれだけの量で良い具合に酔える!
日本酒の飲み方を知らない彼らは小さいお猪口で飲むのが面倒で、徳利でグビグビ飲んでしまい、すっかり出来上がってしまった。
ギルマスはお仕事があるから帰らなきゃいけないのだが、気持ちが良くてたまらない。
「あ~~~妖精シイ村最高~~~帰りたくなーい」
「私たちは延長しても良いようにスケジュールを組んできましたけど、ギルマスさんはダメですよ。
夜には帰らせてくださいって、受付のお嬢ちゃんにじぃっと見つめられて、お願いされちゃいましたからね~」
このメンバーで一番しっかりしていそうな商会長さんに目をつけた受付のお嬢ちゃんは、見送りに出た時に商会長さんの手を握って、ギルマスのことをお願いしますと訴えていたのを、商会長さんが暴露した。
「くぅ~~~せめて一泊でも」
「3時のおやつに起こして差し上げますから、それまでぐっすりお休みください」
「ここで寝たら死にますよー」
「ここで死んでもいいかも~」
「受付のお嬢さんに必ず生きた状態で帰らせてくださいって頼まれたんです~」
「受付のスタッフさん、可愛かったです。
やっぱり彼氏いるのでしょうか?
シイ村デートに誘いたいです」
孤児院スタッフがお猪口を片手に本音を漏らした。
「あれ?そういえば、この村に良い年頃の女の子っていましたか?」
「・・・・・・シイ様?」
「・・・・・・シイ様以外には居ませんね。見かけていません」
「・・・・・・女を派遣せねばな。早急に」
真面目な顔をしてギルマスが呟いた。
「あ、そういえば、子ども相手のお仕事する人を募集してましたよね?」
孤児院スタッフはこの村の一員になる方法を考えていたら、ギルドでチラ見した募集を思い出した。
「ああ、ナニーだっけか」
「ナニーですか。
僕でもできますかね」
「ナニーは女って決まってるからな、却下」
容赦のないギルマス。
勝手に応募を却下してしまった。
「あれだ!シイ様は妖精だからな!
当たって砕けろだ。自分を売り込め!
だがここに、女はいない!いいのか!?」
良くない!
大浴場に全員の心の声が響いた。
スッと商会長が挙手した。
「そこは私にお任せを。
シイ村に派遣するスタッフは女性限定にしましょう」
怪しい笑みを浮かべている。
「おいおいおい、狼の巣に子猫ちゃんを入れちゃって大丈夫なんです?」
兵士がまともな事を言った。
「見た感じここの村人は安全そうですよ」
「ああ、安全だ。
村人全員、悪さしねえよう制約がかかってるみたいだぜ。
あれだ、シイ様の仕業だろうよ」
ギルマスは元冒険者。
それなりに人物鑑定も少しできる。
怪しい村に足を踏み入れるのだから、警戒して手当たり次第に全員に鑑定して確認していたのだ。
結果、シイの呪いを受けた村人が善良に生活しているだけの村だとわかったのだが。
シイ村の村人は犯罪を犯せない。犯してはいけない。
彼らは一体、過去に何をしたのか。
さすがに「元盗賊」という部分はギルマスには鑑定できなかった。
村人は善良で悪さができないから、村は安全、なのだが、奇妙で不気味であると、ちょっと鳥肌がたっていたギルマス。
他のみんなもちょっと酔いが覚めてしまった。
やっぱり妖精は恐ろしい。
決して逆らってはいけない存在だと、改めて認識してみんなで湯船から上がった。
「寝よ寝よー!」
気を取り直して、ふかふかベッドで寝て不吉なことは忘れることにした彼らであった。
しかしそのベッドに辿り着く前に、逃れられぬ罠があることを彼らは知らなかった。
魔道具のドライヤー
マッサージチェア
瓶牛乳
有料のものもあるが、本日はご招待のため無料で使えると言われたら、使わなきゃ損だ。
まずは喉を潤そうと瓶牛乳を貰う。
紙製の蓋がしてあって、初めて見るものだから開け方がわからない。
影のように隅に控えていた村人スタッフが開け方を説明したが、指が太くて開けらない人が居た。
助け合いながら全員あけると、
「これの飲み方は、この様に瓶を持ちまして、空いた方の片手をこのように腰に当て、グビっと一気に飲み干します」
村人スタッフが実演をした。
ゴクゴクゴク・・・・・・
良い飲みっぷりである。
「ぷはー!」
爽やかな顔に牛乳ひげ。
腰に当てていた手の袖でぐいっと拭いて、親指を立て、腕を伸ばし、キラーンと歯を輝かせた。
「さあ、みなさんもどうぞ!」
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