転生したら、ステータスの上限がなくなったので脳筋プレイしてみた

Mr.Six

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ドワーフの国編

第93話 あの方とギフト鉱石

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 オーティラが羨ましかった。セラヴィアは確かにそう言った。

「セラヴィア……あなた病気は?」

「治ったよ……、もう全然平気」

 セラヴィアの病気は完治していた。身体が金属に変化し、歩くことすら難しい病気がこの短時間で完治するはずがない。オーティラは大きな声で叫んだ。

「嘘よ! 治るわけない、どうやって治したのよ!」

「治ってなかったら、ここにいるわけないでしょ?」

「じゃあ、そのギフト鉱石は何? セラヴィアには不要でしょ!」

 セラヴィアはオーティラの言葉を聞いて、ギフト鉱石を握っている腕に力が込める。

「これはあの方に必要な物よ、おねぇちゃんは黙ってて!」

「あの方? その人があなたの病気を?」

「そうよ!」

 セラヴィアの顔は目を大きく見開き、鬼のような形相でオーティラ達を睨んだ。目の奥は酷く澱んでいる。まるでブラックホールのようにすべてを吸い込むように黒く、深く、不気味で、ソウタ達は思わず唾を飲み込んだ。

「あの方は私の病気を治してくれた、おねぇちゃんじゃ治せないこの病気を! あの方のお願いはこのギフト鉱石を奪い取る事、魔力も分けてくれたのよ?」

「その人はギフト鉱石で何をするって?」

「世界をひっくり返すの、私はそのお手伝いをするだけ」

「セラヴィアちゃん、君は利用されてるだけだ! 目を覚ませ!」

「利用されててもいい! 私は自由を手に入れることができるのなら悪魔にだって魂を売るわ! 私の邪魔をしないで!」

 セラヴィアはそう言って戦闘態勢に入った。

「セラヴィアやめて!」

「ダメだよ、おそらく何かを吹き込まれてるんだ」

 ソウタがセラヴィアと戦おうとするが神さまが何かに気づいた。

「ソウタ、セラヴィアちゃんの胸元をみるんだ!」

 神さまに言われた通り、セラヴィアの胸元に視線を向けた。赤く何かの模様が胸元に刻まれている。それは十字架のようで何かがグルグルと巻き付いているような模様だった。オーティラはすぐに気付いた。

「あれは、死霊魔法!? まさか……セラヴィア」

 オーティラは唇を噛みしめ、瞳に涙を浮かべた。ソウタはオーティラにどういうことか尋ねた。

「な、なんだよ死霊魔法って」

「死者を操る、操作系の魔法よ。本人の意思に反して自在に操れる。通常ある程度の距離でしか使用できない魔法だけど、姿が見えないってことは相当な手練れの敵ね……」

「え、待って、死者って?」

「そう、セラヴィアはもう……」

 そういって、オーティラ下を向いて、悔しそうな表情を浮かべ、ソウタは顔面蒼白になった。目の前にいるセラヴィアは死んでいる? 信じられるはずがない、現に今こうして喋っているのに。

「悲観に浸るのはまだ早そうだよ?」

 神さまの言葉でオーティラは顔を上げた。

「どういうこと?」

「死霊魔法は死者を操る魔法のはずだよ、だけど、セラヴィアちゃんは話もしてるし、魔法も使えてる……ちゃんと意識があるんだ」

「意識がある……?」

「そう、おそらく、セラヴィアちゃんの心を支配し操作する魔法なんだろ、むごいことするね、これじゃ死者と何ら変わらないよ」

「どうすれば、その魔法から抜け出せるんだ?」

「意識のある者を対象としてるはずだから、意識を失わせれば何とかなるかもしれない、でももし死んでいるとしたら……」

「二度と会えないかもしれないのね……」

 オーティラの言葉に静かに神さまは頷いた。ソウタは怒りに満ちて、指をポキポキと鳴らした。

「なんだ、そういう事ならお安い御用だってんだよ」

「手加減しなよ? いつもの感じで行けば、セラヴィアちゃんの身体は粉々になるんだからね」

「え、何? 何をするつもり?」

 オーティラはこれから起こることが理解できない。ソウタは軽い屈伸運動をして、両足に力を溜めた。爆発力を高めたソウタの脚力は地面を抉り、一瞬にしてセラヴィアの懐に潜り込んだ。

「早い! くっ」

 セラヴィアが気が付いた時にはすでにソウタの右拳が腹に撃ち込まれていた。

「うぐっ!」

 セラヴィアは全身の力がまるで綿のように抜け、その場で意識を失い倒れた。ソウタは頭を打たないよう、セラヴィアを優しく抱きかかえる。

「セラヴィア!」

 オーティラは自分の傷の事を忘れ、一目散にセラヴィアに駆け寄った。ソウタ達がセラヴィアに駆け寄り心配している後ろから、黒いシルエットが近づく。
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