94 / 101
ドワーフの国編
第93話 あの方とギフト鉱石
しおりを挟む
オーティラが羨ましかった。セラヴィアは確かにそう言った。
「セラヴィア……あなた病気は?」
「治ったよ……、もう全然平気」
セラヴィアの病気は完治していた。身体が金属に変化し、歩くことすら難しい病気がこの短時間で完治するはずがない。オーティラは大きな声で叫んだ。
「嘘よ! 治るわけない、どうやって治したのよ!」
「治ってなかったら、ここにいるわけないでしょ?」
「じゃあ、そのギフト鉱石は何? セラヴィアには不要でしょ!」
セラヴィアはオーティラの言葉を聞いて、ギフト鉱石を握っている腕に力が込める。
「これはあの方に必要な物よ、おねぇちゃんは黙ってて!」
「あの方? その人があなたの病気を?」
「そうよ!」
セラヴィアの顔は目を大きく見開き、鬼のような形相でオーティラ達を睨んだ。目の奥は酷く澱んでいる。まるでブラックホールのようにすべてを吸い込むように黒く、深く、不気味で、ソウタ達は思わず唾を飲み込んだ。
「あの方は私の病気を治してくれた、おねぇちゃんじゃ治せないこの病気を! あの方のお願いはこのギフト鉱石を奪い取る事、魔力も分けてくれたのよ?」
「その人はギフト鉱石で何をするって?」
「世界をひっくり返すの、私はそのお手伝いをするだけ」
「セラヴィアちゃん、君は利用されてるだけだ! 目を覚ませ!」
「利用されててもいい! 私は自由を手に入れることができるのなら悪魔にだって魂を売るわ! 私の邪魔をしないで!」
セラヴィアはそう言って戦闘態勢に入った。
「セラヴィアやめて!」
「ダメだよ、おそらく何かを吹き込まれてるんだ」
ソウタがセラヴィアと戦おうとするが神さまが何かに気づいた。
「ソウタ、セラヴィアちゃんの胸元をみるんだ!」
神さまに言われた通り、セラヴィアの胸元に視線を向けた。赤く何かの模様が胸元に刻まれている。それは十字架のようで何かがグルグルと巻き付いているような模様だった。オーティラはすぐに気付いた。
「あれは、死霊魔法!? まさか……セラヴィア」
オーティラは唇を噛みしめ、瞳に涙を浮かべた。ソウタはオーティラにどういうことか尋ねた。
「な、なんだよ死霊魔法って」
「死者を操る、操作系の魔法よ。本人の意思に反して自在に操れる。通常ある程度の距離でしか使用できない魔法だけど、姿が見えないってことは相当な手練れの敵ね……」
「え、待って、死者って?」
「そう、セラヴィアはもう……」
そういって、オーティラ下を向いて、悔しそうな表情を浮かべ、ソウタは顔面蒼白になった。目の前にいるセラヴィアは死んでいる? 信じられるはずがない、現に今こうして喋っているのに。
「悲観に浸るのはまだ早そうだよ?」
神さまの言葉でオーティラは顔を上げた。
「どういうこと?」
「死霊魔法は死者を操る魔法のはずだよ、だけど、セラヴィアちゃんは話もしてるし、魔法も使えてる……ちゃんと意識があるんだ」
「意識がある……?」
「そう、おそらく、セラヴィアちゃんの心を支配し操作する魔法なんだろ、むごいことするね、これじゃ死者と何ら変わらないよ」
「どうすれば、その魔法から抜け出せるんだ?」
「意識のある者を対象としてるはずだから、意識を失わせれば何とかなるかもしれない、でももし死んでいるとしたら……」
「二度と会えないかもしれないのね……」
オーティラの言葉に静かに神さまは頷いた。ソウタは怒りに満ちて、指をポキポキと鳴らした。
「なんだ、そういう事ならお安い御用だってんだよ」
「手加減しなよ? いつもの感じで行けば、セラヴィアちゃんの身体は粉々になるんだからね」
「え、何? 何をするつもり?」
オーティラはこれから起こることが理解できない。ソウタは軽い屈伸運動をして、両足に力を溜めた。爆発力を高めたソウタの脚力は地面を抉り、一瞬にしてセラヴィアの懐に潜り込んだ。
「早い! くっ」
セラヴィアが気が付いた時にはすでにソウタの右拳が腹に撃ち込まれていた。
「うぐっ!」
セラヴィアは全身の力がまるで綿のように抜け、その場で意識を失い倒れた。ソウタは頭を打たないよう、セラヴィアを優しく抱きかかえる。
「セラヴィア!」
オーティラは自分の傷の事を忘れ、一目散にセラヴィアに駆け寄った。ソウタ達がセラヴィアに駆け寄り心配している後ろから、黒いシルエットが近づく。
「セラヴィア……あなた病気は?」
「治ったよ……、もう全然平気」
セラヴィアの病気は完治していた。身体が金属に変化し、歩くことすら難しい病気がこの短時間で完治するはずがない。オーティラは大きな声で叫んだ。
