赤い夕焼けの空

ミニマリスト憂希

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王宮へと辿り着いた反乱軍
兵士達よりも
多数の犠牲者を出しながらも
最後の扉まで辿り着く

目は赤くなり
身体が火照る
息は煙と熱気で苦しい

もはやパーサーカーとなっていた

「ここだ!この扉をぶち破れば
ブタが居る!!」

「殺せ!殺せ!!」

ウオォォォォォ!!

「ひぃぃぃ」

激しい雄叫びが聞こえて怯える王

「なんて事だ まさか こんな日が来るとは」

頭を抱えて落胆する王

ドンッ!ドンッ!
バンッ!!

最後の扉を開けた反乱軍

ハァッ ハァッ

「ウウッ」

最後の兵士達も怯えて退がる

「オイ!ブター!今まで どれだけの人々が貴様のせいで
苦しんできたと思う!?
死んでいったと思う!?
お前はもうここで八つ裂きにされておしまいだ!!」

その時トニーも反乱軍に合流し
王の姿を見る

初めて王の姿を見たトニー

王は色白でブタの様に太り
苦労の苦の字も知らない様な男

追い詰められ拗ねる様な顔をする王を見た
トニーは1人で王へ近寄る
兵士達も微動だにしない

「おい!」

「ん…なんだ貴様は?」

「俺の両親はこの国に殺された
お前に殺された
今ここで貴様を殺してやりたい
だが今お前を殺しても父さんと母さんは返って来ない」

「何が言いたい?」

「お前は法によって裁かれるべきだ!」

「ふん 私に法など無駄だ!
なぜなら私がこの国の法だからだ」

呆れた事を言う王にトニーも反乱軍も呆れる

「この国は…お前の政権はもうおしまいだ」

王に言い放つトニー

「なにを言う この私が生きている限り
この国は滅びん」

「ならお前が死ねばいいんだな」

そう言い 王に近づく反乱軍

「何をする!?おい兵士達!!」

後退りする王
兵士達は微動だにしない

「お前を殺す!この国の為に」

さらに後退りする王

後ろは窓
追い詰められ

パリンッ

王の重い体重を支えきれない窓が割れ
頂上の王宮から落下する王

王の最後がこうなるとは

恨みを、
憎しみを、
復讐を晴らしたい
反乱軍は悔しさに溢れていた

残りの兵士達は降伏し、
反乱軍の勝利に終わった
町では王が死んだ事を知って
町中の人達が歓喜した

「バンザーイ!もう高い税金を払わなくて済むんだ!」

「もう怯えなくて済むわ」

歓喜に溢れる
反乱軍や町の人々を気にせず
トニーはある場所へと向かった

「トニー!」

花屋の娘とニックがトニーを心配していた

「トニー 無事だったのね!」

「うん これから この国がどうなっていくかわからないけど
きっと今より良くなるよ」

「ありがとう 助けてくれて 本当にありがとう」

泣きながら礼を言う娘


「トニー…無事で良かった」

「おじさん…心配かけてゴメン」

2人と無事に再会を果たしたトニーは走り出した

「トニー どこに行くんだ?」

「ちょっと…すぐ帰るよ」

タッ タッ タッ タッ

走るトニー

すると小さい頃に住んでいた家の前で止まった

あの時の家は
崩れて跡形も無かったが
トニーは懐かしそうだった

タッ タッ タッ タッ

また走り出したトニー

タッ タッ タッ タッ


丘へ登るトニー


そうここは小さい頃よく来ていた丘



空を見上げる



夕暮れのとっても綺麗な赤色の空だ
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