魔法使い君の日常

佐々木猫八

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果実ソーダ搾りたて

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買い物(ほぼお菓子)を終えた勇者と魔法使いはてくてくと待ち合わせの宿まで戻る。
魔法使いが疲れたからだ、精神的にも肉体的にも(ダッシュで疲れた)。

宿に戻ると戦士と賢者がテーブルにつき飲み物を飲んでいた。

「ああ、おかえりなさい魔法使い、お疲れ様でした」
「おう、お疲れ!」

魔法使いは無言で頷くと、賢者の隣の席に座る。
それを見て賢者は一瞬にまりと笑うも、直ぐにいつもの人の良さそうな微笑みを貼り付ける。

「魔法使いも一杯飲むか?」

魔法使いの返事も聞かぬまま、戦士は飲み物を注文する。
勿論、注文するのは魔法使いのもののみだ。
勇者はと言うと、特別期にすることもなく魔法使いと同じのを、と自分で注文する。
ただ、席に対しては不満げで、賢者と戦士の間に空いていたの1席に魔法使いが座ったため、勇者は魔法使いの隣に座れなかった。
仕方なく空いた席に座っている。
隙あらば代わりたい、むしろ隣の席を奪いたいと考えていた。

「へい、おまち!」

運ばれてきた飲み物は酒、ではなくこの港でよく飲まれている無糖炭酸に果実の果汁を絞った果実ソーダだった。
少し暑い気温のこの街では、よく冷やしたさっぱり果実のソーダが人気だ。
特にこの宿のものは果実をその場で切って絞ってくれるので新鮮で美味しい。
夜はこれがお酒のソーダに搾りたて果汁を加えて飲むと最高に美味いのだ。
作り置きでは出せない搾りたてをぜひ飲んでほしいところだ。

「・・・ありがとう」

魔法使いは遠慮なく飲み始める。
勇者の買い物(お守り)をした疲労感が、果実ソーダで労われて行くのが喉越しでわかる。
解放の一杯は格別だ。
まだ昼を少し回ったくらいなのに一日の仕事を終えた感がある。

「疲れてるなら部屋で休んでてもいいぞ?盗賊が戻るのはもう少し後だろうからな」
「それは有り難いけど・・・盗賊は何かあったのか?」

旅慣れた盗賊が補給や支度に手間取るとは思えず魔法使いは疑問を口にする。

「ああ先の大陸の地図を探してるんだが、どうやらまだそういうのが詳しく作られてない大陸らしくてな。あるにはあるらしいんだけど、出回ってるのが港のある海岸の街周辺と、そのちょっと先の街までなんだと。向こうの大陸と取引のある商人ならもっと詳しい地図を作ってるかもしれんから交渉してくるって言ってたぞ」
「地図、交易ルートの情報は商人にとってはかなり大切なものですからね・・・お金で解決できれば楽なのですが・・・」

戦士の説明に賢者が少し困り顔でため息をつく。

「まあ、盗賊の帰りを待とう。なんだかんだであいつは優秀だからな、なんとかしてくるだろうぜ」

笑いながら戦士は果実ソーダのジョッキを傾けた。
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