「嘘よ! 治るわけない、どうやって治したのよ!」
「治ってなかったら、ここにいるわけないでしょ?」
「じゃあ、そのギフト鉱石は何? セラヴィアには不要でしょ!」
セラヴィアはオーティラの言葉を聞いて、ギフト鉱石を握っている腕に力が込める。
「これはあの方に必要な物よ、おねぇちゃんは黙ってて!」
「あの方? その人があなたの病気を?」
「そうよ!」
セラヴィアの顔は目を大きく見開き、鬼のような形相でオーティラ達を睨んだ。目の奥は酷く澱んでいる。まるでブラックホールのようにすべてを吸い込むように黒く、深く、不気味で、ソウタ達は思わず唾を飲み込んだ。
「あの方は私の病気を治してくれた、おねぇちゃんじゃ治せないこの病気を! あの方のお願いはこのギフト鉱石を奪い取る事、魔力も分けてくれたのよ?」
「その人はギフト鉱石で何をするって?」
「世界をひっくり返すの、私はそのお手伝いをするだけ」
「セラヴィアちゃん、君は利用されてるだけだ! 目を覚ませ!」
「利用されててもいい! 私は自由を手に入れることができるのなら悪魔にだって魂を売るわ! 私の邪魔をしないで!」
セラヴィアはそう言って戦闘態勢に入った。
「セラヴィアやめて!」
「ダメだよ、おそらく何かを吹き込まれてるんだ」
ソウタがセラヴィアと戦おうとするが神さまが何かに気づいた。
「ソウタ、セラヴィアちゃんの胸元をみるんだ!」
神さまに言われた通り、セラヴィアの胸元に視線を向けた。赤く何かの模様が胸元に刻まれている。それは十字架のようで何かがグルグルと巻き付いているような模様だった。オーティラはすぐに気付いた。
「あれは、死霊魔法!? まさか……セラヴィア」
オーティラは唇を噛みしめ、瞳に涙を浮かべた。ソウタはオーティラにどういうことか尋ねた。
「な、なんだよ死霊魔法って」
「死者を操る、操作系の魔法よ。本人の意思に反して自在に操れる。通常ある程度の距離でしか使用できない魔法だけど、姿が見えないってことは相当な手練れの敵ね……」
「え、待って、死者って?」
「そう、セラヴィアはもう……」
そういって、オーティラ下を向いて、悔しそうな表情を浮かべ、ソウタは顔面蒼白になった。目の前にいるセラヴィアは死んでいる? 信じられるはずがない、現に今こうして喋っているのに。
「悲観に浸るのはまだ早そうだよ?」
神さまの言葉でオーティラは顔を上げた。
「どういうこと?」
「死霊魔法は死者を操る魔法のはずだよ、だけど、セラヴィアちゃんは話もしてるし、魔法も使えてる……ちゃんと意識があるんだ」
「意識がある……?」
「そう、おそらく、セラヴィアちゃんの心を支配し操作する魔法なんだろ、むごいことするね、これじゃ死者と何ら変わらないよ」
「どうすれば、その魔法から抜け出せるんだ?」
「意識のある者を対象としてるはずだから、意識を失わせれば何とかなるかもしれない、でももし死んでいるとしたら……」
「二度と会えないかもしれないのね……」
オーティラの言葉に静かに神さまは頷いた。ソウタは怒りに満ちて、指をポキポキと鳴らした。
「なんだ、そういう事ならお安い御用だってんだよ」
「手加減しなよ? いつもの感じで行けば、セラヴィアちゃんの身体は粉々になるんだからね」
「え、何? 何をするつもり?」
オーティラはこれから起こることが理解できない。ソウタは軽い屈伸運動をして、両足に力を溜めた。爆発力を高めたソウタの脚力は地面を抉り、一瞬にしてセラヴィアの懐に潜り込んだ。
「早い! くっ」
セラヴィアが気が付いた時にはすでにソウタの右拳が腹に撃ち込まれていた。
「うぐっ!」
セラヴィアは全身の力がまるで綿のように抜け、その場で意識を失い倒れた。ソウタは頭を打たないよう、セラヴィアを優しく抱きかかえる。
「セラヴィア!」
オーティラは自分の傷の事を忘れ、一目散にセラヴィアに駆け寄った。ソウタ達がセラヴィアに駆け寄り心配している後ろから、黒いシルエットが近づく。
11
あなたにおすすめの小説
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~
さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。
全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。
ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。
これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる