外れスキルで始める、田舎で垂れ流しスローライフ！

砂漠の夜と砂丘の宴

　砂漠の一日を終えたリクトたちは、夕陽が沈み切る頃、砂丘の影に小さなキャンプを張った。空は次第に濃紺に染まり、星が一つ、また一つと輝きを増していく。砂漠の冷え込みは心地よく、昼間の灼熱とはまるで別世界のようだった。

「さて、今夜はここで休もうか」
リクトが地面に荷物を下ろしながら言うと、ガロンが焚き火の準備を始めた。

「焚き火があれば砂漠の夜も怖くないだろう。ほら、アイシャ、火をつけるの得意だろ？」
「得意ってわけじゃないけど、任せて！」
アイシャが笑いながら火種を用意し、火を起こすと、パチパチと心地よい音が辺りに広がった。

「火があると安心するな。この明るさと暖かさがいい」
リナが近くに座り込み、食材を取り出しながら言った。

「今夜は簡単なスープを作るわね。砂漠での食事はあまり贅沢できないけど、せめて温かいものを食べましょう」

「スープか。それはありがたいな。体も冷えてきたし、ちょうどいい」
アークが頷きながら、隣の砂を手でならし座り込んだ。スープが出来上がるまでの間、全員が焚き火を囲みながら星空を見上げた。砂漠の夜空は無数の星が瞬き、どこか神秘的だった。

「こんなに星が見えるなんて……こんな景色、普通の村じゃなかなか見られないわね」
リナが感嘆の声を漏らしながら空を見上げると、アイシャも微笑みながら同意した。

「本当にね。砂漠って過酷なイメージばかりだったけど、こんなに美しい景色があるなんて思わなかったわ」

ガロンが砂の上に横になり、手を頭の後ろに組みながら言った。
「確かに。この星空はちょっと感動するな。こういうのを見ると、旅をしてよかったって思うよな」

リクトが小さく笑いながら答えた。
「そうだな。毎日が戦いばかりじゃなく、こうして星空を眺める余裕があるのがいい」

アークが焚き火に手をかざしながら呟いた。
「それにしても静かだな。この静けさも悪くない。砂漠は音がない分、心が落ち着く感じがする」
リナがスープをよそい、全員に配った。温かい香りが砂漠の夜に広がり、皆が満足げに食事を楽しむ。

「うん、やっぱりリナの料理は最高だな。こんな場所でこれだけ美味しいものが食べられるなんて思わなかった」
ガロンがスープを飲み干しながら言うと、リナが少し照れくさそうに笑った。

「ただの簡単なスープよ。でも、そう言ってもらえると嬉しいわ」

「いやいや、料理の腕前っていうのは素材の問題じゃなくて、作る人の心だよ」
アイシャが冗談っぽく言うと、リナはさらに赤くなった。

「じゃあ、次はアイシャが作ってみたらどう？どんな料理ができるか楽しみだわ」
リナが軽く返すと、アイシャが慌てて首を振った。

「いやいや、私は狩り専門だから！料理はリナに任せる！」

全員が笑い声を上げ、その場の雰囲気はますます和やかになった。食事が終わり、全員が砂の上に横になって星空を見上げていた。砂漠の風が頬を撫で、焚き火の暖かさが残る中、穏やかな時間が流れる。

リクトがぽつりと呟いた。
「こういう時間がずっと続けばいいな」

リナが静かに頷きながら答える。
「そうね。旅をしていると、こういう平和な瞬間が本当に貴重だって思うわ」

アークが空を見上げたまま言った。
「でも、だからこそ旅を続ける意味があるんだろうな。こういう時間を守るために」

ガロンが体を起こし、焚き火の残り火を眺めながら言った。
「お前ら、なんだか感傷的になってるな。まあ、俺もこうしてのんびりするのは嫌いじゃないけどな」

アイシャが笑いながら返した。
「感傷的でもいいじゃない。こういう時間が旅の醍醐味よ」

全員が静かに笑い、砂漠の夜の静けさに包まれた。焚き火が小さくなり、星空がますます深い色を帯びる中、リクトたちはそれぞれ眠る準備を始めた。砂の上に敷いた布に横になり、暖かい夜の余韻を楽しむ。

リクトが最後に呟いた言葉が、全員の心に残った。
「明日も砂漠の旅が続くけど、こうして仲間と過ごす時間があるからこそ、乗り越えられる気がするよ」

その言葉に誰もが静かに頷き、静寂の中でそれぞれが目を閉じた。