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ドワーフの国編
第92話 セラヴィアとオーティラ
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”金属腐敗症”
セラヴィアがかかっている病名だ。腐った金属の粉末を体内に取り込み、肺から徐々に金属のように硬直していく病気で、セラヴィアが助かるには莫大な医療費が必要で、歩くこともままならなかった。
はずだった……
今、目の前に立っているセラヴィアはそんな病気にかかっているのが嘘のように2つの足で立ち、ギフト鉱石を保管していた強化ガラスをぶち破り、手にギフト鉱石を持っている。
「なんで、セラヴィアがここにいるのよ?」
「おのれ、魔王軍! ギフト鉱石は渡さんぞ!」
ルドーはすぐさま戦闘態勢に入り、魔法の詠唱を始めた。しかし、オーティラが仲裁に入り、魔法を唱えようとするルドーを制止した。
「待って! あの子は違うのよ!」
「どこが違うんだ! ギフト鉱石を奪おうとしてるじゃないか!」
「だから、これは違うんだって、きっと理由があるのよ!」
ルドーとオーティラは言い合いを始め、ソウタは何が起こったのか理解ができなかった。
「どうしてセラヴィアちゃんが……? 家で待ってたはずじゃ」
セラヴィアの様子はどこかおかしい、不敵に笑顔をみせ、目は大きく見開いている。離れていても肌にビリビリと感じるほどの異様な魔力をずっと放ち続けている。
「ねぇ、おねぇちゃん見て? 私両足で立てるようになったよ?」
「セラヴィア……?」
次の瞬間、オーティラの腹部を火球が襲った。火球はオーティラに直撃し、業火がオーティラを包み込んだ。
「きゃぁあ!」
「テトラ! おのれ!」
ルドーは水流魔法を唱え、オーティラの身体を冷やすと同時に、セラヴィアを水流の渦で閉じこめようとした。しかし、セラヴィアには通用しなかった。不気味に高笑いをしながら、セラヴィアは水流魔法に業火魔法をぶつけ、室内は一瞬にして濃霧と化した。
「くそ、ま、前が見えん!」
ルドーが周囲を確認するより早く、セラヴィアはルドーの懐に潜り、ルドーの身体に直接手を当てると、そのまま業火魔法をルドーにぶつけた。内臓が焼かれたのか、口から蒸気が立ちこめる。
「があぁぁ! っあ……」
ルドーは一瞬にして気を失い、その場に前のめりに倒れこんだ。ソウタは濃霧のせいで周りを目視することができない。五感を頼りにするが、聞こえてきたのはルドーのうめき声と、何かが焼かれるような聞きたくない音のみ。
「やばい、全然見えないぞ!」
「音だけが頼りだな……」
「確かに、ってことはあの時の動きだな!」
ソウタはすぐに理解した、ハントの森で培った動きを実践した。気配を消し、セラヴィアの気配を辿る。濃霧の中でも微かな気配を頼りにセラヴィアの動きを把握しようとした時、ソウタはふと疑問に思った。
「ん? 待てよ」
「どうした?」
「いや、え~っと」
そう、自身の圧倒的な力に。濃霧が邪魔なら、濃霧をどかせばいいと考えたのだ。転生したときに手に入れた、上限解放によって濃霧をどかせばいいと。ソウタはおもむろに両手を広げ、両腕に神経を集中させる。神さまもすぐにソウタがしようとしていることが理解できた。
「おい、もしかして……」
「うおりゃぁ!」
ソウタは目にも止まらぬ速さで両腕をクロスさせた。クロスさせたことで生じる切り裂くような突風は濃霧を一瞬で吹き飛ばし、セラヴィアの位置を明かした。
「えっ?」
セラヴィアは一瞬驚いた表情を浮かべたが、すぐに笑みを浮かべた。傷ついた体を無理やり起こしながら目の前で起こったことが理解できないオーティラ。
「な、なに? 今の、突風? ソウタは魔法を使えるの?」
「あ、え~っと俺魔法もスキルも使えないんだよね、使えるのは物理的な力だけ」
ソウタは左手をグーパーを何度もしながら、オーティラに力が強いことをアピールした。
「使えない?」
「そうなんです、残念ですが……」
神さまはぺこりと頭を下げ、その光景を見たソウタは沸騰した水のように怒った。
「誰のせいで、こうなったと思ってるんだよ!」
「ははっ、あれ? そういえばソウタの顔が変わってきているな?」
「え、ほんと? オーティラの変身魔法全然役に立たなかったじゃん」
ソウタとオーティラの顔が徐々変化し、元の顔に戻り始めた。オーティラはゆっくりと立ち上がり、体のゴミを手で払った。
「まぁ、即席でこの程度か……上等上等」
「ん? 即席? どういうこと……」
ソウタがオーティラに話を聞こうとすると、突然セラヴィアが口を開いた。
