46 / 101
エルフの森編
第45話 エルフの惨劇
しおりを挟む
サラザールは険しい表情をしながら洞穴から出てきた。
「サラザール!」
ソウタは安心したのか、飛び出してサラザールの下に駆け寄った。
「お前は……、まさか本当に1ヵ月で辿り着くとは……」
サラザールはソウタが辿り着くとは思っておらず、面を喰らった顔をして驚いていた。サラザールの予想では東の洞穴に辿り着くには少なくとも2ヵ月はかかると思っていた。ましてやこの森の事を全く知らないソウタ達が辿り着くとは到底思っていなかったのだ。
「なんでサラザールがここに?」
「約束の1ヵ月だから先に到着したんだが、不穏な空気が流れていたのでな、入り口に入ってみたんだが……」
サラザールの表情は険しいままだ、ソウタはそっと中を入り口から覗いてみた。血生臭い匂いが鼻をツンと刺激する。薄暗く左右の壁の松明だけでは何が起こっているのかわからない。ソウタは恐る恐るサラザールに中の様子を聞いてみた。
「なぁ、サラザール……中って……」
「あぁ、中の資源はほとんどなくなっている」
「そんな……」
シーナは両手を口に当てて、驚愕する。まさか密猟者がここに来ていたなんて。
「そんな! ここの場所はエルフにしかまだ知られてないはずっすよ! なんでここがわかってるんっすか!?」
「わかってることは1つだ」
サラザールは何かを確信しているようだ。
「それじゃ、やっぱり……」
「エルフの中に裏切り者がいるってことだ」
サラザールの言葉に空気が一瞬で凍り付く。エルフの中に裏切り者がいるとは思いたくなかったが、東の洞穴の場所が知っているのはエルフのみ、となればこの場所が知られているということは裏切り者がいるという事だ。
「この中で働いていたエルフのみんなは?」
「見ない方がいい……これ以上行けばトラウマになるだけだろうからな」
「それじゃみんな……?」
サラザールの話によれば、中はとても凄惨な光景が広がっていたようだ。エルフの体は無残に引き裂かれ、肉片が飛び散っていてサラザールも中に長く居なかったようだ。原型のある遺体のみ、サラザールは埋葬したと話す。
「入り口にいたエルフの傭兵はどこ行ったんすか?」
サラザールは目を瞑りながら、ある方向を指さす。指を差した先は上方向、森の方角を指し示している。ソウタ達が指をさす方向を振り返った。
「え……?」
「これは、酷いな……」
「……うっ、おえぇぇぇ」
「リンプー……、グイッチ……」
蔓でグルグルに巻かれ、体からはもう血が干からびており、綺麗な白く長い髪はなびいている。口からはウジ虫が湧いているようだ、おそらく長いこと放置されているのだろう。不穏な空気で気が付かなかったが、無残な姿を見ると、途端に刺激的な腐敗臭が鼻を襲い掛かる。この匂いは……嫌な気持ちより怒りの方が強くなる。ソウタはそう感じた。
「くそ、ここまでするのかよ……」
「今度の密猟者はただの密猟者ではなさそうだな」
サラザールは淡々と答える。
「どういうことだよ?」
「目的がただの資源漁りではないような気がしてな……」
サラザールは何かが気になるようだ。しかし、それが何なのかはわからない。フィルとアエルは泣きながら、エルフを地面におろした。
「あぁぁぁ! リンプー! グイッチ!」
「なんで、2人が……」
2人は泣き崩れ、横たわるエルフに抱きつく。
「ソウタ……お願いがある」
サラザールが遠くを見据えながら話し始めた。
「なに?」
「一緒に密猟者を見つけてほしい、お前たちは私の与えた無理難題をやり遂げた。恐らく、密猟者に対抗するにはお前たちが必要だ」
サラザールの言葉にソウタは少し照れくさそうに答えた。
「こんな光景を見て、断る方がおかしいだろ? 絶対捕まえようぜ!」
「ありがとう……」
サラザールは軽く微笑んでいたが、その瞳の奥は強く怒りが滲み出ていた。
「さて、そうと決まれば今日は一旦休もうか、疲れただろう」
「えっ? ここで?」
「さすがにここはまずいだろう……、逆に寝れるのか?」
「いや、無理だろ!」
ソウタたちは東の洞穴から少し離れた場所でテントを張り、夕食を取りながら密猟者の対策を考えていた。
「そういえばサラザール、密猟者の正体は何となくついてんの?」
サラザールは夕食を食べながら、淡々と答える。
「まぁ、何となくだがな。だがまだ確証は持てんな」
「まぁ、ソウタ、今は考えても仕方ない、明日に備えて今は食べたらどうだ?」
「そう……だな! 腹いっぱいに食べるしかないか」
ソウタは目の前に広がる大量の食事を、目一杯口に含んでいく。
「バカ! ソウタ、そんなに食うと私の分がなくなっちゃうじゃん!」
「もう、ほとんど私の分がなくなってる……」
ソウタ達は密猟者を捕まえるため、力を蓄えぐっすりと眠った。
「サラザール!」
ソウタは安心したのか、飛び出してサラザールの下に駆け寄った。
「お前は……、まさか本当に1ヵ月で辿り着くとは……」
