悪役令嬢はゴブリンに愛される

ほのじー

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悪役令嬢、ゴブリンと新生活

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「ふぁあ~~!よく寝た!ゴブリンさん、おはよう」
「おはよう」

 

あれから二週間。メラニアの傷はほとんど癒え、やっと布団生活から解放されそうである。


「そういえば、私あなたに名前聞いてなかったわね。なんて名前?」
「僕は・・・ウィリアム。君は?」
「なんだか人間のようなお名前ね。人間の言葉も話せるし・・・不思議なゴブリンね。私はメラニア。メラニーって呼んで」
「メラニー・・・」


ゴブリンはその名をまるで宝物のように呟いた。


「僕も・・・ウィルって呼んで・・・」
「ウィル・・・良い名前ね!」


メラニアはゆっくりと体をあげ、ウィリアムに向き合う。


「あのね、ウィル・・・訳あって家に帰れなくて・・・よかったらしばらくここで生活させてほしいの!私家事だって裁縫だってできるわ」


ゴブリンことウィリアムが少し考え込む。メラニアは捨てられた子犬のようにウィリアムを見つめた。


「う・・・メラニーが好きなだけ・・・いたらいい・・・」
「ありがとう、ウィル!」


メラニアはウィリアムの手をとり、喜んだ。


「メラニーは・・・僕のこと、怖くない?」
「う~ん、はじめは怖かったわ。でもこんな私の看病もしてくれて、こんな暖かい目をする人が悪い人だと思えないもの」


メラニアはウィリアムの髪の毛をかき上げた。そこからはエメラルドグリーンの綺麗なひとみが覗いていた。ウィリアムは顔をメラニアから背ける。


(また照れているのかしら・・・)


なんだかウィリアムの感情が分かってきたメラニアだ。


「そういえばウィル、あなたいつもどこで寝てるの?」
「僕は、そとの・・・仕事場のソファーで・・・寝ている」


メラニアは自分の寝ているベッドを見る。そのベッドは人間が寝るにしては大きい。


(やだ!私ずっと彼の布団占拠してたんじゃない!!)



「ごめんなさい!次から私床で寝るわ!」
「だめだ・・・メラニー、体まだ弱い」
「でも・・・」


メラニアの体は小さい。メラニアは良い方法を思いついた。


「そうよ、一緒に寝れば良いじゃない!」


メラニアは名案だとばかりに端に寄った。メラニアはウィリアムの体の大きさを見て「よし、いける」と頷いた。


「メ、メラニー・・・でも・・・」
「一緒に寝たら凍えないわ。最近寒くなってきたでしょう?」
「う、うん・・・まぁ」


メラニアはベッドから降りた。まずはお掃除を始めることにした。ウィリアムはすることがあると、家の側にある小さな小屋に入っていった。


「うん、綺麗になった!」


メラニアは床を磨いた。キッチンの汚れも落とし、キッチンテーブルと椅子もすっきりしたので、今日から二人向かい合って食事ができるだろう。

「机も片付けないとね~」


古びた机の上に書類や本が乱雑に重なっていた。


(ん?なにこれ・・・魔方陣?)


たくさん積まれた紙には、メラニアの理解できない魔方陣や暗号のようなものが記されていた。本も魔法に関するものが多い。



(ゴブリンなのに、魔法を使うの?)



この世界には魔法を使える人はほんの一握りだ。年々使える人は減っており、今では王族や一部の貴族のみとなっている。



(魔族は使える人が多いのかしら・・・?)



メラニアは疑問に思ったが、掃除を今日中に終わらせたかったのでとりあえず思考を放棄した。


「お帰りなさい!ウィル!」
「た・・・ただいま」


ウィリアムはぽりぽりと頭を掻きながら部屋に入ってくる。


「部屋が・・・綺麗になってる・・・」
「へっへっへ。キッチンテーブルも見て!すっきりしたでしょう!これでウィルと一緒に食事ができるわ」
「メラニー・・・ありがとう。今日はご飯、豪華にする・・・」
「手伝うわ!一緒に作りましょう?」


お出迎えしたり、仲良く料理したりと、まるで新婚さんの家である。そこにいるのが人とゴブリンであることを除いては。



『いただきます』


「メラニーはなんでこの森に?」
「いやぁ、私、ライト王国の王子様に婚約破棄されちゃって、捨てられたのよ。私何にも悪いことしてないのに、罪を擦り付けられてしまったの」
「・・・」
「でもいいのよ。今私ウィルと一緒に生活できて、幸せだもの」
「っ・・・」


ウィリアムはぐるぐると何かを考えているようだった。食事が終わる直前、ウィリアムは太い手でメラニアの小さく白い手を握った。


「メラニー・・・僕メラニーを幸せにする・・・」
「ありがとう、ウィル」



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