「私ね、ずっとおねぇちゃんが羨ましかったんだよね……」
セラヴィアがかかっている病名だ。腐った金属の粉末を体内に取り込み、肺から徐々に金属のように硬直していく病気で、セラヴィアが助かるには莫大な医療費が必要で、歩くこともままならなかった。
はずだった……
今、目の前に立っているセラヴィアはそんな病気にかかっているのが嘘のように2つの足で立ち、ギフト鉱石を保管していた強化ガラスをぶち破り、手にギフト鉱石を持っている。
「なんで、セラヴィアがここにいるのよ?」
「おのれ、魔王軍! ギフト鉱石は渡さんぞ!」
ルドーはすぐさま戦闘態勢に入り、魔法の詠唱を始めた。しかし、オーティラが仲裁に入り、魔法を唱えようとするルドーを制止した。
「待って! あの子は違うのよ!」
「どこが違うんだ! ギフト鉱石を奪おうとしてるじゃないか!」
「だから、これは違うんだって、きっと理由があるのよ!」
ルドーとオーティラは言い合いを始め、ソウタは何が起こったのか理解ができなかった。
「どうしてセラヴィアちゃんが……? 家で待ってたはずじゃ」
セラヴィアの様子はどこかおかしい、不敵に笑顔をみせ、目は大きく見開いている。離れていても肌にビリビリと感じるほどの異様な魔力をずっと放ち続けている。
「ねぇ、おねぇちゃん見て? 私両足で立てるようになったよ?」
「セラヴィア……?」
次の瞬間、オーティラの腹部を火球が襲った。火球はオーティラに直撃し、業火がオーティラを包み込んだ。
「きゃぁあ!」
「テトラ! おのれ!」
ルドーは水流魔法を唱え、オーティラの身体を冷やすと同時に、セラヴィアを水流の渦で閉じこめようとした。しかし、セラヴィアには通用しなかった。不気味に高笑いをしながら、セラヴィアは水流魔法に業火魔法をぶつけ、室内は一瞬にして濃霧と化した。
「くそ、ま、前が見えん!」
ルドーが周囲を確認するより早く、セラヴィアはルドーの懐に潜り、ルドーの身体に直接手を当てると、そのまま業火魔法をルドーにぶつけた。内臓が焼かれたのか、口から蒸気が立ちこめる。
「があぁぁ! っあ……」
ルドーは一瞬にして気を失い、その場に前のめりに倒れこんだ。ソウタは濃霧のせいで周りを目視することができない。五感を頼りにするが、聞こえてきたのはルドーのうめき声と、何かが焼かれるような聞きたくない音のみ。
「やばい、全然見えないぞ!」
「音だけが頼りだな……」
「確かに、ってことはあの時の動きだな!」
ソウタはすぐに理解した、ハントの森で培った動きを実践した。気配を消し、セラヴィアの気配を辿る。濃霧の中でも微かな気配を頼りにセラヴィアの動きを把握しようとした時、ソウタはふと疑問に思った。
「ん? 待てよ」
「どうした?」
「いや、え~っと」
そう、自身の圧倒的な力に。濃霧が邪魔なら、濃霧をどかせばいいと考えたのだ。転生したときに手に入れた、上限解放によって濃霧をどかせばいいと。ソウタはおもむろに両手を広げ、両腕に神経を集中させる。神さまもすぐにソウタがしようとしていることが理解できた。
「おい、もしかして……」
「うおりゃぁ!」
ソウタは目にも止まらぬ速さで両腕をクロスさせた。クロスさせたことで生じる切り裂くような突風は濃霧を一瞬で吹き飛ばし、セラヴィアの位置を明かした。
「えっ?」
セラヴィアは一瞬驚いた表情を浮かべたが、すぐに笑みを浮かべた。傷ついた体を無理やり起こしながら目の前で起こったことが理解できないオーティラ。
「な、なに? 今の、突風? ソウタは魔法を使えるの?」
「あ、え~っと俺魔法もスキルも使えないんだよね、使えるのは物理的な力だけ」
ソウタは左手をグーパーを何度もしながら、オーティラに力が強いことをアピールした。
「使えない?」
「そうなんです、残念ですが……」
神さまはぺこりと頭を下げ、その光景を見たソウタは沸騰した水のように怒った。
「誰のせいで、こうなったと思ってるんだよ!」
「ははっ、あれ? そういえばソウタの顔が変わってきているな?」
「え、ほんと? オーティラの変身魔法全然役に立たなかったじゃん」
ソウタとオーティラの顔が徐々変化し、元の顔に戻り始めた。オーティラはゆっくりと立ち上がり、体のゴミを手で払った。
「まぁ、即席でこの程度か……上等上等」
「ん? 即席? どういうこと……」
ソウタがオーティラに話を聞こうとすると、突然セラヴィアが口を開いた。
「私ね、ずっとおねぇちゃんが羨ましかったんだよね……」
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