サラザールはソウタが辿り着くとは思っておらず、面を喰らった顔をして驚いていた。サラザールの予想では東の洞穴に辿り着くには少なくとも2ヵ月はかかると思っていた。ましてやこの森の事を全く知らないソウタ達が辿り着くとは到底思っていなかったのだ。
「なんでサラザールがここに?」
「約束の1ヵ月だから先に到着したんだが、不穏な空気が流れていたのでな、入り口に入ってみたんだが……」
サラザールの表情は険しいままだ、ソウタはそっと中を入り口から覗いてみた。血生臭い匂いが鼻をツンと刺激する。薄暗く左右の壁の松明だけでは何が起こっているのかわからない。ソウタは恐る恐るサラザールに中の様子を聞いてみた。
「なぁ、サラザール……中って……」
「あぁ、中の資源はほとんどなくなっている」
「そんな……」
シーナは両手を口に当てて、驚愕する。まさか密猟者がここに来ていたなんて。
「そんな! ここの場所はエルフにしかまだ知られてないはずっすよ! なんでここがわかってるんっすか!?」
「わかってることは1つだ」
サラザールは何かを確信しているようだ。
「それじゃ、やっぱり……」
「エルフの中に裏切り者がいるってことだ」
サラザールの言葉に空気が一瞬で凍り付く。エルフの中に裏切り者がいるとは思いたくなかったが、東の洞穴の場所が知っているのはエルフのみ、となればこの場所が知られているということは裏切り者がいるという事だ。
「この中で働いていたエルフのみんなは?」
「見ない方がいい……これ以上行けばトラウマになるだけだろうからな」
「それじゃみんな……?」
サラザールの話によれば、中はとても凄惨な光景が広がっていたようだ。エルフの体は無残に引き裂かれ、肉片が飛び散っていてサラザールも中に長く居なかったようだ。原型のある遺体のみ、サラザールは埋葬したと話す。
「入り口にいたエルフの傭兵はどこ行ったんすか?」
サラザールは目を瞑りながら、ある方向を指さす。指を差した先は上方向、森の方角を指し示している。ソウタ達が指をさす方向を振り返った。
「え……?」
「これは、酷いな……」
「……うっ、おえぇぇぇ」
「リンプー……、グイッチ……」
蔓でグルグルに巻かれ、体からはもう血が干からびており、綺麗な白く長い髪はなびいている。口からはウジ虫が湧いているようだ、おそらく長いこと放置されているのだろう。不穏な空気で気が付かなかったが、無残な姿を見ると、途端に刺激的な腐敗臭が鼻を襲い掛かる。この匂いは……嫌な気持ちより怒りの方が強くなる。ソウタはそう感じた。
「くそ、ここまでするのかよ……」
「今度の密猟者はただの密猟者ではなさそうだな」
サラザールは淡々と答える。
「どういうことだよ?」
「目的がただの資源漁りではないような気がしてな……」
サラザールは何かが気になるようだ。しかし、それが何なのかはわからない。フィルとアエルは泣きながら、エルフを地面におろした。
「あぁぁぁ! リンプー! グイッチ!」
「なんで、2人が……」
2人は泣き崩れ、横たわるエルフに抱きつく。
「ソウタ……お願いがある」
サラザールが遠くを見据えながら話し始めた。
「なに?」
「一緒に密猟者を見つけてほしい、お前たちは私の与えた無理難題をやり遂げた。恐らく、密猟者に対抗するにはお前たちが必要だ」
サラザールの言葉にソウタは少し照れくさそうに答えた。
「こんな光景を見て、断る方がおかしいだろ? 絶対捕まえようぜ!」
「ありがとう……」
サラザールは軽く微笑んでいたが、その瞳の奥は強く怒りが滲み出ていた。
「さて、そうと決まれば今日は一旦休もうか、疲れただろう」
「えっ? ここで?」
「さすがにここはまずいだろう……、逆に寝れるのか?」
「いや、無理だろ!」
ソウタたちは東の洞穴から少し離れた場所でテントを張り、夕食を取りながら密猟者の対策を考えていた。
「そういえばサラザール、密猟者の正体は何となくついてんの?」
サラザールは夕食を食べながら、淡々と答える。
「まぁ、何となくだがな。だがまだ確証は持てんな」
「まぁ、ソウタ、今は考えても仕方ない、明日に備えて今は食べたらどうだ?」
「そう……だな! 腹いっぱいに食べるしかないか」
ソウタは目の前に広がる大量の食事を、目一杯口に含んでいく。
「バカ! ソウタ、そんなに食うと私の分がなくなっちゃうじゃん!」
「もう、ほとんど私の分がなくなってる……」
ソウタ達は密猟者を捕まえるため、力を蓄えぐっすりと眠った。
1
あなたにおすすめの小説
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~
さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。
全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。
ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。
これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる